新しい日中関係を模索する、歴史的な作業に向けた覚悟が問われている ~「第17回東京-北京フォーラム」閉会挨拶~

2021年10月27日

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 中国の皆さん、日本の皆さん、最後まで本当にお疲れ様でした。
 この会議中、私は17回目の対話だね、と何度も言われました。でも、やっている方は、毎回、無我夢中で、17年経ったことも忘れていました。
 でも、考えてみると、この17年というのは大変なことです。
 日本と中国の間には、毎回、新しい困難があります。それを乗り越えるためには、多くの人の力が必要でした。
 でも、今回、私は初めて、長くやってきてよかった、ということを実感できる瞬間がありました。
 昨夜、共同声明の取りまとめの作業の時です。

 昔、この共同声明をまとめるのは本当に大変で、議論は深夜まで続き、まさに格闘でした。日本側の副実行委員長の山口廣秀さん(日興リサーチセンター理事長、元日銀副総裁)が、「後は工藤さんにお任せするね」と帰った後、中国との交渉はたった一人で行い、孤独感でつぶれそうになりました。それが私を鍛え抜きました。
 ところが、今回、あれほど苦痛で大変だった、共同声明の文案交渉がウソのように、むしろ、それを楽しんでいる、そんな自分に気が付いたのです。
 工藤さんが考えていることはよく分かっている、私も同感だ。しかし、こんな言い回しはできないか。私の相棒の中国側の高岸明さんが何度も言います。
 率直に言って、私は嬉しかった。私の、そして日本側の強い思いや決意を、信頼してくれる、理解しようとする中国の仲間がいる。それを、実感したからです。
 そして、私たちの共同声明は完成したのです。

 考えてみると、私たちはこの17年間、いつも本気でした。何度も喧嘩はしましたが、私たちは、直面する課題から逃げたことは一度もありません。考えも国の違いはあっても、仮に喧嘩になっても、私たちはお互いに課題に一緒に向かい合おうとした。
 そうした関係に、我々、日本と中国のフォーラム主催者がある、ということです。
 私たちは、17年という長い年月はかかったけど、ひょっとしたら、日中両国が目指すべき関係とは、こういう関係なのではないか、と私は思っているのです。

 今、読み上げた共同声明の中に、こんな一文がありました。
 「民間の取り組みが勢いを失うことは、致命的である」。
 この「致命的」という言葉を書き込んだのは、実は私ではありません。
 日本の参加者では最も勇ましい、元自衛艦隊司令官の香田洋二元将軍が書き込んだのです。
 私がこの一文に拘ったのは、この「致命的」なという言葉の重さを、私は大切にしたかったからです。この一文に、強い我々の覚悟を込めたかったのです。

 中国と米国との対立下で日本と中国が新しい関係を模索するということは、我々の未来を決めることです。
 その歴史的な作業で、私たちの取り組みが、「勢いを失う」などということはあり得ないのです。今、まさに、この時代を動かす、覚悟が問われている、
 それが、今回の宣言文のもう一つの意味です。その歴史的な取り組みを、私はこれからも皆さんと一緒にやり抜きたいのです。

 今年の対話はオンライン方式ではありましたが、こうした大掛かりの対話自体が、中国との間で行われるのは、初めてのことです。
 未来に向けた本気の議論がまず民間で、堂々と始まったのです。
 これは、みな、皆さんの力なのです。

 私はこの場を借りて多くの方にお礼の言葉を述べたいと、思います。
 まず、日本と中国のパネリストの皆さん、日本と中国の二つの国の未来、そしてアジアと世界の未来に向けた、私たちの取り組みは、確実に一歩を踏み出すことができました。
 この対話を会場やオンラインで見ていただいた方、あなた方が見守っていただいたことで、私たちは真剣に議論に集中できました。
 そして、何よりも中国の私たちのパトナーであり、今回のホストである外文局の皆さんには、特にお礼をしなくてはなりません。多くの対話や様々な準備は順調に動きたのは、皆さんの力です
 日本側では、コロナ過の影響で、この対話の実現が一時、危ぶまれる状況もありました。その際、多くの企業が支援を継続していただき、60人を超える人に個人的に寄付をしていただきました。皆さんのご支援がなければ、この対話は実現できなかったかもしれません。
 そして最後に、言論NPOは今、コロナ禍で大変な辛い状況です。スタッフも十分いるわけではありません。
 その中でもまさに泊まり込みで、全ての指揮をしていただいた西村友穂さん、そして、宮浦くん、言論NPOのスタッフやインターンの献身的な努力が、この対話の成功の後ろにあったことを、皆さんに報告させてください。

 言論NPOは今年、20周年を迎えます。この若い仲間が私たちの財産だと、私は思っているのです。
 私たちの作業はまさに、来年、日中国交正常化50周年の年に引き継がれます。
 来年、私たちはコロナに打ち勝ち、東京で皆さんとお会いしたいと期待しています。

 それでは来年に向けて、私たちの未来に向けた作業を始めたいと思います。
 それでは、「第17回、東京―北京フォーラム」はこれで終わらせていただきます。
 ありがとうござました。

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