新年 あけましておめでとうございます。 工藤泰志

2008年1月01日


言論NPOの工藤です
新しい年をどのようにお迎えでしょうか。
私たちが、この言論NPOという非営利組織を立ち上げて
7回目のお正月となります。


新年に、私がまず思うのは
この新しい年を日本が未来に向かうスタートにできないかということです。
私が未来にこだわるのは、この数年、日本の政治は今(いま)にこだわり
未来に向けた問いかけや
将来社会の設計も国民に提示できないままだからです。

年金をめぐる論議はその典型です。
高齢化や人口減が誰の目にも明らかになっているのに、
改革は言葉のレトリックにとどまり、その出口をめぐって国民に広がる
議論はなく、その姿を有権者が実感できない。
そうした課題を克服する新しい活力ある良循環も作り出せない。
そんな状況が、
日本の社会に今の閉塞感をもたらしているのだと思います。

この数年、世界は大きく変化を遂げています。
アジアはダイナミックな歴史的な発展を迎え、世界は地球環境やテロなど
国境を超えた様々な課題に
答えを出さなければならなくなっています。
日本は、変化をとげる世界の動きに向けたメッセージ力を欠いたまま、
内向きの課題の答えすら出せないでいていいのだろうか。
そう私たちが新年に強く思うのは、
このままでは
世界や未来からも取り残されてしまわないかと、危惧するからです。

今年の選挙こそ、
未来を語れない政治を私たちは拒否すべきなのです。
ただ、そのためには
有権者自身も変わらないとなりません。
今の状況は、有権者が自身の選択の結果でもあるからです。
そうした政治と有権者との間の緊張感こそ、政治に新しい変化を生み出すのです。

もうひとつ私がこだわっているのは、
市民社会の力をさらに大きなものにすることです。
やや厳しく言えば、
政府を批判するだけや、お任せするだけではだめです。
官僚の様々な不祥事は問題外ですが、
何もできない政府でも困るのです。
一方でそうした政府にただ依存するだけでも、未来は描けません。
私たち自身が、公(おおやけ)を自ら担い、責任感を持って社会に参加する。
そうした新しい自立した場、コミュニティが、
日本の将来にきわめて重要だと思うのです。

私たちは7年前に日本の言論をより活性化させて、さらに未来に建設的な対案力のある
議論作りを非営利組織で行おうと
活動を始めました。
私たちの試みは、そうした市民が公を担う試みでもあります。
健全な市民社会には健全な言論が問われ、
かつ真剣な議論の積み重ねが
強い民主主義社会を作り出すからです。

私たちが行っている議論の舞台は
この間、国内だけでなく、アジアにも広がりました。
新年、私たちはこの議論の舞台を様々な人との協働で広げ、
有権者のための判断材料やこの国の将来についての対案を生みだすための
議論づくりに新たな気持ちで取り組みたいと考えています。

新年も言論の試みにぜひ、ご参加ください。
 
2008年1月1日