2013年参議院選挙 マニフェスト評価(環境・エネルギー)

2013年7月15日

評価の視点

エネルギー問題を考える際には、どのような政策を採用するにしても、その影響が広く大きくかつ長期に及び、また、プラス面とマイナス面がともに存在するため、その全体像がわかりにくい。有権者に対して、政策の直接的効果のみならず、波及的効果、副作用、コスト負担も含めて政策の実現可能性についてわかりやすく説明しているかどうかを確認する。また、個別の問題としては、再生可能エネルギーをどのような形で具体的に拡大していくのか、その際のコスト負担をどうするか、などをきちんと示しているかどうかも評価のポイントになる。

原発問題に関して、党として原子力への依存を続けるのか、それとも脱原発に舵を切るのか。単に時期やスローガンを競うのではなく、冷静な議論によってどのような道筋を示している政策かどうかをしっかり吟味する必要がある。そして、それを実現するために、どのような政策体系を提示しているのかを見ていく。その際、また、当面の課題としては、現在稼働が停止されている原発を再稼働するべきかどうか、再稼働するとすれば、どういった条件を満たして、どういった手続きを経て再稼働するか、その具体的手順を明らかにしているかどうかが重要である。

環境問題とりわけ地球温暖化対策については、COP18(気候変動枠組み条約に関する第18回締約国会議)において、2020年以降の国際的な枠組みについて議論がなされた。当時の民主党政権(鳩山首相)は条件付きではあるが、「2020年までに1990年と比べて25%の温室効果ガスを削減する」ということを国際的に約束した。この約束は、まだ国際的には取り下げていない。しかし、今年11月に開催されるCOP19(気候変動枠組み条約に関する第19回締約国会議)では、ポスト京都議定書を決めるCOP21に向けて、日本の考えを示す必要がある。その基本的な考え方を、政党としてどのように考えているのか、明らかにする必要がある



【 評価点数一覧 / 自民党 】

項 目
自民党
形式要件
(40点)
理念(10点)
3
目標設定(10点)
3
達成時期(8点)
2
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
1
合計(40点)
9
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
7
課題解決の妥当性(20点)
7
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
5
合計(60点)
19
合 計
28

【評価結果】自民党 マニフェスト評価   合計 28 点 (形式要件 9 点、実質要件 19 点)

【形式要件についての評価 9 点/40点】

「資源・エネルギー大国への挑戦」を掲げ、「地球規模での安全・安心な円ルギー供給体制の普及拡大に貢献する」「資源・エネルギーの多角的な供給構造確立」、「分散型エネルギーシステムの普及拡大」など提示されている。その中で示されているのは、「今後3年間、再施可能エネルギーの最大限の導入促進を行います」、「調達コストを低減させます」といった、スローガンであり、具体的な方策は示されていない。一方で、省エネ・再エネなどを活かした「分散型のエネルギーシステムの普及拡大」、「インフラ輸出の支援体制の強化」など、国際的市場を視野に入れた日本の省エネ等技術開発、普及策の促進に関しては、具体的な目標(時期、導入量等、予算)が記されている点は評価できる。

原子力については、原発への依存を続けるのか、それとも脱原発に舵を切るのか、明確に示されていないことは減点要因である。

環境政策では、「地球環境の保全」を謳い、地球温暖化など環境対策の推進、越境公害に対し、関係国と連携した根本的な対応を促進することが示されている。しかし、スローガンにとどまり、具体的な道筋は描かれていない。さらに、CO2削減目標について何ら言及しておらず、評価できない

【実質要件についての評価 19 点/60点】

エネルギー政策については、「資源・エネルギーの多角的な供給構造確立」、「分散型エネルギーシステムの普及拡大」などが掲げられているものの、天然ガス、メタンハイドレード、レアアース泥の探査、シェールガスの新規輸入をどのように進めていくのか、具体的な制度設計については深堀されておらず、政策の実現可能性についてもほとんど説明されていない。また、エネルギー政策をゼロベースで見直し、電力システム改革の断行が掲げられているが、その具体的なことは何ら触れられておらず、今度、どのように進めていくのか、国民に説明する必要がある。

原子力の依存については再稼働への認識、原子力技術などのインフラ輸出などの認識を見る限り、原子力への依存は当分続ける旨が読み取れる。しかし、今後のエネルギーのベストミックスを確立するに当たっても、党としての明確な姿勢は選挙で示されるべきであり、国民に対してきちんと説明する必要があるが、何ら説明はなされていない。原発の再稼働については、原子力規制委員会の判断に委ねることが明記されている。しかし、「地元自治体の理解が得られるように最大限努力をする」と曖昧な表現になっており、説明・協議・合意形成の方法をどのようにするのか、具体性に欠ける。

また、電力市場制度改革について内容が抽象的で、これまでどういった取り組みを行い、今後どういったスケジュール感で進めるのか何もしめされておらず、説明不足である。 

最後に、エネルギー政策に重点を置いているが、温室効果ガスの削減目標などは何ら記載されていない。今年の11月にCOP19が行われることから、何らかの目標、それが提示できないならいつまでに提示できるのか、といことについて国民に説明する必要があるが、それもなされておらず評価できない

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【 評価点数一覧 / 公明党 】

項 目
公明党
形式要件
(40点)
理念(10点)
2
目標設定(10点)
5
達成時期(8点)
2
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
1
合計(40点)
10
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
5
課題解決の妥当性(20点)
5
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
3
合計(60点)
15
合 計
25

【評価結果】公明党 マニフェスト評価   合計 25 点 (形式要件 10 点、実質要件 15 点)

【形式要件についての評価 10 点/40点】

原発政策について独立した項目を設け、「原発に依存しない社会・原発ゼロへ」という目標を掲げ、「原発の新規着工を認めず、40年運転制限を厳格に適用」すると党としての方針を明確にしめしたことは評価できる。また、原発再稼働については「原子力規制委員会が新たに策定した厳格な基準を満たすことを大前提に、国民、住民の理解を得て判断」するとしているが、一方で、原発に依存社会をめざし、もう一方で原発の再稼働は進めるということに対する説明は何らされておらず、この点は減点要因である。

エネルギー政策については、「成長戦略の実行」の項目で、「省エネ技術による市場開拓と再エネ導入促進」や「電力システム改革」、「再エネの導入の促進」、「環境技術の海外展開」など、積極的に推進することで、成長産業に育てようとの意思が感じられる。しかし、具体的な進め方などについては示されていない。

一方、環境問題については、上記成長戦略の項目の中で「高効率火力発電や、再エネ発電システム等を新興国へ積極的に輸出し、地球温暖化に対して日本の技術を生かした貢献をめざすなど、地球環境に配慮した経済成長へつなげる」とされている。しかし、本来、環境問題で国民に示す必要のある温暖化対策や、温室効果ガスの削減目標などについては、何ら明らかに示されていない

【実質要件についての評価 15 点/60点】

理念は明確で政策メニューも豊富に提示している。特に成長戦略、他に中小企業対策、地方の活性化、科学技術政策、そして資源開発と外交戦略など、多様な政策分野の戦略ツールとしての重要性を強調している点がユニークである。しかし、党の政策として、原発依存度を減らしていくことが明記されたことは評価できるが、それに代わる代替エネルギーについては何ら示されていないことは減点要因である。

また、電力市場制度改革について内容に新味がない点で自民党と同様。政権与党としてこれまでどういった取り組みを行い、今後どういったスケジュール感で進めるのか(当初計画は維持されるのか否か、時期の明確化)に触れられておらず、減点要因である。

また、形式要件でもふれたように、温室効果ガスの削減目標などは何ら記載されていない。今年の11月にCOP19が行われることから、何らかの目標、それが提示できないならいつまでに提示できるのか、といことについて国民に説明する必要があるが、それもなされておらず評価できない

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【 評価点数一覧 / 民主党 】

項 目
民主党
形式要件
(40点)
理念(10点)
2
目標設定(10点)
1
達成時期(8点)
1
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
0
合計(40点)
4
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
5
課題解決の妥当性(20点)
5
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
0
合計(60点)
10
合 計
14

【評価結果】民主党 マニフェスト評価   合計 14 点 (形式要件 4 点、実質要件 10 点)

【形式要件についての評価 4 点/40点】

環境・エネルギー分野に政策資源を集中し、時代の要請に合った産業を育成することを謳っている。そのために、再生可能エネルギーの拡大、省エネルギー技術の飛躍的普及、2030年代に原発稼働ゼロ、発送電分離などの電力システム改革の推進が掲げられているが、具体的な道筋が描かれておらず、政策とは言えず単なるスローガンでしかない。また、一方で、原発に依存社会をめざし、もう一方で原発の再稼働は進めるということに対する説明は何らされておらず、この点は減点要因である。

また、温室効果ガス削減に関する目標については何ら示されておらず、評価できない。

【実質要件についての評価 10 点/60点】

政策項目は提示しているものの、それらが最終的に「中間層を厚く、豊かに」という上位理念にどうつながっていくのか、政策の体系性が不明である。

また、民主党政権時に決定された温室効果ガス削減に関する2020年25%目標や、現行のエネルギー基本計画についての説明などは何ら記載、説明されておらず、政権与党時代の教訓を活かす形でのマニフェストになっておらず、具体的な環境・エネルギー分野の行動計画、取り組み方も何ら記載されていない。

原発政策については、3つの原則を提示し、党としての認識を示した点は加点できる。しかし、民主党政権時に建設が容認されていた大間原発、島根3号機について、厳格に3つの基準を適用するのか、その点についても何ら明示されておらず、政策の一貫性などについて疑問であり、国民に説明責任を果たしているとはいえない。

また、前述したとおり、民主党政権時に国際公約とされた温室効果ガス削減に関する2020年25%目標について、党としてどのように考えているのか。変更するのか、しないのか。変更するにしても、どのように目標を変更するのか、国民に説明する必要があるが、何ら説明がなされておらず、無責任と言わざるをえない。

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【 評価点数一覧 / 日本維新の会

項 目
日本維新の会
形式要件
(40点)
理念(10点)
3
目標設定(10点)
3
達成時期(8点)
2
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
0
合計(40点)
8
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
5
課題解決の妥当性(20点)
3
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
0
合計(60点)
8
合 計
16

【評価結果】日本維新の会 マニフェスト評価   合計 16 (形式要件 8 点、実質要件 8 点)

【形式要件についての評価 8 点/40点】

「最小のエネルギー供給力最大の効率を上げる先進国最先端モデルの国をめざす」ために、再生可能エネルギーの最大限の利用、世界最先端の原子力技術の維持を掲げている。しかし、他に具体的な記述はなく、単なる目標に過ぎない。また、原発関連では、党として「既設の原子炉による原子力発電は2030年代までにフェードアウトさせる」ことが明示されている。この点については評価できる。しかし、「脱原発依存メカニズムの構築」、「発送電分離を早期に実現し、電力の自由化をスピードアップ」などが示されているが、抽象的で評価できない。また、再稼働についても見解については明確にしめしていない。
環境政策については、特段の記載はなく評価できない。

【実質要件についての評価 8 点/60点】

エネルギー政策のみに重点をあてた政策が示されているものの、環境(温暖化)分野に関する記載が全くなく、党としてどのような認識を有しているのか何ら説明がなされていない。党としての解決策が示されておらず、公約としての課題抽出は不十分である。
個別の政策については、原子力政策の抜本的見直しに関しては、時間軸、論点項目が網羅的に示されていることは評価できる。ただ、電力市場制度改革を行い、市場制度を通じた脱原発依存を実現することが示されているが、再生可能エネルギーでの代替をどのように進めていくのか、その道筋は何ら示されておらず、説得力に乏しい。そもそも、その電力市場制度改革については、内容に具体性が乏しく、エネルギー政策全体としての政策体系が不透明であり、それを国民に説明しようとする意識も感じられない。
また、脱原発依存を進める一方で、世界最先端の原子力技術を維持していくことも掲げられているが、その関係性、理由について何らを示しておらず、政策の整合性に疑問が残る。
ま温室効果ガスの削減目標などは何ら記載されていない。今年の11月にCOP19が行われることから、何らかの目標、それが提示できないならいつまでに提示できるのか、といことについて国民に説明する必要があるが、それもなされておらず評価できない。
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【 評価点数一覧 / みんなの党 】

項 目
みんなの党
形式要件
(40点)
理念(10点)
3
目標設定(10点)
5
達成時期(8点)
2
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
1
合計(40点)
11
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
6
課題解決の妥当性(20点)
8
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
1
合計(60点)
15
合 計
26

【評価結果】みんなの党 マニフェスト評価   合計 26 点 (形式要件 11 点、実質要件 15 点)

【形式要件についての評価 11 点/40点】

「抜本的なエネルギー転換を図ることで新たな経済成長(グリーングロース)」をめざし、原発やエネルギー政策では、①「2020年の電力自由化の実現」及び、②「2050年に再生可能エネルギー80%」、③「2030年までの原発ゼロに向けて」を掲げ、環境関連では、④「エネルギー効率を向上させCO2も削減」という項目を掲げられ、それぞれに政策項目が提示されている。しかし、①~④をなぜ目指すのか、という総論的なものが明示されていないため、それぞれの目標において各政策項目がどのような体系で構成されているのかが不明確である。しかし、原発ゼロを宣言し、それに向けた道筋をある程度示したことは評価できる。一方で、原発ゼロを宣言しつつ、原子力着せ委員会が定める基準に適合すれば、原発の稼働を認めることになるが、それに対する説明は何らされておらず、この点は減点要因である。
温室効果ガスの排出削減に努め、原発ゼロと2020年までに温室効果ガスの排出量を1990年比で25%削減する国際公約の維持が示されている。党としての目標を定めたことは加点できるものの、その実現に向けて、具体的な方策が提示されていないことには、単なるスローガンとしてしか評価できない。

【実質要件についての評価 15 点/60点】

上記のように理念は明確であるし、至近、中長期のエネルギー政策、地球温暖化対策の目標と取り組みといったエネルギー・環境分野の課題・争点を包括的に取り上げ、比較的、具体的に記されている点は評価できる。
しかし、政策目標に関する実現可能性については、再生可能エネルギーを2050年に全発電量の8割を目指しているものの、その具体策、道筋は何ら示されていない。
また、2030年までに原発ゼロを目指すことが明確に掲げられている。しかし、どのような道筋で廃炉を行い、その費用は誰が負担するのか、などについては何ら示されていないことは減点要因である。また、核燃料サイクルの放棄と放射性廃棄物直接処分という取り組みについても、処分場選定という当該政策の「肝」をどうするのか、という部分が抜け落ちており、実現可能性を推し量ることが困難である。
さらに、電力市場制度改革と地方活性化については、いずれも興味をひくキーワードではあるが、その両立は可能なのか、相互関係が明確に示されていない。
環境問題については、「2020年までに温室効果ガスの排出量を1990年比で25%削減する国際公約の達成を目指す」と目標を掲げているが、評価の視点でも述べた通り、目標を提示した当時は、原子力を大幅に拡大するということを前提とした計画であったが、2030年までに順次廃炉に向かう原発と、それを賄う火力発電、再生可能エネルギーをどのように組み合わせていくのか、明らかにされていない。
発政策では、工程は示しているものの、例えば、「原発国民投票法」については、仮に政府に対して法的拘束力を持つ国民投票を実施するのであれば、憲法改正が必要となるが、その点についての認識を示していない。また、「電力自由化」については、電力自由化推進本部を内閣に設置するとあり、政治がリーダーシップをとっていくとみられるが、それ以外については特段の記述がないため、評価できない。
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【 評価点数一覧 / 共産党 】

項 目
共産党
形式要件
(40点)
理念(10点)
3
目標設定(10点)
2
達成時期(8点)
2
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
0
合計(40点)
7
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
3
課題解決の妥当性(20点)
2
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
2
合計(60点)
7
合 計
14

【評価結果】共産党 マニフェスト評価   合計 14 点 (形式要件 7 点、実質要件 7 点)

【形式要件についての評価 7 点/40点】

エネルギー分野においては、「原発の再稼働と輸出を中止し、『即時ゼロ』の決断」、「再生可能エネルギーに大胆に転換する」ことを掲げている。その内容としては、「即時原発ゼロを決断し、ただちに廃炉のプロセスに入る」、「今後5~10年程度で再生可能エネルギーを大規模普及させる」などが示されている。党の認識を明確に示していることは評価できる。しかし、廃炉のプロセスをどのように進めていくのか、また原発停止後、再生可能エネルギーに移行するまでの5~10年の間、火力発電による電力確保が必要になるが、そのコストをどのように負担するのかなど、実現に向けたプロセスが明らかに示されていない。また、温室効果ガスの削減など、環境問題については、なんら言及されておらず、評価できない。

【実質要件についての評価 7 点/60点】

原発即時ゼロと即時廃炉を前提とした内容であり、党としての方針が明確なのは評価できるが、公約では政権批判に終始し、具体的にどう取り組み、どのような工程で進めれば実現可能なのか、ということは示されていないため、実現可能性について評価できない。例えば、再生可能エネルギーの拡大だけでエネルギー需給は本当に再構築できるのか、ということの論証はなく、具体的な政策展開に欠けるし、5~10年程度で再生可能エネルギーの大規模な普及と低エネルギー社会への移行をすすめる、としているだけで見通しも甘いと言わざるをえない。そこまで劇的なエネルギー政策の転換を行うのであれば、それを裏付ける根拠が必要であるが、何も示されていない。

ま温室効果ガスの削減目標などは何ら記載されていない。今年の11月にCOP19が行われることから、何らかの目標、それが提示できないならいつまでに提示できるのか、といことについて国民に説明する必要があるが、それもなされておらず評価できない。
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【 評価点数一覧 / 社民党 】

項 目
社民党
形式要件
(40点)
理念(10点)
3
目標設定(10点)
3
達成時期(8点)
2
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
1
合計(40点)
9
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
3
課題解決の妥当性(20点)
3
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
0
合計(60点)
6
合 計
15

【評価結果】社民党 マニフェスト評価   合計 15 点 (形式要件 9 点、実質要件 6 点)

【形式要件についての評価 9 点/40点】

エネルギー分野において、「原発再稼働反対、脱原発社会の実現」で、「原発再稼働は一切認めず、新増設は白紙撤回」、「脱原発基本法の制定」、「電力システム改革と再生可能エネルギーの促進」などの方針を打ち出している。しかし、前者2つによるエネルギー供給の代替策については何ら明らかにされておらず、脱原発の掛け声だけだと言わざるをえない。
環境問題については、「環境・みどり・農林水産業」という項目で、「京都議定書の第二約束期間」への早期参加、「温室効果ガスを2020年までに1990年比30%減、2050年までに同80%減を実行するための地球温暖化対策基本法をつくる」、「再生可能エネルギーの割合を2050年までに100%をめざす」など、党としての方針を明確に示している点は評価できる。しかし、その実現に向けた政策手段は乏しく、その他の項目について、単なる政策項目の羅列であり、スローガン的な政策から抜け出せていない。更に、脱原発基本法や地球温暖化対策基本法の制定なども示されているが、具体的内容は明らかにされておらず、どのように法案制定に向けて動いていくのかわからず、評価できない。

【実質要件についての評価 6 点/60点】

脱原子力を前面に掲げ、中長期の地球温暖化目標やその他の環境問題への取り組みにも言及するなど一定程度評価できる。
しかし、脱原子力の代替措置・政策に工程や効果の具体性が乏しく、エネルギー需給の全体像を意識し、責任をもって取り組める現実性を実感することができない。例えば、2050年に100%再生可能エネルギーでまかなうというのは、電源なのかエネルギー全般なのか曖昧で、有権者に誤解を生む。また、その実現に向けた課題等の明記がなく、現実性があるのか説得性に欠ける。
環境問題については、「2020年までに温室効果ガスの排出量を1990年比で25%削減する国際公約の達成を目指す」と目標を掲げているが、評価の視点でも述べた通り、目標を提示した当時は、原子力を大幅に拡大するということを前提とした計画であったが、2030年までに順次廃炉に向かう原発と、それを賄う火力発電、再生可能エネルギーをどのように組み合わせていくのか、明らかにされておらず、現実性を欠いていると言わざるをえない。
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【 評価点数一覧 / 生活の党 】

項 目
生活の党
形式要件
(40点)
理念(10点)
3
目標設定(10点)
3
達成時期(8点)
1
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
0
合計(40点)
7
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
3
課題解決の妥当性(20点)
3
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
0
合計(60点)
6
合 計
13

【評価結果】生活の党 マニフェスト評価   合計 13 点 (形式要件 7 点、実質要件 6 点)

【形式要件についての評価 7 点/40点】

エネルギー分野において、「新エネルギー先進国日本の構築で持続可能社会を実現する」ことを掲げ、「原発の再稼働・新増設は一切容認せず、遅くとも2022年までに最終的な廃止を決定する」、「最新型火力発電の推進で原発ゼロを早期実現」、「発送電分離、地域独占供給体制の排除などを完全に行う」などの方針を打ち出していることは評価できる。しかし、2022年までの原発廃止のプロセスは不明確である。また、再稼働については何ら言及されれていない。
環境問題とりわけ地球温暖化対策については何ら言及がなされておらず評価できない。

【実質要件についての評価 6 点/60点】

公約は脱原子力と電力の市場制度改革を争点とした構成になっており、それに加えて資源開発の重要性や農業と再生可能エネルギー普及の連携に触れている点が特徴的である。ただし、タイトルに「エネルギー・環境」と表記しながら、中長期の地球温暖化目標やその他の環境問題への取り組みに全く言及していないなど政策の妥当性を論じる以前の問題も見られる。
内容としても、脱原子力の代替エネルギーやその確保についての政策は、工程や効果についての具体性が乏しく、エネルギー需給の全体像を意識し、責任をもって取り組める体制が見えてこないし、政策実現の現実性を実感することができない。

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【 評価点数一覧 / みどりの風 】

項 目
みどりの風
形式要件
(40点)
理念(10点)
3
目標設定(10点)
2
達成時期(8点)
1
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
0
合計(40点)
6
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
2
課題解決の妥当性(20点)
2
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
0
合計(60点)
4
合 計
10

【評価結果】みどりの風 マニフェスト評価   合計 10 点 (形式要件 6 点、実質要件 4 点)

【形式要件についての評価 6 点/40点】

「2023年までに全原発の完全廃炉に着手。核のごみ処理を確立」、「再生可能エネルギーの開発利用促進、電力システム改革」などを打ち出している。また「地産地消のエネルギー戦略」を掲げ、脱原発を着実に実現し、核廃棄物の管理、廃炉ビジネスを立ち上げること、エネルギーは需要側から管理し、供給は再生可能エネルギーを軸に地域の特性を生かした地産地消に切り替えることを提示している。しかし、政策の具体的な中身については何ら触れられておらず、政策項目の羅列に過ぎず評価できない。
2023年に原発の完全廃炉が掲げられているが、廃炉にかかる費用分担などについて、何ら示されておらず、具体的な方策も何らしめされていない。
環境問題については、「循環型社会、省エネ省資源」や「自然共生の国づくり」を掲げているが、具体的なものは明示されておらず、地球温暖化対策については特段の言及はなく評価できない。

【実質要件についての評価 4 点/60点】

公約では、脱原子力を前提とした再生可能エネルギーの地産地消促進によるエネルギーシステムの理念が示されているものの、どのように進めていくのか具体的な記載がなく、実現可能性について説得性に欠け、国民に対する説明責任を果たしているともいえない。

温室効果ガスの削減目標などは何ら記載されていない。今年の11月にCOP19が行われることから、何らかの目標、それが提示できないならいつまでに提示できるのか、といことについて国民に説明する必要があるが、それもなされておらず評価できない

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