日本は「右傾化」しているのか 有識者アンケート結果

2013年3月22日

【SNS版】日本は「右傾化」しているのか アンケート結果 はこちら

調査の概要

 アンケートは2013年3月3日から6日にかけて、これまで言論NPOの活動に参加していただいた、会社役員、メディア関係者、官僚、学者・研究者、NPO・NGO関係者など日本の有識者約800人を対象に、認定NPO法人言論NPOが実施、282人の有識者に回答いただきました。


「右傾化」を危惧する有識者

 海外メディアが主張するように「日本は『右傾化している』と思う」と感じている有識者の割合は23.4%でした。これに「今は『右傾化』していないが、今後『右傾化』する可能性がある」の13.1%を合わせると4割近くの有識者が日本の右傾化を危惧していることがわかります。

 さらに、「『右傾化』はしていないが、安倍氏の言動に海外メディアが反応するのは理解できる」と、右傾化自体は否定するものの、現状ではそう見られてもやむを得ないと評価する声も28.4%ありました。
 これに対して、海外メディアの論調は「明らかに誤解である」と明確に右傾化を否定する見解は13.8%でした。


中国・韓国メディアのみならず、海外のメディアが安倍政権の誕生で、「日本の右傾化」について取り上げ始めています。あなたは、日本が「右傾化」していると思いますか。次の中から【1つだけ】選んでください。【N=282】

、日本が「右傾化」していると思いますか


 次に、これまでの発言から、安倍首相は参議院選挙後に憲法改正や国防軍の創設などの動きを加速させるのではないか、とも見られていますが、この動きについてどう思うかを日本の有識者に聞きました。


不安と期待

 安倍首相の「参議院選挙後の取り組みに強い不安は感じている」と答えた有識者が35.8%で最多でした。しかし、「不安はあるが、政治はリアリズムであり、自説にこだわり強引に進めることはないはず」という見方も28.0%と3割近くあり、有識者の中で意見が分かれています。逆に、「安倍氏の自説に賛成であり、参議院選後には遠慮なく進めるべき」という声も19.9%と、安倍氏の言説に賛同する見方も2割近くあります。


安倍首相は現在、経済政策を積極的に進めています。一方で、これまでの発言などから、参議院選後に憲法改正や国防軍の創設などを加速させるのではないかとも、見られています。あなたはこうした動きを現時点でどう判断していますか。次の中から【1つだけ】選んでください。【N=282】

そのように回答した理由を具体的にお書きください。   ⇒回答ページへ


 次に、現時点において、日本と中国の間で紛争が起こると思うかを尋ねました。


紛争勃発を強く危惧する有識者

 回答では、日中紛争について「現状のままでは近い時期に起こると思う」と強く危惧している有識者が27.0%いました。さらに「将来的には起こると思う」の29.5%を合わせると、6割近い有識者が紛争勃発の危険性を認識しています。
これに対して、紛争は「起こらないと思う」という楽観的な見方は29.2%でした。


アメリカは日中関係での紛争に懸念を持っており、先日行われた首脳会談でも日中両国について話し合われた模様です。あなたは、現時点で、日本と中国の間で偶発的な事故などにより、紛争が起こると思いますか。次の中から【1つだけ】選んでください。【N=282】

日本と中国の間で偶発的な事故などにより、紛争が起こると思いますか


 さらに、日中紛争が「現状のままでは近い時期に起こると思う」、「将来的には起こると思う」と回答した人に、それを回避するために何が必要かを聞きました。


対話を望む有識者

 有識者が必要だと思う紛争回避のための方策としては、「日中両国政府による協議」の29.3%、さらに「現場レベルでのホットラインの構築」の23.4%と続き、半数を超える有識者が、尖閣情勢の悪化に伴い途絶えている両国の公式なコミュニケーションチャネルの復活を求めています。


「現状のままでは近い時期に起こると思う」、「将来的には起こると思う」と回答した方にお聞きします。それを回避するためには何が必要だと思いますか。次の中から【1つだけ】選んでください。【N=167】

日中紛争を回避するためには何が必要だと思いますか

⇒ 「その他」と回答した方の、その理由はこちら

 最後に、日本のインターネット上で見られるナショナリスティックな風潮についてどう思うかを聞きました。


ネット右翼は脅威なのか

 インターネット上のナショナリスティックな風潮について、「非常に危惧している」の27.8%、「どちらかといえば危惧している」の28.5%を合わせると、5割程度の有識者が危機感を抱いています。 これに対して、「あまり危惧していない」の33.8%、さらに「全く危惧していない」の8.5%を合わせると、この現状を問題視していない有識者も4割超存在し、この風潮に対する評価は分かれています。

日本のネットなどでは、ナショナリスティックな風潮が見られます。この風潮についてあなたはどう思いますか。次の中から【1つだけ】選んでください。【N=282】

日本のネットなどでは、ナショナリスティックな風潮が見られますが、この風潮についてどう思いますか

そのように回答した理由を具体的にお書きください。   ⇒回答ページへ



日本の外交上の閉塞感を打破するために、あなたは誰に期待しますか。次の中から【1つだけ】選んでください。

日本の外交上の閉塞感を打破するために、あなたは誰に期待しますか

「その他」と回答した方の自由記述

○私も言論の力を信じて、情報共有を心掛け、それぞれが考える為に頭を使うだけでも大きく変わると思います。したがって私と日本国民に期待し、インターネットの恩恵を他国の民主化とは少し異なるだろうが享受したいと思います。
○小規模メディアやNPO、NGOには、外交上の閉塞感を打破するために、重要な働きを期待できると考えています。一部の政治家、地方の首長にも、重要な働きを期待できると考えています。さらに、有権者である日本国民に、もっとも重要な働きを期待できると考えています。
○ベストアンドブライテストな政策ブレーン。
○1.残念ながら、安倍総理しかいない。期待は個人の資質しかない。権限がある。2.外務省、外交官、学者、NPO/NGO,経営者、首長、みんな資質・能力が無い。
○政府や政治家に期待したいが現状ではそういう指導力をもった政治家は見当たらない。既存メディアも流れに逆らう強さを持てず、どの選択肢にも一票を投じられない。
○重層的な交流、討論の場を、網の目のように形成するしかない。
○普通の人々。
○賢者よ、出でよ。オピニオンリーダー、出でよ。
○日本の統治システムの大きな欠陥は政府のリーダーに強力な権限を持たせていないことです。天皇の輔弼としての行政府であった時代の行政府のリーダーを再構築しないまま今に至っています。大統領であれ、総理大臣であれ、リーダーシップを強力に発揮しうる体制に改めないと、政府であろうと、個別の政治家であろうと、閉塞感の打破は極めて困難でしょう。
○もはや、誰か1人、特定のどこかの団体だけで何かを出来るものではない。日本は、多様な存在が関わる「ガバナンス」によって国家運営を行うべきである。そういう意味で、全ての存在が政治、外交に対して積極的な意見を交わし、その総体として、外に向かうべきである。
○日本の抱える問題の本質を理解し、問題の解決に正攻法で当たる人々に期待する。
○誰かに期待するという選択は出来ない。さりながら、誰にも期待できないというのは答えにならないだろう。あえて一つだけあげるなら有権者、つまり国民全体、政府も、政治家も・・・ということです。問題となる言葉は「期待」ということですが、国民全般が自分抜きで傍観者であるのなら、政治にも経済にも期待をしてはならないということになるのだろう。国民運動を顕在化する意味でもNPO・NGOの活動には期待したい。期待を期待したいということです。
○国民全体の責任と思う。相手は考え方も習慣も風土も違います。まして体制が大きく異なるため交渉も難題が山積しているわけです。ある政治家や知識人は日本と同じ価値観でないのに同じ土俵で話すことが解決策と話すことも多くみられますが、裏を返せば他人事なのです。本気になって何が国益なのかを示し、行動することが大事だと思う。
○この問いに対しても、「一つだけ」という問い方には疑問を感じる。各界の多くの有志の人々の協力が必要なのではないか?
○閉塞感打破という問題設定に難あり。戦前の対米戦争決意のような悪い打破では困る。良い打破(領土・歴史問題の解決あるいは極小化)ということなら、上のすべての良識ある人々が冷静な議論を促すことが重要。
○上記にあがっているそれぞれの人たちが役割を果たしてつながることで打破できるのではないかと思っています。1機関、1個人で打破できるということはないと思っています。
○一つだけは難しい。有権者であり、政府であり、政治家であり、マスコミなど総てにわたるから、長期的視野での短期解決法を模索して欲しい。その中で戦略教育とディベート教育実施と、スピードラーニングを小学生高学年から大学生全員へ配布とかを。
○権限と情報を握っているのは政府であり官僚を含む政府に期待したいが、改革が必要。改憲は必要であろう。
○大変難しい問題です。幾人かの政治家や今の政府の方向性に多少の期待は持っています。外交官には、期待は全く持てないでしょうし。しかし、最終的には有権者個々の意識の変革が重要だと思っています。自分たちの地域利権を実現する政治家選びをしている限り、外交に期待できる人材が政治家に登場するのは難しく、閉塞感を脱するだけのエネルギーの発露のありどころが見当たりません。
○あらゆるチャンネルを通じて同時並行的にコンタクトを強めて行くべき。個人、さまざまな団体またジャンルを問わずスポーツ、文化などの交流を含めて。
○日中友好協会、日中友好議員連盟。
○アメリカ主導の不正選挙が実施されている限り、すべての「決定権」はアメリカにあります。日本のメディアや政治家や学者や法人がなにをどうしようと、不正選挙の前では一切、なにも、できない。したがって、25年参議院選挙において再度12.16のような結果が出た場合、もう、日本は実質を失う、と私は覚悟しています。こういう国に所詮「外交」などありません。
○明治維新以降の愚民政治を変える為には、国民の意識変革が必要であり、その為の構造
/利権の仕組みの変革が必要(個々の分野だけで、変革するのは不可能)。
○現状では誰にと問われても厳しいものがある。既存の政治家の思考や枠を超えた人物が出てこないと。
○NPO、NGOを通じた民間交流や、企業活動による経済的交流、国民同士の交流など、一部のアジテーションに惑わされない地道な活動が、日本と諸外国との間の相互理解を深めることにつながる。多くの国民がそのような意識を持ち、個別の互恵関係を築ければ、自然と解決につながると考える。
○健全なNPO、NGOが国内外の世論をリードする必要がある。そのためにはNPO、NGOの育成が必要であることは論を待たない。NPO、NGOを支援するため資金、人材、機会を社会全体で支えるためには何が必要か思案中。
○歴史的に日本は海外の情勢に対して受け身であり、いくつかの例外を除き自分から海外に働きかけることはしていない。またそのようなことは苦手である。自分たちの得意なことと苦手なことを正しく理解して対応するのが良いと思う。
○総理のリーダーシップ。
○立ち位置を明確にした野党の力量に期待したい。
○政治家やジャーナリストに限定せず、他の分野で各国の人たちから尊敬を集めている人の言動に期待する。例えば緒方貞子さん。
○中学、高校レベルから国際政治の近代史を独立の科目として教育し、日本の国益とは何かを議論させ、徹底的に考える訓練を受けた世代を育てて、日本の未来を託すしか無いと思います。それ迄の繋ぎとしてNPO・NGOを方向に役立てる事は可能なのかな?とは思います。
○【1つだけ】は無理。しいて言えば、個人か。
○私のような名もない一般人が実生活上で、排外主義者に異論を唱え、排外主義を軽蔑する「空気」をつくること。この国は空気が変わらないと何も変えることができない。そして、今、この空気を変えることができる特定の個人や組織はない。
○日本は現在、外交的に非常に良いポジションをキープしている。このことに気がつけない人間は外交的蓄膿症であり外交を語る資格は無い。
○(NPO、NGOではなく)バランス感覚のある一般の市民。
○以上のすべてに期待したいですが、あまり期待できない。
○個々人の地球規模でのつながり、交流による相互理解と共存共栄。
○覚醒した官僚。
○これも1つだけの選択は不適当。外交上のプレーヤーは一義的に政府であり、それ以外の特定のあるところ(NPO?)に何等かのイニシアチブを期待することは考えられない。

 アンケートは2013年3月3日から6日にかけて、これまで言論NPOの活動に参加していただいた、会社役員、メディア関係者、官僚、学者・研究者、NPO・NGO関係者など日本の有識者約800人を対象に、認定NPO法人言論NPOが実施しました。