第1回「エクセレントNPO」大賞審査について

2012年7月11日

「エクセレントNPO」をめざそう市民会議 審査委員会

1. エクセレントNPO大賞とは

 1998年のNPO法制定以来NPO法人数は4.5万団体を超えましたが、社会の自発的な課題解決に取り組む以前に、その大多数は経営的に力が乏しく、市民とのつながりが弱く、 市民社会を大きく変える力には未だになっていません。

 「『エクセレント NPO』をめざそう市民会議」(以下「市民会議」) では、こうした非営利組織の組織力としての脆弱性や市民とのつながりが希薄である点に当初から問題意識を持ち、その質の競争をもたらし、強く豊かな市民社会への良循環をつくり出すために、非営利の世界での社会変革のモデルとなるNPOの要因分析を続けてきました。そして、3年間にわたる作業の末、2010年には望ましい非営利組織像としての「エクセレントNPO」の概念を打ち出し、「市民性」「社会変革性」「組織安定性」の3つを基本条件とする、組織評価の体系としての「エクセレント NPO」の評価基準を公開し、その普及活動に取り組んできました。本大賞の表彰は、そうした「エクセレント NPO」を目標にして非営利組織が競い合い、その動きが市民に可視化されることで、市民社会に大きな変化を起こすことを目指しています。


2. 「エクセレントNPO」大賞の実施状況

(1)賞について

 「エクセレントNPO」大賞は、「市民賞」「課題解決力賞」「組織力賞」から構成されています。これは「エクセレントNPO」評価基準の3つの基本条件をもとに作られたものです。そしてこの3つの賞の受賞者から最も優れている組織を「エクセレントNPO大賞」受賞団体として選びます。
 これらに加え2012年度は、東日本大震災における救援・復興活動に従事する組織を対象に「東日本大震災復興支援賞」を設けました。

(2)応募方法

 応募者には、エクセレントNPO評価基準の16基準(「東日本大震災復興支援賞」は10基準)に基づいて自己評価を行い、その他の応募書類とともに提出していただきました。

(3)応募期間

 2012年3月10日より応募を開始しました。当初、5月8日を締切りとしていましたが、この時期は多くの関係者にとって、年度末や年次総会の作業の時期と重なることから、締め切りを5月30日に延期させていただきました。

(4)応募結果

 応募総数は163件で、内「エクセレントNPO」大賞への応募は116件、「東日本大震災復興支援賞」への応募は47件でした。



2. 審査の方法

 審査委員によって予備審査と本審査が行われました。

2-1 予備審査

 予備審査は、応募団体がエクセレントNPO大賞の3つの部門賞のうち、どれに最も適しているのかを判断し、各賞の審査対象として振り分けることを目的に行われました。すなわち応募書類の提出状況、自己評価の採点結果を整理し、ホームページなどから概要や情報開示状況などついて確認しました。これらの結果をふまえ、応募団体を「市民賞」「課題解決力賞」「組織力賞」のカテゴリーに振り分けました。なお、「東日本大震災復興支援賞」については、募集時に同賞への応募であるかを尋ねていますので、その回答に基づき、同賞のカテゴリーに振り分けました。

2-2 審査

 審査委員会は2回開催されました。第1回委員会では審査の方針、各部門賞の審査基準、審査員のカテゴリー別の担当を決めました。その上で、審査委員は担当分について事前評価を行い、ノミネート候補を選出しました。第2回審査委員会では各部門賞を決めました。各委員がノミネート候補団体とその選出理由を説明し、1件ずつ審査委員全員で議論しました。

 審査は、応募団体による自己評価と同様、エクセレントNPO評価基準をもとに行われました。まず、すべての組織について、情報開示や市民参加など基本的な要件を満たしているか否かについて確認しました。その上で、市民賞、課題解決力賞、組織力賞の各部門賞の審査をエクセレントNPO基準に基づいて行いました。また、自己評価の適切性も審査しました。

 審査過程での配慮事項として、以下の2点が議論されました。

 第1点は、より多くの組織に機会を享受してもらいたいという点です。そのために受賞の重複は避けるようにしました。

 第2点は、資金調達の透明性、政治的な中立性に関するものです。すなわち、社会常識や倫理的な観点から問題視されている個人や団体から資金を得たことがある団体・組織、特定の政党や政治家との関係が密接ではないかとの疑義がある団体・組織に関して、長時間にわたり慎重に議論されました。その結果、エクセレントNPO評価基準の趣旨からみて、そのような問題があると審査委員会が判断した団体・組織については、今回は、ノミネート団体の対象としないという結論に至りました。審査委員会としては、これらの団体に、あらためて資金調達の透明性や、政治的・宗教的中立性について説明させていただくつもりです。ただし、この点についての明確な方針をもって、取り組んでいることを確認できるような説明を自己評価などで記していただくなどして、第2回以降の大賞に応募していただくことを期待しています。