【座談会】労働組合幹部は小泉・竹中改革をどう見るか

2003年1月04日

koga_n030104.jpg古賀伸明 (電機連合中央執行委員長)
こが・のぶあき

1952年生まれ。75年宮崎大学工学部卒業。同年、松下電器産業株式会社入社。86年中央執行委員、94年書記長、96年中央執行委員長を経て、 2000年全松下労働組合連合会会長就任。02 年現職ほか、連合総合生活開発研究所(連合総研)理事に就任。多国籍企業労働問題連絡会議委員、中央労働委員会委員等兼任。

suzuki_k021125.jpg鈴木勝利 (全日本金属産業労働組合協議会議長)
すずき・かつとし

1942年生まれ。57年東芝入社、82年東芝労働組合書記長、88年電機労連(現・電機連合)書記長、96年電機連合(全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会)中央執行委員長、 連合副会長。96 年電気通信審議会委員、98 年物価安定政策会議委員、98年中央労働委員会委員、2001年現職に就く。02 年電機連合会長に就任。

takagi_t030104.jpg高木剛 (UIゼンセン同盟会長)
たかぎ・つよし

1943年生まれ。67年東京大学法学部卒業。同年旭化成工業入社。69年全旭化成労働組合連合会調査副部長、80年ゼンセン同盟労働政策局労働政策部長を経て、81年外務省入省。82 年在タイ日本国大使館一等書記官就任。84年外務省退職後、96年ゼンセン同盟会長等を経て、02年現職に就く。日本労働組合総連合会副会長等歴任。著書『タイ見たまま感じたまま』。

概要

竹中金融大臣が進めている構造改革。不良債権処理が進めば最も「痛み」を受けそうなのは雇用労働者である。こうした状況を労働組合はどう見ているのか。三団体の幹部に話を聞いた。労組としては構造改革とデフレ対策を同時に進めるべきという見方で一致した。一方、働き方が多様化する中、労組自身の構造改革も必要で、パートタイマーの均等待遇を求めるべきという意見も出た。破綻した企業の再生時に組合が関与した例も紹介された。

要約

竹中金融・経済財政担当大臣が中心となって手がけている構造改革。不良債権処理が進めば、失業者増加など雇用不安が起こることはほぼ間違いない。こうした状況を、企業で働く社員の側はどう受け止めればよいのか。全日本金属産業労働組合協議会の鈴木勝利議長、ゼンセン同盟の高木剛会長、全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会の古賀伸明委員長に聞いた。

三氏ともに、政府は不良債権処理に代表される構造改革は先送りすべきでないこと、またデフレ対策を同時にすべきであることで意見が一致した。

その一方、労働組合の役割が歴史的な転換期にあるとの認識も抱いている。特に鈴木氏は「労組は正社員の既得権益擁護団体であってはならない」との見解を示した。パートタイマーなどこれまで組合構成員でなかった層が雇用労働者の多くを占めている実態に即し「仕事の内容が同じなら、正規・非正規を問わず同等の待遇を求めていく必要がある」と述べた。

高木氏は、ファストフードチェーンで起きた未認可食品添加物使用問題の際、労働組合が企業統治のあり方を見直す委員会に参加した例を紹介し「組合を通じて従業員が企業経営に参加する」可能性を示唆した。また、マイカルが経営破たんした際、従業員の不安を取り除く上で労組が果たした役割の大きさを示した。

古賀氏は、従来型の賃上げ要求団体とは違う意味での組合の果たすべき役割について「政策形成能力とキャリアデザイン」という言葉で表現した。

今後、増えるであろう失業者が、適当な業職業訓練期間の後は、業界を超えてでも仕事を見つけることができるような仕組みづくりが必要になっている。こうした中、企業はもとより産業の枠組みを超えて仕事を見つけられるように、労組の役割や組織も変わる必要がある。


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