「第3回エクセレントNPO大賞」審査結果

2014年12月10日

「エクセレントNPO大賞」審査委員会


審査結果

1 エクセレントNPO大賞

 厳正な審査を行った結果、「第3回エクセレントNPO」大賞は「シャプラニール=市民による海外協力の会」に決定しました。「シャプラニール=市民による海外協力の会」は、組織力賞を受賞していますが、その他の市民性および課題解決力においても高い評価を得ていること、活動の蓄積から一定の成果を出し、社会への寄与が認められることなどが高く評価されました。

2 各部門賞

 「エクセレントNPO」大賞については、すべての組織について、情報開示や資金調達の透明性、市民参加のための努力がなされていることを確認した上で、「市民賞」「課題解決力賞」「組織力賞」について審査し、以下のような結果に至りました。


(1)「市民賞」

  • 授賞団体: ママの働き方応援隊  ⇒インタビュー
  • ノミネート団体: アクション / 石巻復興支援ネットワーク / たすけあいの会ふれあいネットまつど / マドレボニータ

 「市民賞」を受賞した組織は、「参加」と「成長」の意味を深く理解し、それを活動に反映し、一定の成果を出していることが高く評価されました。すなわち、ボランティアに参加しやすい機会を提供するだけではなく、参加した人々の成長を促すために、振り返りや発表の機会を設け、それを次の事業展開につなげているという点です。


(2)「課題解決力賞」

  • 授賞団体: にじいろクレヨン  ⇒インタビュー
  • ノミネート団体: スマイリングホスピタルジャパン / 自立生活サポートセンター・もやい / ACE

 「課題解決力賞」を受賞した組織は、自らが取り組む課題を明確に把握していることは無論のこと、課題の認識を進化させ、それに伴い活動や事業を進化させ、一定の成果を上げているという点が高く評価されました。また、新たな活動に着手すると、知らぬうちに組織の使命や目的から逸脱し、事業構成が散漫になり焦点がぼけてしまうことがあります。しかし、受賞団体は活動を進化させながら、その使命をよりシャープなものにしているといえるでしょう。


(3)「組織力賞」

  • 授賞団体: シャプラニール=市民による海外協力の会  ⇒インタビュー
  • ノミネート団体: テラ・ルネッサンス / こどもステーション山口 / 東京コミュニティスクール / 国際ボランティア学生協会 / Teach For Japan

 「組織力賞」を受賞した組織は、使命や目的の明確性、情報開示、意思決定機関、資金調達の透明性、収入の多様性などがバランスよく整っていることから、その総合力が評価されました。


3 全般について 

 エクセレントNPO大賞は、自己評価を応募条件にするというユニークな方法をとっています。したがって、すべての応募団体が自己評価をしていますが、その内容から自己評価に関する傾向や課題も明らかになりました。これまでの2回に比較し、全て満点として申請された応募団体は少なくなりましたが、満点を記された団体がありました。また、評点の理由に関する説明が不十分なものが多く見られました。すなわち、評点の理由を根拠となるデータや情報をもって説明することが求められます。しかし実際には十分な説明がなされているものは少なかったのです。さらにいえば、自己評価のプロセスで、組織や事業の課題を発見してもらうことも「市民会議」が期待していた点でした。

 また、自ら取り組む課題については明確に記している組織は多いのですが、組織の成果や目標の記述になると希薄になるケースは少なくありませんでした。また、組織が掲げる使命に対して、なぜ、現行の活動を実施しているのか、その関係が曖昧なもの、あるいは多くの活動を抱えているために焦点が曖昧になっているものも見られました。自らが目指す成果や目標を明確に設定し説明する力を獲得することは、より戦略的な計画を作り、社会への説得力を身に付けることにつながることから、今後取り組むべき重要な課題であることがわかりました。


4. 今後の取り組みについて

 「市民会議」では、受賞団体やノミネート団体、そして他のNPOや非営利組織、企業、自治体関係者と、「エクセレントNPO」について広く議論の場を作りたいと考えて、フォーラムを開催する等の活動を行っています。今後のそのような活動を試みることを通して、非営利組織の質的な改善、自己革新を目指した動きの裾野を広げたいと思います。
また、応募してくださった組織のデータや自己評価書から、評価基準や説明に関して改善すべき点もいくつか明らかになりました。これらの点を踏まえ、今後、評価基準や説明の見直しや開発を行っていきたいと思います。

 なお、本年度は、応募団体にそれぞれどのジャンルでの審査を希望するかを明示してもらう方式を採用しましたが、応募団体のジャンル選択には大きな偏りが発生しました。この点について、今後どのような募集の手続きがのぞましいのかを、市民会議として見直していきたいと考えています。