分科会報告 : 【 地球温暖化と水問題 】

2007年8月29日

p_070829_19.jpg【報告者】
福川伸次(財団法人機械産業記念事業財団会長、元通商産業事務次官)
ふくかわ・しんじ

1932年生まれ。55年東京大学法学部卒業。同年通産省(現経済産業省)入省。内閣総理大臣秘書官などを経て、通産省事務次官に。88年、退官。神戸製鋼副社長などを経て、94年、電通顧問兼電通総研社長兼研究所長に就任。現在、産業構造審議会(経済産業省)、中央環境審議会(環境省)委員のほか、日中経済知識交流会日本側代表、日中経済協会21世紀展望委員長などを務める。主著に『21世紀・日本の選択』『IT時代・成功者の発想』『日本への警告』『活力ある産業経済モデルへの挑戦』等。

【 地球温暖化と水問題 】

 地球温暖化と水問題の分科会は杜平先生と私が司会を務めました。中国側は3人、日本側は5人のパネリストにより、熱い議論となりました。時間の関係もありますので、かいつまんで内容をご報告させていただきます。

 環境分科会ではまず、戦略的互恵関係の必要性を確認しました。その中で環境は非常に重要な位置にあります。日本側からは安倍総理の発言を基に「Cool Earth 50」の説明や京都議定書の認識の確認等が行われ、中国側からは気候変動、環境変化、水問題などの現状や具体的な政策に対する説明・紹介が行われました。また、中国が発展途上国であることについての発言もありました。これらの話し合いで双方の認識が深まり、環境問題の具体的な対策においても共通認識が生まれました。

 地球温暖化をどのように解決するかという問題に関しては、市場のグリーン化、一般レベルでの意識改革、新エネルギー、技術開発、循環利用が必要だという話にまで至りました。これらの解決に対する各論、そして具体的な問題解決を話し合うべきだという声があがりました。格差に応じた市民の参加に注目すべきだという発言もあり、中国側からクリーナープロジェクトや都市でのソーラー発電などが紹介されました。

 次に、民間の活力をいかそう、環境をビジネスとして発展させていくという話にも及びました。セクトラル・アプローチの観点からも議論が交わされ、知的財産の保護やコストの健全化などフレームワークの整備が必要だとの指摘がありました。

 金融面での政策の必要性についても議論がなされました。家電や自転車のリサイクルなどの具体的方策、日本の経験や国民運動の紹介などが紹介されました。
そして、公民連携をすすめることも重要です。民間機能だけでなく、政府のフレームワークの必要性も指摘され、環境税などの早急な対策が公民の環境問題における整合性のある連携システムの構築につながるという意見が出されました。
 
 水問題も重要であります。地球温暖化と水問題における科学的関係性は示せないが、切り離して考えるべきではなく、関連国が努力していく必要がある問題でしょう。

 安倍首相はポスト京都議定書の枠組みづくりに関し、中国の姿勢に期待していると述べていました。中国側からは中国が発展途上国であり、環境対策は非常に困難である現状を理解してほしいという意見が出されました。

 最後に、日中関係において環境協力には長い歴史があり、今後も長く続けていく必要があるという点で一致しました。オリンピックに関しては、光化学スモッグなど日本の経験が活かせるとの指摘があり、日中環境保護センターの活用や日本の愛知万博における徹底したごみの分別収集を行ってはどうかという提案が日本側から出されました。中国と日本の協力をひとつのモデルとしたいという意見もありました。第一回アジア・太平洋水サミットでは中国首脳の参加を期待しています。

 個人的な体感として昔に比べ、中国の環境が改善していることに感銘を受けています。しかし、その試みはいまだ途上であり、日中双方が長く協調すべき分野であるとの報告もされました。今後、さらに議論が深まっていくことを期待しています。


担当:鈴木、中山
編集:渡辺

 地球温暖化と水問題の分科会は杜平先生と私が司会を務めました。中国側は3人、日本側は5人のパネリストにより、熱い議論となりました。時間の関係もありますので、かいつまんで内容をご報告させていただきます。