言論NPOの20周年にあたり、 国外からメッセージが届いています

クリスティアン・ヴォルフ
(ドイツ元大統領)

言論NPOの設立20周年にあたり、皆様にメッセージをお送りできることを大変光栄に存じます。


 言論NPOは現在、日本の中で卓越した地位を確立しており、社会的に重要な未来志向の議論を先駆的手法で行っています。民主主義や自由主義の価値が内外からの強い圧力にさらされている今、言論NPOのような機関やプレイヤーの活動はとりわけ重要です。現在、存在するグローバルな課題に取り組み、その解決のための方策を導き出し、市民社会のディスクール(言説)が維持されるよう尽力されています。こうして、民主主義のプロセスに生命を吹き込むだけでなく、民主主義の力を強化しているのです。そして議論の力を駆使して、日本の民主主義と市民社会に明確な輪郭を与えているのです。

 まさにこれこそが民主主義が果たす責務なのです。つまり、すべての市民が、自ら積極的に市民社会に参加するという責務を果たすべきなのです。問題は、自ずと解決するものではありません。解決には熱い心と思慮深い頭脳の持ち主が常に必要とされます。強固でレジリエントな社会とは、人々が自発的且つ積極的に共同で課題に取り組み、共益のために解決策を見出そうとすることでもあります。言論NPOは、そのための理想的なプラットフォームを20年にわたって提供してきました。

 同時に、言論NPOは貴重な国際パートナーでもあります。今日の社会的および政治的問題の多くは、国際的な側面を持っています。世界の他の地域で起きていることが、私たちに影響を与えずに済むということはないでしょう。この認識は、言論NPOの活動の指針にもなっています。言論NPOは経験や知識を共有・伝達し、その際、専門性高い有識者ネットワークを活用しています。繰り返しの指摘になるかもしれませんが、この約2年間、コロナ危機により、我々は、世界のつながりや相互依存関係の存在を痛感してきました。

 また、コロナ危機により、多くの国が、基本的人権を尊重するグローバルな協力関係に基づいて今後も活動を続けるか、それとも、より一層のナショナリズムと孤立への道を選択するかという岐路に立たされていることも明確になりました。

 多極化した世界が平和的に機能できるのは、各国の独自性を尊重しつつ、協力と相互尊重に基づいた場合のみであると私は確信しています。そのため、私自身、言論NPOがネットワークと多国間主義に基づいて活動されていることに感謝の念を抱いております。このような活動は今後、さらに重要性を増すことでしょう。

 今年の「東京会議」では、言論NPOの活動レベルが極めて高いことを改めて確認しました。来年こそは再び全員が対面で一堂に集い、既存および将来の課題を解決するために協力し合えることを、私は心から願っています。

 言論NPOの設立20周年を心よりお祝いするとともに、今後の益々のご活躍とご多幸をお祈り申し上げます。

アナス・フォー・ラスムセン
(元、NATO事務総長、元デンマーク首相)


日本は世界の民主主義の為に中心的な役割を果たすべき

 まず、最初に、私の友人である言論NPOの皆さん、20周年記念を心よりお喜び申し上げます。素晴らしい節目です。

 国内外における民主主義を強化するために、言論NPOが行っている活動は、今まで以上に必要とされています。

 私の財団では、毎年民主主義認識指数を作成しています。その指標において、日本人は高水準を維持しています。

 日本では13パーセントのみ民主主義が不足していると答えています。しかし、国内でも海外でもやるべきことは未だにあります。

 我々は、玄関先の悪者から民主主義の価値を守り続ける必要があります。

 我々は、民主主義と自由を縮小するのではなく、それらを守ることで、コロナのパンデミックから抜け出す必要があります。

 日本はアジアの民主的指導者です。従って、日本は世界の民主主義同盟の一員としての中心的な役割を果たすべきであると思います。それが私の目標です。
 改めて言論NPOへ心からご祝辞申し上げます。

バム・アキノ
(フィリピン前上院議員)

 私の友人ある工藤さん、そして言論NPOの皆様、設立20周年を心よりお喜び申し上げます。

 アジアだけでなく、世界の民主主義を守るための言論NPOの主張は今まさに重要であり、このためにも一緒に取り組んでいきたいと思います。

 改めてまして、20周年おめでとうございます。
 次の20年の活動を期待しています

李淑鍾
(成均館大学校教授、元EAI院長)

 言論NPOが今年20周年を迎えられ、心よりお喜び申し上げます。多くの調査発表を通じて、私は本非営利シンクタンクを財団設立当初から知っていました。言論NPOとの個人的な繋がりは、2013年に東京で工藤泰志さんと「日韓未来対話(JKFD)」を立ち上げたことが契機となっています。

 当時、私は韓国の東アジア研究院(EAI)の理事長を務めており、二国間の民間フォーラムを創設するための適切なパートナーを探していました。言論NPOとEAIは、米国外交問題評議会(CFR)が主宰する世界20ヵ国のシンクタンクネットワーク「カウンシル・オブ・カウンシル(CoC)」のメンバーでもありました。

 それ以来、毎年ソウルと東京で交互に「日韓未来対話(JKFD)」を開催しています。「日韓未来対話」は、日韓共同世論調査に基づいて、日韓二国間と北東アジア地域の課題を議論する唯一のフォーラムです。現在、9年間の調査データが蓄積されており、JKFDの世論調査は、学者、政策立案者、メディアに広く活用されています。政府間の難しい関係にもかかわらず、我々の対話が維持され、二つの社会の相互理解を促進していることを誇りに思います。

 韓国と日本で独立した非営利のシンクタンクを運営することは、困難な作業です。私は、アジアの民主主義国家間で最も重要な二国間関係の一つである韓日関係を安定させ、発展させるためには、人と人との対話を深める必要があると強く信じています。韓国をはじめとする多くの国との相互理解と協力に言論NPOが大きく貢献していることを認識し、今後のさらなる活躍を期待しております。

賈慶国
(政治協商会議常務委員、北京大学国際関係学院前院長)

 言論NPOの設立20周年を機に、工藤様と言論NPOの皆様に心からお祝いを申し上げます。この20年間、言論NPOは、日本と近隣諸国、特に中国との相互理解を促進する使命を果たしてきました。

 2005年には、中国のパートナーであるチャイナ・デイリー紙や北京大学と共に、「北京-東京フォーラム」の開催に尽力しました。それ以来、本フォーラムはますます重要な役割を果たしており、日中間のトラック2対話の中で最も重要な役割を果たしています。

 言論NPOは両国のすべての善良な人々から深い感謝を得ております。

 言論NPOの更なるご活躍と、日中両国の相互理解と協力の促進を期待しております。