【vol.72】 「日本のパワーアセスメント―日本の将来設計に向けて」の目的と意義について

2004年3月16日

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■■■■■言論NPOメールマガジン
■■■■■Vol.72
■■■■■2004/03/16
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●INDEX
■ 言論NPO 第3回アジア・シンポジウム
  「日本のパワーアセスメント―日本の将来設計に向けて」の目的と意義について


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■ 言論NPO 第3回アジア・シンポジウム
  「日本のパワーアセスメント―日本の将来設計に向けて」の目的と意義について
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世界有数の経済大国でありながら存在感なき声なき国といわれる日本。存在感が薄れ
ているのは、この国の将来があまりにも不確かで、私たち自身も自信を持って語るべ
き日本の将来像を見つけ出していないからではないか。 そんな問題意識から言論NPO
は昨年から「日本の将来」をテーマに議論を進めてきました。今回のシンポジウムは
その議論の公開の場として内外の有識者の参加を得て、行うものです。

世界が大きく変化し、日本の将来にもさまざまな課題が山積しています。ほとんどの
政策課題が将来設計と連動したものであるにもかかわらず、そうした議論が日本国内
では低迷しています。私たちが「日本の将来」をテーマに設定し、一昨年から三年間
の計画で議論を開始したのは、そのためです。日本の可能性を冷静に分析し議論しな
がら、私たちが望めるような国づくりの選択肢を提起したいと考えたのです。

私たちは二年前から戦略形成の方法論に即してステップを踏まえて議論を行ってきま
した。まず、ステップ1として、日本を取り巻く世界やアジアの中長期的な潮流を見
極めるための議論を行い、世界で始まっている大きな変化が日本の将来に何を問うて
いるのかをここで探りました。そして、ステップ2で日本の自らの力(強さ弱さ)を再評
価する議論を進めています。これらの議論を踏まえることで、私たちは今年4月から
本格化する予定のステップ3以降の議論、つまり「どんな国をわたし達は目指したい
のか」「日本のどのような強さを活用して理想とする国づくりをおこなうのか」、さ
らに「世界やアジアの今後の変化と私たちが望む国つくりとのギャップをどう埋める
か」の議論につなげたいと考えています。このような議論を進めることで、私たちは
O4年度末に日本の将来の選択肢の提案を目指しているのです。
https://www.genron-npo.net/forum/asia/030811_01.html

本日のシンポジウム「日本のパワーアセスメント―日本の将来設計に向けて」はこう
した議論形成のステップ2を公開するものです。私たちはその議論を成功させるため
に日本の経済、政治、大衆文化、社会・教育、科学・技術、防衛・軍事、資源(エネル
ギー、食料)、環境、言論・思想の9分野で「日本の強さ、弱さ」の定性的な評価を、
専門家などのヒアリングなどを参考に進めてきました。こうした作業をもとに「日本
の強さ弱さ」のマッピングを作成し、私たちの仮説として「日本のパワーアセスメン
ト」を提案し、内外の有識者との議論を公開することにしました。

「戦略マップ」の提案はある意味で、私たち言論NPOのアジア戦略会議としての日本
の現状に対する自己認識ともいえるものです。この自己認識には当然、外部認識との
ギャップが存在すると考えられます。自己認識を固めることは戦略形成にとって非常
に重要な作業ですが、その認識は独りよがりであってはいけないと考えています。特
にアジアや世界の人たちとの議論交流を深め、そのギャップを埋め、相互理解を深め
る努力も大切です。

また私たちのこうした作業は議論のたたき台として一つの仮説を提起することでもあ
りますが、こうした試みは、他の方の意見を聞き、フィードバックを受けて検証や更
新を続ける中で、日本における自己認識の共有、あるいはその違いを明らかにするこ
とにつながると考えます。今回のシンポジウム開催の意義は国内外のパネラーをお呼
びしてそうした作業を公開し、日本の将来に向けた議論の舞台をつくることにありま
す。

本日のシンポジウムは、3つのセッションを予定しています。

第一セッションは、まさに私たちの自己認識とアジアの外部認識のギャップを明らか
にして、それを埋める作業を期待しています。ゲストには中国とマレーシア、韓国か
ら三氏をお呼びし、コーディネーターは私たちのアジア戦略会議のメンバーで東アジ
ア研究所所長の国分良成慶応大学教授に御願いしています。第二セッションは日本国
内で活躍する経営者や学者の三方に参加していただき、日本に問われているシステム
の転換を考える上でのそれぞれの「日本の強さ弱さ」を提示していただき、議論を深
めます。最後にこれらの議論を踏まえて「日本はどんな国を目指すべきか」のテーマ
での議論を日本の知識層を代表する方にしていただき、「日本の将来構想」について
の問題提起をしていただこうと考えています。

私たちはこのシンポジウムでの議論を踏まえて、この4月以降、ステップ3、つまり、
日本のアイデンティティーを巡る議論に入ります。また「日本の将来」に向けた議論
をアジアなどの人たちとの間でも始めようと考えています。こうした議論形成は、緊
張感ある政策論議を生み出すために昨年から始めた「マニフェスト評価」作業と並
び、私たち言論NPOの中核の事業でもあります。

今回のシンポジウムの内容、お配りした資料等は、随時ウェブサイトにアップする予
定です。言論NPOのこうした真剣な議論作りの試みに皆さまのご参加をお待ちしてい
ます。


                              2004年3月16日
                           言論NPO代表 工藤泰志

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