小林 陽太郎

小林 陽太郎氏発言

 言論NPOは、私共の共通の友人、「熱血漢工藤さん」といったほうがいいと思いますが、工藤さんの思いをなんとか生かしていこうと、8年前に設立されました。2001年というのは小泉政権スタートの年でもありますし、また直前にニューヨークでの9・11もあり、その後にいろいろな意味で国内的にも世界的にも、いろいろ考えるべき事が一挙に殺到してきた時期でした。まさにその時期に、言論NPOが誕生したのです。そのとき私たちが思ったのは、質の高い、やはり方向もはっきりして、中身もきちんとしている言論を絶やしてはいけないということでした。それに多くの方々が賛同し、工藤さんを応援して言論NPOが始まりました。

 現在も、特に50年来の政権交代以降、日本は多くの問題を国内にも対外的にも抱え、対外的には新たな説明責任に面しておりますが、そういった問題について正面きって徹底的に考え議論をし、そこから正しいあるいは現実的な答えをみつけるためのひとつのきっかけとなる新しいメディアを作ろうとしています。

 そして言論NPOでは、限られた一部のオピニオンリーダーだけではなく、多くの会員が紙面を通じ、とくにネットを通じてタイムリーにいろんな問題の議論に参加して意見を表明し、ここに至っております。

 鳩山政権の誕生はアメリカ、アジアとの関係についても新しい視点からの国家戦略検討を必要としています。そうした中で、やはり一番大切なことは責任のある、質の高い議論を行い、それを国外にも通用する形で発信していくことだと思っています。


小林 陽太郎
富士ゼロックス株式会社 前相談役最高顧問

1956年慶應義塾大学経済学部卒業。ペンシルベニア大学ウォートンスクール修了後、富士写真フィルム入社。63年富士ゼロックスに転じ代表取締役社長、代表取締役会長を経て2006年4月より前富士ゼロックス株式会社相談役最高顧問。09年退任。社団法人経済同友会前代表幹事。