分断の時代の国際秩序と多国間主義 大国とミドルパワーの新たな役割
~「東京会議2026」公開フォーラム・セッション2~

 続いて、セッション2「このまま進めば、世界はどこに向かうのか―分断と大国間の取引、我々の選択―」が行われた。司会はカナダ国際ガバナンス・イノベーション・センター特別フェローのロヒントン・メドーラ氏が務めた。

 メドーラ氏はまず、国際秩序や多国間主義の現状評価について各氏の見方を尋ねた。


国際秩序は「移行期ではなく危機の中にある」
IAI副理事長グレコ氏、国際機関の機能低下と大国の修正主義を指摘


 イタリア国際問題研究所(IAI)のエットーレ・グレコ副理事長は、国際機関の機能不全や大国の修正主義的行動の拡大を背景に、現在の国際システムが大きな試練に直面しているとの認識を示した。

 グレコ氏は現在の状況について「危機が発生しており、ほとんど崩壊に近い体制もある」と指摘。国際機関の多くが十分に機能していないか、本来の使命を遂行することが極めて困難になっているという。

 また、カナダ首相の発言を引用しながら、「現在は単なる移行期ではない。トンネルの出口に光が見えているわけではない」と強調。既存の国際秩序から新たな秩序へ滑らかに移行しているのではなく、むしろ不安定な空白状態にあるとの見方を示した。

 背景には、長年にわたり国際システムへの不満が蓄積してきたことがある。既存制度の規制や統治機能の弱さが批判される一方、近年は各国が台頭し、既存秩序の変更を目指す「修正主義的」戦略を取る動きも強まっているという。

 その典型例として、グレコ氏はロシアや中国の動向を挙げ、「拡張主義的な政策を志向する国が現れている」と指摘した。

 さらに、米国の外交姿勢の変化も国際秩序に大きな影響を与えていると分析。従来の国際ルールを軽視し、武力行使によって国際問題の解決を図る動きは、国際システム全体に新たな不確実性をもたらしているという。

 こうした環境の中で国際社会がどう対応すべきかについて、グレコ氏は「現在の制度のどの部分を守るべきか、あるいはより柔軟な新たな仕組みを構築すべきかが、今日の議論の中心的な論点だ」と述べた。

 その上で、各戦略の限界や制約を検討するとともに、異なる戦略が相互に補完し合い、国際秩序の安定化に寄与できるかを議論する必要があると強調した。