【vol.16】 大竹美喜 インタビュー『今をチャンスと思わないほうがどうかしている 第2回』

2003年2月13日

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■■■■■Vol.16
■■■■■2003/02/13
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●INDEX
■ 大竹美喜インタビュー『今をチャンスと思わないほうがどうかしている』

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■ インタビュー『今をチャンスと思わないほうがどうかしている 第2回』
  大竹美喜 (アメリカンファミリー生命保険会社最高顧問)
                       聞き手 工藤泰志・言論NPO代表

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今年、私たちは何に「挑戦」すべきなのでしょうか。前回につづき、アメリカンファ
ミリー生命保険の大竹美喜最高顧問に登場していただきます。大竹さんは28年前、
34歳のときにアメリカンファミリーを立ち上げ、日本有数の保険会社を作り上げまし
た。その時の経験を踏まえ、大竹さんは「今をチャンスと思わないほうがどうかして
いる」と語っています。


■ 今をチャンスと思わないほうがどうかしている


工藤 大竹さんは28年前に、今のアメリカンファミリーを立ち上げたわけですが、当
   時と今を比べて、チャンスという点ではどのような違いがあると思いますか。

大竹 私が会社を立ち上げたのは1974年、第一次石油ショックの翌年ですから、今
   の状況と全くよく似ています。経済が苦しいときにみんながニュービジネスを
   探し求めている。その時に立ち上げたわけです。私の父親は「あなたは、社会
   に出てから本当の勉強が始まるんだよ」と口癖のように言っていましたが、そ
   れを守り34歳のときに立ち上げ、初めは10人でスタートしたのです。今も経
   済はどん底で何をやって飯を食っていこうかという人が巷に溢れています。そ
   れで、いいビジネスをやると、みんな「私も手伝わせてくれ」となっているわ
   けです。

   私は、人間というのは、たった一人でも、人生のフレームワークをしっかり作
   り、人生哲学を持てば成功できると思うんですね。私の場合は日本の生保業界
   はこれでいいのか、という気持ちがありました。我々が購入している保険が、
   消費者にとって最高なものかどうかと懐疑的になったわけです。戦後の復興期
   には国民にはなんの財産もなかったのだから、死亡して保険金を受け取る保険
   商品は戦後の復興期には必要だったと思います。ところが、私が仕事をはじめ
   た1974年には、産業構造が一変していてもよかったのに、生保業界も、体質
   改善が行われてもよかった時代だったのに、依然として横並びで同じような死
   亡保障中心の保険を売っていた。「どうしてこんな商品を作ってくれないの」
   と消費者から相談があっても、誰も作らない。だから会社を創るしかないと、
   今の会社を立ち上げたわけです。

   しかし、当時と今は状況がかなり違います。当時は規制で業界が守られ、参入
   はかなり難しかったが、今はそれがほとんどなくなっています。しかも、先に
   も言ったように今はいっぱいチャンスが広がっています。例えば、医療の国際
   的なサービス格差を考えると、その隙間というかビジネスの裾野はかなり大き
   いわけです。それをチャンスと思わないほうが、私はどうかしていると思いま
   すね。

工藤 今がチャンスだとすると、それを活かすべき経営者や個人に問われていること
   は何だと思いますか。

大竹 これからの経営者というのは、プロでなければならないと思います。今までは
   アマだったとは言いたくはないですが、例えば、技術を売り物にする会社であ
   れば、技術者が経営者になるのが自然で、文系の方がメーカーのトップなんか
   になったって経営の判断は難しいのではないでしょうか。例えば金融だった
   ら、金融技術が分かる人がトップにならなければ。今までは、東大法学部だと
   か一橋大学だとか、そういう学歴でもって階段を上ってきたんですが、もはや
   そういう人たちだけが経営者を務める時代ではないでしょう。しかも若手を経
   営者に抜擢することが大切だと思っています。40代の経営者がもっと誕生して
   もいい。そういった人のほうが、今一番時代の変化に敏感に対応できると思い
   ますね。うちの会社は、来年1月1日から40歳のアメリカ人が社長になるんで
   すが、それが私の言う「企業構造改革」です。

   私も34歳でこの会社を創ったのですから、40歳で若いということはないです
   ね。私も34歳の時なんかは、疲れなんて知らなかった。全てに対してギラギラ
   していました。

   ジョン・F・ケネディーが晩年、演説で「若さは命だ」と言っています。しか
   し、若いだけじゃダメで、経営者としての能力がないと経営者は務まらない。
   だから、うちの場合は、後継者を選ぶ場合は、候補を徹底的にアセスメントし
   て、能力を第三者に判断してもらって決めたのです。これは欧米の企業では
   一般的なことです。

                          ──次号へつづく──

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