「強く豊かな市民社会を考える」対話集会 アンケート結果を公表します

2010年4月07日

「強く豊かな市民社会を考える」対話集会 4月12日の対話集会の会場には、国内のNPO,NGO関係者をはじめ、経済界、官界など幅広い層から約200人の参加者が集まりました。その中の43名から回答をいただきました。回答結果と自由記述の発言を公開します(文章で判読できなかったものなどは除きます)

 回答者の属性は、男性が77%、女性が21%となっています。年齢別でみると、20代が5%、30代が7%、40代が23%、50代が37%、60代が26%です。回答者の職業は、NPO・団体関係者が39%、会社員が17%、企業経営者が10%、学者・研究者が10%、公務員が5%、マスコミ関係者が5%、自営業が2%、自由業が2%、その他が10%となりました。


1.本日の対話集会では、「『エクセレントNPO』を軸に強い市民社会に向けた良循環をつくろう」という提案がなされました。あなたはこの提案に賛同していただけますか。

「賛同する」と回答する理由

・政権交代で日本社会がこの程度しか変わらなかったのは、やはり日本の民主主義の成熟度の問題なのだと思う。市民社会を強くし、(政治)参加を図っていくしかないと考えているところだった。主張に共感できた。(マスコミ関係者、40代男性)
・社会変革、市民性を重視した理想的な非営利組織を目指すという提案は、NPOの本質をとらえたものだと思います。具体的な評価基準を一緒に議論したいです。(山口誠史、NPO・団体関係者、50代男性)
・政府の「新しい公共」の中で公にくみこまれるのは反対で、組織結成時の「志」を大事にしたい(教員、50代男性)
・我が国の市民社会形成にエクセレントNPOの存在が不可欠だと感じるから(川島隆明、企業経営者、50代男性)
・市民社会を基盤とした民主主義を強く安定させるには、市民がしっかり自立・自律する必要がある。なぜ強い市民が育たないのか、どうすれば強い市民になれるのか、総論と各論で深考し、実践へ移したい(二宮郁夫、自由業、60代男性)
・今必要なことだと思います。動き出すきっかけになるだろうと期待しています(鈴木加津彦、マスコミ関係者、50代男性)
・"強い市民社会に向けた良循環をつくろう"というメッセージには強く共感する。これから私たちの社会が直面する課題には、市民社会の再構築が必要。ただし、国家と市民社会との関係についての基本認識が、"対立"的な方向へよりすぎているのではないか。協働、パートナーシップモデルを念頭とした"強い市民社会"の議論も必要と思う(中島智人、NPO・団体関係者、40代男性)
・「良循環」に特に賛同。「エクセレント」は賛同しかねる部分もあるが先導する役割も必要なので、先に進めてほしい(NPO・団体関係者、50代女性)
・市民が寄付判断をする指標は必要だと思う(藤井利侑、企業経営者、60代男性)
・日本及びアジア諸国は、歴史的に省みるとフランス革命に代表される市民革命により、自分たちで市民社会を作ったという経過を経ていない。その意味で「アジア型市民社会」をどうしたら作れるかを考えたい(矢野光、学者・研究者、60代男性)
・①大人を強い市民にするために。日本の価値判断への影響力は、大新聞/TV等のマスメディアを除いて他にないと思います。これを巻き込む案を実行してはいかがでしょう。そうすれば必ず変わります。②子どもを「強い市民化」するために。愛、希望、期待等心を強くする要素(心の三大要素と呼んでいる)を教える「徳育」の実現に努めてほしい(川合彰、NPO・団体関係者、60代男性)
・私自身がこの数年主張してきたこととほとんど同じだから(加藤三郎、NPO・団体関係者、60代男性)
・いいNPOもNPOでないNPOも同一に扱われていることには、ずっと疑問を持っていましたので(藤村コノヱ、NPO・団体関係者、50代女性)
・考え方は素晴らしいので、これには賛同する。市民性、成果、組織という分かりやすい。問題はこれを普及するかである。考え方の一つは國松さんのおっしゃったファンドレイジングのツールとして使うというのはありかも知れない(大澤龍、NPO・団体関係者、60代男性)
・いままでNPO,NGOを評価するものがなかった中に、こういう評価を発表していただけることは、一般市民が活動に参加しやすくなると思います。ぜひ進めていただき広げていただきたいと思います。(双木幸三、会社員、30代男性)
・NPOの価値の中に「ミッションの実現可能性をはかる」というよりは、「何を実現しようとしているか」というアイデアの良さを評価するような項目があるとよいのでは(池田佳代、NPO・団体関係者、40代女性)
・①金(寄付)、時間(ボランティア)を持っていると仮定できる市民である定年退職者に理解される必要がある②エクセレントNPOについてグローバルにベンチマークする必要がある。評価基準の詳細はないので入手したい。『NPOの設立母体、代表者(ファンダーズシンドローム含め)、他NPOとのコラボレーションが必要である。エクセレントNPOを新しくつくることもやったらどうか。下請け型が高得点を取る可能性もある。③NPOも色々な面がある。アショカがいうcitizen sector organizationに対象を絞ることも検討する必要がある(西野武史、その他、60代男性)
・NPO法制定後10年経過したところで、今後の展開は数ではなく質が問われることが想定される。お互いのNPOが影響しあい、市民目線を拡大していく循環性が必要不可欠(古橋和好、企業経営者、60代男性)
・NPOのベストプラクティスに係る知識の共有が必要です(林薫、学者・研究者、50代男性)
・現状の社会環境を考えるとNPOの力が強くならざるを得ないと思う。ただし、一般市民つまりNPOの必要性を考えていない人々に対してその必要性をいかに浸透させるかが大きな課題と思われる(村松友進、会社員、50代男性)
・強い市民社会を創るということは、日本の政治の活性化の上で重要。その点、NPOが力を発揮することが期待されるが、道は遠いかもしれない(公務員、50歳男性)
・今、NPO法人で働いていると周りに言うと、知らない人や、うさんくさいと言う人が多くいます。自分が誇りを持って、自分の仕事に取り組むことができるよう、NPO全体を盛り上げたいと思います(NPO・団体関係者、20代女性)
・①社会の基層に「市民社会」を根付かせるため、NPOの活動領域の拡大は不可欠。②「強く豊かな市民社会」とは、「市民自治(住民自治)」の構築である。治者と被治者の自同性の理念をぜひ意識してほしい
・工藤代表の発言に関心を持ち、本日来場し、確認に参じた。しかしこれで強い市民と市民社会づくりが可能だろうか。注目したい。(宮本雅男、NPO・団体関係者、50代男性)


「まだわからない」と回答する理由

・(問題提起には大賛同)。日本のNPOの資金力の弱さから下請けNPOに陥る危機感には全く賛同。ただし、①あるべきNPOビジョン作りが不十分(新しい公共世界における位置付け―世論吸収、政策提言できる専門性、社会参画を促す身近なニッチなNPOの社会インフラ性etc.)②「『エクセレントNPO』を軸に強い市民社会に向けた良循環をつくろう」の具体的な裏付け戦略が見えない(行政認定との関係等)。これで競い合うとは思えない。③NPOは「競い合う」より連携が不足している。また自立すらできなくなってきている。(NPO・団体関係者、60代男性)
・「NPOの質の向上を目指し、切磋琢磨しあうような環境を作り、強く豊かな市民社会の構築を目指す」という理念には賛成だが、「エクセレントNPOをその軸とする」にはエクセレントNPOの実態を未だ理解できていないので賛同するまでには至ってない。このままでは日本のNPOは駄目になるという強い危機感からこうした提案に至ったと理解したが、何故玉石混交では駄目なのか、エクセレントでなくてもそこそこ活動していればよいのではないか、という気持ちで活動してはいけないのかなど、釈然としないところが残っております。また、小生は単純に、数が増えるということは「職場等から離れた市民社会に参加しよう」という意識を持った人が増えていることなので歓迎すべきことではないかとも考えておりました。ボランティアなし、寄付金なしの補助金頼みのNPOでは行政の下請けに成り下がってしまうからいけないのか。恐らく検討会の皆さんが1年かけて議論された結論が「エクセレントNPO」なのでしょうが、NPOを考え始めたばかりの小生にはすんなりと賛同できないものが残ってます。このようなことを提唱するNPOは恐らく「エクセレント」と自己判定できる組織か「今はエクセレントではないにしても多少頑張ればエクセレントになれる」と思っている組織が中心になっているのでしょうから、そうでないNPOはハナからこの議論には参加せず、むしろこうした議論には背を向けて活動するということにならないでしょうか。極論すれば、エクセレントNPOとそうでないNPOの間に断絶や対立が生じ、NPO活動に余り関心を持っていない人たちを更にNPOから遠ざけてしまう危険性はないかと危惧する気持ちもあります。(会社員、50代男性)
・NPOの理念は、「強く豊かな~」ではなく「足るを知る~」か「弱者を見捨てない~」ではないのかな?日本は世界から見たら十分強く豊か(企業経営者、50代男性)
・評価基準を作り評価するだけでなく、成熟度モデルが必要である。寄付には、「おひねり」と「さい銭」と「お布施」があると考える。寄付が多ければ必ずしもexcellentとはいえないのではないか。また、強い市民社会の目指す姿がNPOだけとはいえない。(一つの手段ではある)。つながる軸として適切かが分からない(古川昌幸、会社員、40代男性)
・エクセレント...という言葉にやはり抵抗が...。エクセレントといわれたら、思いあがってしまいそうです。自己点検のツールとしてはいいと思いました(NPO・団体関係者、50代女性)


2.本日の対話集会では、NPOの現状と課題に対して厳しい認識が示されましたが、あなた自身は日本のNPOの今後についてどのようにお考えですか。

「期待できる」と回答する理由

・石原都知事が「30代、40代、50代にどれだけ国を変えているひとがいるのか」という趣旨の発言をしていたが、勘違いだろう。これからの日本に長く生きなければならない若い世代には深く考え、行動を起こしている人がたくさんいる。NPOの形を取る人も大勢いる。期待できると思う(マスコミ関係者、40代男性)
・理念と世界の中でどう生きていくかの基本姿勢が憲法等で明確になれば、NPOはもっと生きてくるのでは(企業経営者、50代男性)
・ボランティア活動や社会貢献の意識が強まってきている。その動きの中で、受け皿となるNPOが登場するのは必然の流れと考える(古川昌幸、会社員、40代男性)
・社会を変革していくのは市民そのものであり、NPOはその市民の意識を促し、議論の場と方向性を提案する機能を持つ存在だと思います。その必要性は多くの人に認知されており、今後もますます増えていくものと思います。(山口誠史、NPO・団体関係者、50代男性)
・「公」が参加していない組織は大歓迎である(教員、50代男性)
・時間はかかるが、それ以外に方法がないから(川島隆明、企業経営者、50代男性)
・市民社会の担い手を育てるムーブメントを大きくしなければならず、その主体的取り組みだと思います(鈴木賀津彦、マスコミ関係者、50代男性)
・日本に行政、企業、メディア、学会などいくつもセクターがあるが、日本の未来を切り開く潜在力のあるのは、志の高いNPOくらいしかないので、日本の希望を担えるのはNPOだと思うから(加藤三郎、NPO・団体関係者、60代男性)
・実践する立場なので、「期待できるものにしていく」という感じです(自営業、40歳男性)
・現状では満足度の高さは決して高くはないが、政府、官僚の現状のレベルとの相対性の中で急速な進展が期待できる。ただし、NPOの中での中間組織の指導力が大変重要(古橋和好、企業経営者、60代男性)
・期待しなければならない。ないしは期待せざるを得ない。地域社会はこの先行政セクターでは担いきれない。若年層の教育は決定的に重要。市民自らがたがいに鍛えあう地域活動(寺子屋のような)をメルクマールとして共有したNPOがネットワーク化され、広域的に浸透すれば日本の市民社会の展望に光が差してくるのだろう
・NPOを市民とともに育てる可能性が出てきた(政権交代の功)。ただし、行政サービス代替機能が中心の危険性は避け、世論吸収、政策提言機能等も含む必須の社会インフラとして強化拡大への施策が必要。多少の試行錯誤は仕方ないが。(NPO・団体関係者、60代男性)
・10年前に比べて、対話集会に参加するような人たちが確実に増えてきており今後も増え続けると思われます。但し、良質のNPOでなければ存在価値無しという考えが主流になると、兎に角何かやってみよう/やってみたいという気持ちで参加する人が躊躇することも考えられます。又、エクセレントと評価した組織の人たちに、優越感や他の組織を見下すような結果を生み出しはしないかという虞も感じます。「参加する」ということはボランティアと寄付行為に集約されることに異論なく、ボランティアを金額に換算すべきだという主張は全くその通りですが、「寄付の額の多寡から日本ではNPO活動が低調」と決め付ける論調だったことには違和感を覚えました。金額もさることながら寄付の個数も考慮に入れるべきではないでしょうか。(会社員、50代男性)


「期待したいが、現状では難しい」と回答する理由

・市民が弱いから。民主主義の経営を負担する納税者は、タックスコンプライアンス(納税義務)と当事者意識を身につけなければならない(二宮郁夫、自由業、60代男性)
・日本の市民社会、民主主義が成熟するためには、「市民」としての自我が確立した個人と、政策の選択が可能となる政党が先ずは必要だと思う。それらを抜きにしてNPOだけが頑張っても、状況はなかなか改善しないのではないか(公務員、40代男性)
・日本のNPOにとって必要なのは、市民からの信頼性の確保だと思う。個別のNPO法人というよりはむしろNPOセクター(もし存在するとすれば)の信頼をいかに作り上げるかを考える必要があると思う(中島智人、NPO・団体関係者、40代男性)
・「市民が育つ」が難しい。「市民が育つ」ための環境がないと思える(NPO・団体関係者、50代女性)
・NPOの実態、姿が見えにくいものが多い。目的をシンプルにし、自らの貢献(寄付、参加)の価値が見えることが必要と思います。(藤井利侑、企業経営者、60代男性)
・前述した如く、日本の民主主義社会は西欧諸国から押し付けられたものである。日本は本当の意味で「自分たち」で市民社会を作った経験がない。血を流して自分で作ったものでなければ、簡単に手放すであろうし、関心も薄れる。これにどう歯止めを作るのか課題である。日本が「アジア型NPO」を提起できれば、日本は世界に貢献できると思う。(矢野光、学者・研究者、60代男性)
・資金基盤が弱すぎる。税制を含め、仕組み作りが必要では(川合彰、NPO・団体関係者、60代男性)
・今の日本に市民がどれほどいるか、といえば本当に少ないと思います。私自身は環境教育をやっていてこれを通じて市民を育てていきたいと考えていますが。それぞれの分野でそれぞれが自立(律)した市民を育てていくこと、そして市民社会を築いていくことが役割だと思います。しかし、公教育の現状は最低です。(藤村コノヱ、NPO・団体関係者、50代女性)
・多くのNPOに「社会的責任がある」という意識が低いことが大問題。年次報告書(含む財務報告)ですらまともに出していない団体が多いことをどう考えていくか。(大澤龍、NPO・団体関係者、60代男性)
・政党、大企業という既存勢力と、どのように対抗(もしくは折合いをつける)するのか。ニッチ的なところから強くなっていくのかもしれないが、それでどこまで伸びていけるのか(公務員、50代男性)
・このような取り組みは素晴らしいが、チャリティ、市民協力とは低賃金でもしくは無償でやるものだと思っている。エクセレントNPOが多くなっても、期待だけ大きくなって金やリソースが集まるのはもう少し先になるのではと思っているため(NPO・団体関係者、20代女性)
・問題点の中にもあったように、NGO,NPOの方と一般市民の関係が離れすぎていると思います。そのNGO,NPOと一般市民との溝をいかに埋めるかが、重要ではないかなと思っています。その溝を埋める一つの方法としてこの評価があるのであって、この評価でその溝が埋まるわけではないと思います。よって、今後NGO,NPOは、自分たちの活動をいかに広めていくか、知ってもらうか、その活動も併せて行っていくことが必要だと思います。もっともっと市民に向けて発信してください。それでなくては市民は参加したくても参加できません。(双木幸三、会社員、30代男性)
・純粋なボランタリーでのNPO活動はごく一部であろう。活動のステージによっては企業の営利活動とリンクした形でやらざるを得ないケースがあると思われる(会社員、30代男性)
・中年世代(35~55歳、担い手となる世代)の政治についての関心を持つ層が薄い(山本健治、会社員、40代男性)
・ボランティアの概念もうまく伝える、定義付けする必要もありそうだと感じる。NPO業界では、労賃を払えないから「ボランティアでお願い」となるが、NPOの価値、ボランティアの価値を社会に浸透させるためには、ボランティアは自発的な参画(その中に労務もある)であり、労働ではない、とする必要がありそうだ(池田佳代、NPO・団体関係者、40代女性)
・①NPOの代表者及び研究者の質的向上に期待。②変革する社会に対応するためにNPOに期待されることは流れ。NPOが社会変革をドライブするということでは提言能力を持つNPOの出現に期待。②職業としてのNPOへの参加も増える(その他、60代男性)
・①NPO関係者からさらに広く「市民」(一般市民)にどうしたらウイングを広められるか。NPOという「井の中の...」ではないか。②人材育成のための教育が欠けている。教育システム作りが先(宮本雅男、NPO・団体関係者、50代男性)
・市民が公共性を形成するという意識が必要である。歴史的なバックグラウンドの制約があり、市民意識の形成には困難が多い。教育の中で公共性、Good Citizenshipを十分に教えていくことが必要である。(しかしそれを教えられる教員がいるのかは疑問です)(林薫、学者・研究者、50代男性)
・一般の人々の生活の中で、行政がやることと自分自身がやることがほとんど占めている中で、NPOの価値を感じる機会や必要性がないから、たとえば自治会との棲み分けがよくわからない(村松友進、会社員、50代男性)
・企業とNPOの両方に所属した経験から率直に感じるのは、あまりにも日本のNPOの力量は弱いです。経済的な弱さ以上に最近感じるのは、ガバナンス面での弱さで、"生徒会民主主義"なNPO関係者が多い。今回の評価基準プロジェクトなどを機脚気に、NPOの人材やガバナンスの変革、(世代)交代が始まることを期待したい(山本良顕、NPO・団体関係者、30代男性)


3.先日、政府税制調査会は、寄付によるNPOへの参加を促進するため「税額控除方式の導入」を寄付税制に関する中間報告に盛り込みました。一方で、その中間報告の中には、仮認定制度が導入されたので、通常のNPO法人であれば寄付免税資格が付与されることになり、これまで認定NPO法人の公益性を担保していたパブリック・サポート・テスト(PST)が事実上その意味を失いました。このような政府の動きに対して、あなたはどのようにお考えですか。

「賛成する」と回答する理由

・PSTが意味を失ったという点は確かに懸念されるが、今回の制度改正を契機に、従来よりも多くのNPOが寄付に目を向け、事業・活動の振り返りや組織ガバナンスの見直しに取り組んでほしい、という期待を込めて、賛成する(山本良顕、NPO・団体関係者、30代男性)
・寄付によるメリットが広がれば、寄付をしようというモチベーションが高まると希望しています(山口誠史、NPO・団体関係者、50代男性)
・NPOを資金面で支える第一歩と評価します(川合彰、NPO・団体関係者、60代男性)
・「仮」の内容かよく合っていないか、官の規制がゆるくなるという意味で大賛成。ろくにボランティアやNPO活動もやっていない役人が民間を規制、管理しようという考え方がそれぞれおかしい(大澤龍、NPO・団体関係者、60代男性)
・仮認定が導入されるとPSTが意味を失うということはないと思います。詳細が分からない中で誤解を与える表現だと思います(自営業、40代男性)
・①自己利益指向で市民社会が崩れていく中では、社会参画による生きがいや公共に目覚めるNPO参加を増大させる政策が日本では必要。②理想的エクセレント度は高くなくても(=身近でニッチ活動)、社会や個人には有用な社会的インフラ性は少なくない。③偽装NPO排除等は情報開示等別途工夫し、現在のシビアな認定制はまず緩めた方が得が大きい。(NPO・団体関係者、60代男性)
・自浄力が求められるとNPOも淘汰される(その他、60代男性)
・ただ、日本では寄付の習慣が根付いていません。それは、日本の税制が国民の税意識を鈍感にしているからです。日本には別のシステム、例えば①関連/協力企業の商品に寄付を価格onする、とか②unicefのように、名前シールを与えるとか(藤井利侑、企業経営者、60代男性)


「反対する」と回答する理由

・公益性を担保しない寄付促進税制では、目的が不明確になる(公務員、40代男性)
・優遇することと甘くすることは違う、育てるうえで甘くするのは間違いのもとではないか(公務員、50代男性)


「どちらともいえない」と回答する理由

・日本の税制は成長戦略の中でNPOがどう位置づけられるかにもよるのでは?(企業経営者、50代男性)
・パブリック・サポート・テストは不可欠だが難しい(川島隆明氏、企業経営者、50代男性)
・制度的に支援することは悪いことではない。しかし、市民(国民)が政府や行政、さらに学者への信頼度は約18%。政治家と役人(公務員)に対する信頼度を向上させない限り、制度は機能しない。信頼性がなければ投資する者は現れない。1人が100万円出資するよりも、100人が1万円出資する方がNPO基盤は強くなる。(二宮郁夫、自由業、60代男性)
・この制度設計は、従来の力関係のバランスの問題だと思う。そのバランスで決まる制度は両面性を持つ(鈴木賀津彦、マスコミ関係者、50代男性)
・PSTは機能していないというのが私の認識。ある特定のNPO法人にしか利用できず、また日本のNPOの現状に合致していない。寄付税制の対象を開く今回の動きには賛成である。一方で、現状のNPO法人では悪意のあるNPO法人を排除できず税制を含めたNPO制度全体の信頼性に対する脅威となる可能性が高い(中島智人、学者・研究者、40代男性)
・P.F.ドラッカー「起業家精神とイノベーション」によれば、何よりも重要なのは「イノベーション」であるとしている。そうであれば、資金の問題はあまり重要な問題ではない。何よりも重要なのは、各NPOが独自のイノベーションの機会を見つけるのが重要であると思う。資金獲得は、自分たちの工夫で行うことが重要(矢野光、学者・研究者、60代男性)
・市民ベースで進めるべき本質とは思うが、過渡的にやむを得ない(古橋和好、企業経営者、60代男性)
・税額控除は前進。ただしPSTは検証が不十分
・税制による対応は必要であるが、公益性の担保があいまいになることは賛成できない。資金は重要だが重要なのは「公共性」である(林薫、学者・研究者、50代男性)
・市民が自分のお金を自分の意思で注ぎたい先を「考える」のは価値があると思う一方、本当に自主性を生むのかに疑問がある(村松友進、会社員、50代男性)


「よくわからない」と回答する理由

・鳩山内閣のこれまでの動きを見ていると、実行力に強い疑問があるので、「中間報告」の今後は不透明だから(加藤三郎)
・PSTそのものもまだ未発達。日本社会におけるガバナンスの意識や概念も浸透していないから仕方ないのでは(池田佳代、NPO・団体関係者、40代女性)
・この問題について、今まで関心を持って考えたことがなく、設問にある「パブリック・サポート・テスト」の意味すら理解しておりませんでした。これから勉強します。(会社員、50代男性)