次の日本をつくる言論

「言論NPOの10周年と次の挑戦 ―強い民主主義と健全な世論の形成」報告

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【第二部】言論NPOの10周年を祝う会 発言録


 佐々木 毅氏(学習院大学法学部教授)
 皆様方のご協力にお礼を申し上げます。
 どこいっても選挙の話ばっかりで、なんともすっきりしない気持ちで年の瀬を迎えます。いろいろな論議を何のためにやってきたのかと言うと、危機が起こるのを織り込んで議論をしてきました。こうした深刻な事態が起こるかもしれません。そのためにというと語弊がありますが、それを視野に入れて、やってきました。言論NPOも正念場を迎えるときに差し掛かりました。みなさまの活発な参加で、成果を発揮する新たな段階に入れるように、これからもご協力を賜りたいと思います。


 明石 康氏(財団法人国際文化会館理事長)
 工藤さんは、非常に大きな能力と指導力のある、魅力のある方です。組織力は首をかしげるところがありますが、そういう指導者として、言論NPOを運営してきました。日中間の民間の欠かせないフォーラムが7年目となって、現在至ります。公式ではありませんが、それを補足し補強する。そういう大事な役割を担っています。
 佐々木さんの話にもありましたが、今、世界では民主主義の危機となっています。ギリシャなどです。テクノクラートに困難なものを委ねる時代になっています。メディアの質の向上は大事です。第2のメディアが、生活にとって大事だと。TPPの議論も、なんだか物足りないと思う方が多いかと思います。多くのより質のいいデータを分析したものを与えてくれるような、新しいメディアが必要でしょう。その中で10年目を迎えた言論NPOですが、もっとたくましくなってほしいです。それに値する組織だと思っています。


 工藤 泰志(言論NPO代表)
 なんとか10年になりました。生き延びたことがニュースだという人もいますが、これまでは準備期間だという人がいます。後者の意見を大事にしていきたいと思います。ありがとうございました。今後ともご支援、ご協力のほど、宜しくお願いいたします。


 増田 寛也氏(株式会社野村総合研究所顧問)
 10年続いたことが大変奇跡だと言っていましたが、それだけ必要性があったということです。世論の世の字は難しい字の方だと思いますが、世論の土台作りが大事だと工藤さんは言っていました。もっと活動を活発にして、今度ももりあげていきたいですね。東京-北京フォーラムにも着手してきましたが、全体のバランスをとっていきたいです。
 あと、工藤さんは、ファンドレイジングが苦手かと思います。この会は、しっかり支えていくことを確認する場でもあるべきだと思います。
 これまで10年間支えてくださった方に、心からお礼を申し上げます。我が国の健全な世論が発せられることをいわって、乾杯。ありがとうございました。


 藤田 幸久氏(財務副大臣)
 こんばんは。10周年おめでとうございます。参議院議員の藤田幸久です。中国とのフォーラムに参加したいということで、今参加させていただいております。日中関係は、この言論界で信頼をつくることが大事であり、工藤さんや安斎さんが、ネットワークをつくっていただいて大変感謝しております。言いたいことを言える関係を、ここでつくられていることに、非常に意味があると思っています。
 先日政策決定会合があって、中央銀行の金利を下げる決断をしました。ギリシャのことが日本に影響を与える時代にあり、世論の形成が大事になっている時代です。
 各国の財政が影響し合う時代なので、この言論が政治の原点です。言論NPOの将来は、今後にあります。10年、20年たっても、何かあったら言論NPOに集まる、となってほしいです。本日はおめでとうございました。


 神野 直彦氏(地方財政審議会会長)
 神野直彦です。増田さんが岩手県知事をやっているときに、地方分権に関する会をまとめることがあり、そこで工藤さんと付き合いがありました。
 10周年ということで、おめでとうございます。あっという間ですね。言論NPOについては、「10年ひと昔」というのがあてはまると思います。私は、ドイツの財政学をやっています。ガルブレイスの「不確実性の時代」という本を、工藤さんの言葉を聞いて、はっと思いだしました。今日本はアメリカのような観客用スペースの政治を出しているのではないかと。スイスの政治は人民の政治です。何か困難があったら、人々が自分たちで解決案を考えて行動をしていくというものです。ところが、アメリカは、指導者の政治です。何かあったらいい指導者を見つけようとします。観客としてスポーツをみるようなことになります。スポーツそのものをみなくなり、勝敗だけをみるようになります。1929年の世界恐慌のあと、各国は中央集権化していきました。しかし、スイスとスウェーデンだけの2カ国が、中央集権化しなかったのです。戦争せずに景気回復をはかりました。
 スウェーデンも人民の政治です。18歳で選挙権があたえられます。被選挙権も18歳なんですね。子どもたちに18歳になったら、選挙権を行使しろと。それはいいが、被選挙権もあるといって、新聞やラジオで意見をいえ、政治家にものをいえと。多くの人が集まれば、政治を動かせるから、デモに参加しなさいと。市民組織に入って、みんなで公の問題を考えていると。わたしたちが、大災害で気づいているように、傍観者であってはいけないと。
予言の自己成就という言葉があります。未来がこうなると確信すれば、悲観的な未来を予測すればそうなるし、楽観的な場合もしかりということです。
 言論NPOに、いい未来を描いてほしいです。


高橋 進氏
損保ジャパンの佐藤正敏様、お願いします。

 佐藤 正敏氏(株式会社損害保険ジャパン取締役会長)
 10周年おめでとうございます。工藤さんはファンドレイジングが上手ではないという話がありました。いや、そんなことありません。ファンドレイジングについて、わたくしたちも協力しております。これから、新しい10年となりますので、これからの活動に参加したいです。また今後の10年も活発な活動となるように、願っています。ありがとうございました。


 加藤 紘一氏(衆議院議員)
 工藤さんには借りがあります。10数年前、私の発言で、激しい動きが生じたことがありました。工藤さんはそのとき東洋経済にいて、かなり紙面をさいて、報道してくださいました。なんとなく会社にいづらくなって、言論NPOにいるようになったとのことです。
 この数年で難しいのは、NPOという財政の厳しい組織でいろいろやりくりしていることです。あと、日中の友好のために活動していること、これも大変だと思います。
 日中のフォーラムの開催ですが、財政的にも精神的にもここでくじけてはいけないということで、ご支援をお願いしたいです。ありがとうございました。


 塩崎 恭久氏(衆議院議員)
 塩崎です。言論NPO10周年おめでとうございます。工藤さんが頑張ってきた甲斐がありました。中国にいけず、この前モンゴルにいっていてさぼっているのがばれてしまいましたが。強い民主主義とかいてあるが、みなさんが加わることが必要だということです。
 国会で、民間人が構成する調査委員会を作りました。三権分立はうそで、行政しかないと感じています。国会議員は忙しくてやらない、だから、だれもやらないと。
裁判官がみなさんにルーディンでいっているか御存知でしょうか。100人ほどが、行政官をやっています。これが日本型のしくみなのです。他の国のどこを見ても、そんな国はありません。三権分立の基本からみると、民主主義ではないのではないか。
 足腰が悪いことをかみしめながら、新しい国をつくるために、調査委員会をつくったこともふくめて、新しいフロンティアを開いていきたいです。戦争、エイズもそうですが、まじめに検証したことがないです。やってわるいことはないです。やるのはいいが、間違ったことを自分でみるだけでは民主主義とはいえない。霞が関ががんばるとともに、国会も裁判も頑張ると。ついつい今回言いたいことを言ってしまいましたが。
 ますます言論NPOが活躍していくことをねがっています。


 田中 弥生氏(大学評価・学位授与機構准教授)
 健全な議論を言論NPOにたくすということですが、言論NPOとどのようにご協力いただけるか、会田さん、飯田さん、山田さんのお三方からお話をうかがいます。まず、会田さん、お願いします。


 会田 弘継氏(共同通信社編集委員室長)
 会田です。まず、健全な議論には、健全な体、健康が必要だと思います。飲みすぎないように。
 私自身の関心について、もともとアメリカ、日米関係をやってきた。工藤さんに呼んでもらって、中国にふれることができました。私にとって、国際問題を広く考えられることが大きかったです。日米中を考えることができ、感謝しています。
 さらに、共同通信社と何ができるかについて、地方の活性化。工藤さんのテーマでもあるし、われわれの問題でもあります。共同通信とそうところがあるのでは、ということで、共同していきたいです。言論NPOもいろいろなテーマがあると思うが、分権の問題があります。ぜひこれからも一緒にがんばっていきたいです。


 飯田 政之氏(読売新聞東京本社論説副委員長)
 飯田です。私は2回北京-東京フォーラムに参加しました。メディアは批判の的です。言論NPOはその中間で、新しい分野を開かれていると思います。一層のご活躍を祈ります。


 山田 孝男氏(毎日新聞社政治部専門編集委員)
 山田です。私はNPOを立ち上げて、言論状況をかえるという発想はおもいつきませんでした。そういう意味で若干奇妙ですが、長い間参加してきました。
 いい記者とわるい記者がいる。それだけです。記者として、精進していきたいです。以上です。


 佐藤 玖美氏(株式会社コスモ・ピーアール代表取締役社長)
 工藤さん、おめでとうございます。スタッフの方々も苦労してきたと思います。言論NPOがなぜムーブメントにならなかったか。コミュニケーション戦略がまだないかと思います。


 高橋 進氏(日本総研副理事長、言論NPO理事)
 最後に、言論NPOの会員になったり、寄附、ボランティアとして、ぜひこの活動を応援していただければと思います。本日はお越しいただき、まことにありがとうございました。






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言論NPOの活動は、皆様の参加・支援によって成り立っています。

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