「2012年、何が私たちに問われているのか」(総論)

2012年1月01日

2012年、何が私たちに問われているのか(記述回答編) はこちら


 言論NPOでは、昨年末、「2012年はどのような年になると思いますか」と題して、有識者を対象に緊急のアンケートを実施しました。
 アンケート結果からは、9割近い有識者が、日本にとって2012年は、財政破綻や社会保障の問題、原発対応といった大きな課題への判断が問われる極めて重要な年になると認識しており、2012年に予想される解散総選挙後の日本の政治の姿に関しては、民主党や自民党など既成の政党間の政権交代ではなく、4割近い人がそれぞれ「政界再編」と「不安定な政治の継続」と予測しています。
また、こうした日本の政治状況を変えるのは、私たち有権者自身と若い政治家、だと考えていることも明らかになりました。


2012年、日本はどんな年になるか

 まず、「2012年、あなたは日本にとってどのような年になると思いますか」では、「日本の将来に影響を与える、決定的な一年になると思う」が27.5%、「決定的とまでは言わないが、日本の将来に影響を与える重要な一年になると思う」が58.8%となり、およそ9割近い人々が、2012年が日本の将来にとって大事な年になると強く意識しています。
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 設問では、そのように回答した理由も尋ねていますが、「日本の将来に影響を与える、決定的な1年になると思う」と回答した方の意見には、「新年は解散、総選挙が実施されるだろうが、それを機に政界再編へと進み、新しい政治態勢のもとで平成維新といえるような大改革へと動き出せるのかどうか、重大な岐路の年になる」(70代、NPO・NGO関係者)、「政策課題がすべて先送りされていて、もうこれ以上延ばすことができない状況だと思う」(60代、NPO・NGO関係者)、「消費税の引き上げを決定して財政危機を回避しなくてはならない。引き上げを先送りして、長期金利があがれば、国民生活に大きな痛手となる。時間がない」(40代、学者・研究者)などがありました。
 「決定的とまでは言わないが、日本の将来に影響を与える重要な1年になる」と考える人には、「米、ロ、フランス、韓国で大統領選、中国で指導部交代、北朝鮮で権力移行など、世界情勢が大きく変化する」(50代、メディア)、「日本の地盤沈下が大きく進む1年になると思いますが、その危機的な状況にみあった的確な対応ができない1年になると予想します」(40代、メディア)といった意見があり、米国や中国を中心とした主要各国でトップの交代がある状況や、日本の政治の紺面が意識されています。

 一方で、「図らずも「決定的な1年」となったのは2011年だったと思う。世界的には大統領選の多い2012年が大きな意味をもつと思うが、日本社会が大きな転換を迫られたのはやはり東日本大震災と原発事故を経験した去年だった。日本社会は、経済成長一本槍の社会でもなくあるいは成熟社会でもなく、豊かさや安全とは何かを深いレベルで理解し獲得していかなければならなくなった。その意味で、2012年は、そうした社会へとどう転換させていくのか、政治・経済・文化の各方面で実質的な取り組みが問われる年になると思われる」(40代、学者・研究者)など、昨年の大震災を契機とした決定的な変化を受けて、2012年にはそれに対する着実な対応が問われるといった意見も出されています。


2012年、最も関心のあるテーマは「財政破綻」と「政党政治の混迷」

 次に、「2012年の日本を考えるにあたって、最も関心があるテーマ」を問いました。

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 2012年、一番関心のあるテーマは、「日本の財政破綻」で47.1%、次は「日本の政党政治の混迷」が30.4%。3番目は「年金・医療などの社会保障」で25.5%、そして、「原発問題」の24.5%となり、財政破綻やそれに連動する大きな要素としての社会保障の問題、そして、原発事故に端を発する事故処理やエネルギー政策についての関心が高くなっています。
 一方で、二番目に多かった「日本の政党政治の混迷」をはじめとし、「ポピュリズム」(15.7%)、「政界再編」(16.7%)を挙げる人も多く、政党政治そのものが混迷している状況も、考えなければならないテーマとして感じる人が数多くいることが明らかになっています。


日本に新年、最も問われている課題は「成長戦略」「政党政治の立て直し」「社会保障改革」「原発」「財政再建」

 それに関連して、「2012年、日本に問われるもっとも大きな課題は何か」を問う設問では、最も多かったのが、「日本の成長戦略」で27.7%、それに並ぶのが「日本の政党政治の立てなおし」(25.7%)、「持続可能な社会保障制度への改革」(23.3%)です。そして、「原発を含めたエネルギー政策の転換」が20.8%、「財政再建」が19.8%、「原発事故の処理」が16.8%で続きました。

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6割が「2012年に解散がある」と考え、「解散後」の日本の政治の姿は、「政界再編」と「不安定な政治の継続」で意見が分かれた。既存政党間の政権交代を予測する人は少ない

 さらに、2012年の政治がどうなっていくのかについても、設問を設けています。
 まず、「2012年、あなたは解散総選挙があると思いますか」という設問では、58.4%もの人々が「解散がある」と見ています。


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 「解散がある」と回答した方に、「選挙後の日本の政治の姿をどのように予測していますか」という設問をしたところ、最も多かった回答は「政界再編」の37.1%、それと並ぶように多いのが、「不安定な政治の継続」で35.5%という回答でした。「野田政権の継続」は4.8%、「野田首相は代わるが、民主党を軸とした政治の継続」はわずか3.2%、さらに、「自民党への政権交代」についても11.3%にすぎません。つまり、多くの人たちは、先ほどの設問で挙げられたような日本に問われている課題を解決するためには、単なる今の既成の政党¬政治、政権を変えるだけには¬答えが出ないのではないかと考えていることが分かります。

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政治の混迷を打開する主体は「有権者」と「若い政治家」

 では、このような日本の状況を誰が立て直せるのか。立て直す主体は誰であるかを問う設問では、最も多かったのは「若い政治家」で47.5%、これと対になる選択肢の「ベテラン政治家」は7.1%でした。そして、トップに次いで多いのが、「有権者」(41.4%)という結果になりました。
 「NPO・NGO」と「インターネットメディア」が21.2%で並び、大阪でのトップ交代で話題になっている「知事などの地方の首長」も20.2%となっていますが、圧倒的に有権者をベースにした大きな転換を期待していることが明らかになりました。

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<調査手法と回答者の属性について>

 アンケート調査は、2011年12月20日~21日の二日間、言論NPOのウェブサイトやメール配信を通じたインターネット形式で行われ、言論NPOの活動にご参加、あるいはご協力をいただいている各分野の有識者、ジャーナリスト、企業経営者、官僚など102人から回答をいただきました。
 回答者の属性は、会社員が18.6%と最も多く、企業経営者・幹部13.7%、メディア幹部2.9%、メディア7.8%、国家公務員2.9%、地方公務員2.0%、地方議員1.0%、学者・研究者8.8%、NPO・NGO関係者6.9%、各団体関係者9.8%、主婦1.0%、学生1.0%、自営業7.8%、その他15.7%となり、年代別に見ると、20代2.9%、30代7.8%、40代17.6%、50代26.5%、60代27.5%、70代13.7%、80代3.9%となりました。


2012年、何が私たちに問われているのか(記述回答編) はこちら

言論NPOでは、昨年末、「2012年はどのような年になると思いますか」と題して、有識者を対象に緊急のアンケートを実施しました。
アンケート結果からは、9割近い有識者が、日本にとって2012年は、財政破綻や社会保障の問題、原発対応といった大きな課題への判断が問われる極めて重要な年になると認識しており、2012年に予想される解散総選挙後の日本の政治の姿に関しては、民主党や自民党など既成の政党間の政権交代ではなく、4割近い人がそれぞれ「政界再編」と「不安定な政治の継続」と予測しています。
また、こうした日本の政治状況を変えるのは、私たち有権者自身と若い政治家、だと考えていることも明らかになりました。