「言論NPOの9周年を祝う会」が開催されました

2010年12月22日

101221_top.jpg 12月21日、都内にて、「言論NPOの9周年を祝う会」が開催されました。

 言論NPOは2001年11月に発足し、「健全な社会には健全な議論が必要」との立場から、以来9年間にわたって様々な議論や活動を行ってきました。パーティーには、言論NPOの活動にご支援、ご協力をいただいている会員や支援者の皆様をはじめとして、政界、経済界、学術界、そしてNPO関係者など約250名の方々にご参加いただきました。


小林陽太郎氏 まず、設立当初から言論NPOのアドバイザリーボードのメンバーとしてご協力をいただいている小林陽太郎氏(富士ゼロックス株式会社前最高顧問)が挨拶。小林氏は、「言葉の元にある考え方そのものについて、我々として大いに自省し、言論NPOがいろいろな形で場を提供して、日本における言論の質を高めていくことで、グローバルの中での日本の存在価値が評価されていくのではないか」と述べ、そうしたミッションに共感しこれまでの活動を支えていただいた皆様に対し、アドバイザリーボードとして感謝の意を表明しました。

福田康夫氏

 次に登壇した福田康夫氏(衆議院議員、元内閣総理大臣)は、本年の「第6回東京‐北京フォーラム」を機に言論NPOの活動に参加した経緯に触れ、東アジアの安定を実現するには、「腕力に頼らない以上、言論でやるしかない。お互いに言葉でもって説得し、理解をしてもらう。そしてお互いの共通点を認識していくことが必要なことであり、今まさに求められていることだ」とし、戦略的互恵関係のレールに改めて戻っていくために言論NPOの役割が極めて大きいと指摘しました。


佐々木毅氏 また、同じくアドバイザリーボードのメンバーである佐々木毅氏(学習院大学教授)は、「政策にしろ言論にしろ、やはり現実に対する耐えざる執念があって初めて議論は生き、根を持つものだと私は確信している。今は現実を見極めるために、大いに言論を活発にし、お互いの現実認識を磨き上げ、そしてじっくり取り組むべき時期だ」とし、10周年を迎えるにあたり、自身もアドバイザリーボードとして出来る限りの協力をしたいと強調しました。

岡田克也氏 続いて岡田克也氏(衆議院議員、民主党幹事長)が、ご自身が外務大臣時代に記者会見のオープン化をした経験に触れ、「やはり多様な立場からの議論があってこそ、議論が深まっていくと実感した。言論NPOはまさしくそうした議論をする場をご提供いただいており、ますます活発に議論いただき、日本の言論を深めていただきたいと思う」と述べ、言論NPOの活動への期待を語りました。


工藤泰志 4名のご発言の後、言論NPO代表の工藤が挨拶を行いました。工藤は、9周年という区切りの年に本会を行うことについて、「この言論NPOを立ち上げたときに、私は『当面10年は続ける』と言ったが、その10年まであと1年。この1年は言論にとって非常に重要な意味合いを持っている。10年経ってからではなく、この最後の1年を決意を新たに取り組もうと言うのを皆さんに伝えたかった」と述べました。そして、「僕たちが取り組む議論づくりは工藤だけの動きではなく、各分野で活躍する皆さんときちんとつながって、一緒に考えるという舞台にしたい」とし、いよいよ来年10年を迎えるにあたって、「日本の未来を憂いている皆様と共に、来年1年間でこの国を変えるためのまさに1つの変化のきっかけをつくりたい」と決意を表明しました。


安斎隆氏 この後、言論NPOのアドバイザリーボードの安斎隆氏(株式会社セブン銀行代表取締役会長)より乾杯の音頭が取られました。そしてその後も出席者からの挨拶が続きました。

仙谷由人氏

 会場に駆け付けた仙谷由人氏(内閣官房長官)は、「今の政局は何があってもおかしくないが、しかし、日本という国は、そうは言っても、市民社会、経済、言論の世界も健全でしっかりとしたものがあると私は信じている」と述べ、言論界の一翼を担う言論NPOの活動に期待を込めて祝辞を述べました。

明石康氏

 言論NPOのアドバイザリーボードのメンバーである明石康氏(国際文化会館理事長)は、「民主主義にはタフな市民社会がそれを支えている必要もある。我々がやっていることが徒労に見えることもあるが、ますます厳しくなる東アジアでは、お互いの間に何本でも横のパイプをつなげることが大事になってきており、特に縦割りの社会を横につなぐことで、いろんな風穴を開けることができるはずだ」と述べ、この国の民主主義を本物にするために言論NPOが果たしている役割は非常に大きいと語りました。

渡部恒三氏

 渡部恒三氏(衆議院議員、民主党最高顧問)は、ご自身のこれまでの政治体験を踏まえ、「みなさんの毎日の言論活動が、明日の日本をつくり、この低迷したつまらない国会を面白くしていただくことを期待している」と述べました。

宮本雄二氏

 続いて言論NPOのアドバイザリーボードの宮本雄二氏(前駐中国特命全権大使)は、「日本民主主義を支える基礎として、この国の言論界を強化するために、発信していかなければならない」との工藤の思いへの強い共感を表明し、「工藤さんを助けることは、日本を助けることです」と述べ、参加者にさらなる支援を求めました。

石破茂氏

 次に、石破茂氏(衆議院議員、自由民主党政調会長)は、「我々自民党が政権を失ったのは、有権者に対する感謝と畏れがなくなったからであり、そして、自分の頭で考え、自分の言葉で語る人が少なくなったからだ。それを取り戻さない限り、民主党がダメだから自民党に政権が戻っても、意味がない。それは去年の裏返しでしかない」とし、野党である自民党政調会長としての自身の考えを披露しました。そして、「私は、そんなダメ比べをするつもりはまったくなくて、どちらが正しいのかを問いたい。言論NPOの存在を意識しながら、どうすれば健全な議論になるのか、自分の展開する議論は国民のためになるのかということを常に考えなければならない」とし、政治の世界における言論NPOの役割がかつて無いほどに高まっていると語りました。

武藤敏郎氏

 続いて言論NPOのアドバイザリーボードの武藤敏郎氏(株式会社大和総研理事長)と増田寛也氏(株式会社野村総合研究所顧問)が登壇。武藤氏は、「言論NPOがやるべきことは、まさにオピニオンリーダーとしての役割を果たすことではないか。オーソドックスな意見が権威をもって通用するような場をつくることが、言論NPOの最も需要な役割の一つだと思う」として、オピニオンリーダーたる言論NPOの活躍に期待を示しました。

増田寛也氏

 また増田氏は、「言論NPOのような組織が、マスコミとは一線を画した形で、筋を通して政策評価を継続していくということは、おそらくこれまでの日本の歴史で初めての試みだと思う。是非私も大いに活動を盛り上げて、成功に繋げたい」と述べました。

木村伊量氏

 最後のメディア側から二氏が挨拶。木村伊量氏(朝日新聞社西部本社代表)は、「この9年間、日本の坂本龍馬というべき工藤さんのファイトがあって、その熱意を感じて、多くの方がここまでお集まりになったのだと思う」と述べ、大きなネットワークとしての言論NPOに対してさらなる期待感を表明しました。

今井義典氏

 今井義典氏(日本放送協会副会長)は、「宝所在近」という言葉について触れ、「宝の山は意外に近いところにある。何事も苦労して挫折しそうになるけれども頑張れば宝の山はかならず見つかるという教えらしい。工藤さんぜひ、『宝所在近』でがんばりましょう」と述べました。

冨家友道氏 最後に、言論NPO監事の冨家友道氏(みずほ証券BCP室長・総合企画部IT戦略室長)より参加者に対する御礼の挨拶と支援を呼びかけて、本会は閉会しました。

田中弥生氏 / 高橋進氏

 なお、この日の司会は、言論NPOの理事で日本総合研究所副理事長の高橋進氏と、同じく理事で大学評価・学位授与機構准教授の田中弥生氏が共同で務めました。

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 12月21日、都内にて、「言論NPOの9周年を祝う会」が開催されました。
 言論NPOは2001年11月に発足し、「健全な社会には健全な議論が必要」との立場から、以来9年間にわたって様々な議論や活動を行ってきました。パーティーには、言論NPOの活動にご支援、ご協力をいただいている会員や支援者の皆様をはじめとして、政界、経済界、学術界、そしてNPO関係者など約250名の方々にご参加いただきました。