言論NPO創立18周年特別フォーラム 前日夕食会 報告

2019年11月18日

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 言論NPOの創立18周年特別フォーラム「世界の自由秩序と民主主義の再建に問われた私たちの責任」の開催を翌日に控えた11月18日、都内の日本料理店にてアナス・フォー・ラスムセン氏(「民主主義国同盟財団」創設者、元デンマーク首相、元NATO事務総長)をお迎えし、夕食会が行われました。

 まず、主催者側から言論NPO代表の工藤泰志が挨拶に立ちました。工藤は、言論NPOが民主主義の立て直しのために苦闘している中で、ラスムセン氏の「コペンハーゲン民主主義サミット」の精力的な活動を知り、「非常に勇気づけられた」と称賛。今回の特別フォーラムでの協働が実現したことに対して謝意を示しました。

 続いて、言論NPOのアドバイザリーボードから、大橋光夫氏(昭和電工名誉相談役)が挨拶。トランプ大統領率いる米国が自国第一主義的行動をとり、世界秩序が動揺する中では、日欧の連携が不可欠と語り、今回のフォーラムの意義を強調するとともに、ラスムセン氏の参加を歓迎しました。

 こうした歓迎を受けてラスムセン氏がスピーチ。自身が率いる「民主主義国同盟財団」は、その名が示す通り世界の自由・民主主義国家が同盟を組むことによって、権威主義体制の国家に対抗していくことが設立の目的であると説明。この同盟の輪を広げる上で今回のフォーラムへの招待はまさに渡りに船であったとし、感謝を述べました。

 続いてラスムセン氏は、日欧が目指すべき課題として、米国をグローバルなリーダーの座に引き留めることを挙げました。ラスムセン氏は、シリア情勢の推移を振り返りながら、米国の自国第一主義的性格は、オバマ大統領の時代にすでにその萌芽があったと指摘するとともに、トランプ大統領の行動はその延長であると解説。同時に、米国がリーダーの座から退いた空間には、入れ替わるように中ロなど権威主義国家が入り込んできていることに懸念を示し、だからこそ日欧は協力して米国をリーダーの座に押し戻す必要があると語りました。

 ラスムセン氏は続いて、自由貿易の重要性を強調。米国は、中国だけでなく欧州にも貿易戦争を仕掛けているものの、貿易戦争からは敗者しか生まれないと断じつつ、ここでの日欧協力の必要性を指摘。今年2月に発効した日本とEUの経済連携協定(EPA)によって、世界貿易の約4割を占める巨大な自由貿易圏が誕生した述べた上で、これを成功させること自体が米国をはじめとする保護主義的傾向を示す国々に対する強烈な政治的メッセージになると説きました。

 その後、料理が運ばれてくると和やかなムードの中で歓談が行われましたが、その中でも中国への向き合い方や日欧の安全保障協力、トランプ再選後の世界の姿など核心を突くような様々な議論が展開され、明日の本番の前哨戦の様相を呈した夕食会となりました。

 明日の特別フォーラムの模様は、13時30分からインターネットでも中継します。是非ご覧ください。