北朝鮮核問題の緊張にどこまで耐えられるか
国際協調で実効性のある経済制裁に向かうべき

2017年5月10日

 北朝鮮の問題は、これまでの過去のほかの核開発とはまった異なる局面だということは考えたほうがいい。

 すでに北朝鮮は、核保有国であり、ミサイルに核が取り付けられるのも時間の問題である。これを認めてしまうことはNPT(核拡散防止条約)体制を完全に壊す、ことになるのは間違いない。トランプ氏の行動はこの局面の歯車を何段階も回したのは事実である。ただ、朝鮮半島の未来のシナリオを持っているとは現時点では思えず、大統領の行動が予想できないことが、緊張を高めている。この緊張にどこまで耐えられるのか、というのが、今の北東アジアの状況である。

 私は、これを機会に一気に実効性のある、経済制裁に向かうべきだと考えている。制裁はあくまでも、外交のためのツールだが、これまでの状況は、制裁そのものが戦略になり、しかも効果が極めて限定的なのに、だれもリーダーシップをとらなかった。それが今回は、制裁をツールとして活用するための戦略がわずかだが、見え始めた。

 私は、トランプ氏ができる、ギリギリのことは国境封鎖だと思っている。そこまで事態が緊迫するかは現時点ではあくまえも予想の範囲だが、軍事行動のコストはあまりにも重く、実行力を持った制裁による外交のアプローチしか、現時点で期待できない。

 私はこの点で中国の本気さを強く期待している。

 先週、北京に行って多くに人と議論したが、石油の停止が話題になっていた。瀋陽軍区を動員して国境沿いに軍を配置する、となると、その本気さが見えてくる。そしてロシアもこれには協力すべきだろう。北朝鮮の核開発を凍結させることができるか、まだ軍事によらない解決が可能なのか、それに世界が力を合わせる、今が重要な段階だと思っている。