【プレスリリース】「第3回エクセレントNPO大賞」結果発表 ~「市民賞」「組織力賞」「課題解決力賞」「エクセレントNPO大賞」を発表~

2014年12月09日

 「『エクセレントNPO』をめざそう市民会議」(以下、「市民会議」)は本日12月9日に日本プレスセンター(東京都千代田区)において、「第3回エクセレントNPO大賞」の表彰式を行いました。

 今年のエクセレントNPO大賞には、40年以上にわたり南アジアで働く子供たちの支援や地域防災支援などを行っている「シャプラニール=市民による海外協力の会」(東京都新宿区)が選ばれました。市民賞には赤ちゃんの力を使い無縁社会の解消に取り組む「ママの働き方応援隊」(神戸市)、課題解決力賞には被災地で子どもストレスケアに取り組む「にじいろクレヨン」(宮城県石巻市)、組織力賞には、大賞を受賞した「シャプラニール=市民による海外協力の会」が選ばれています。

 第3回の応募には、全国から106もの団体から応募がありました。この中から市民賞・課題解決力賞・組織力賞の各賞から15団体がノミネートされ、各賞受賞団体および大賞受賞団体が決定いたしました。ノミネート団体については、下記をご覧ください。各組織の概要については、5ページ目より紹介しております。

 今後、市民会議では、受賞団体やノミネート団体らを交え「エクセレントNPO」についてフォーラムを開催する予定です。また、こうした議論を踏まえ、評価基準や説明の見直しや開発を行っていきます。


各賞受賞・ノミネート団体一覧


審査講評について

エクセレントNPO大賞講評

 エクセレントNPO大賞は、3つの部門賞受賞者の中から、市民性、課題解決力、組織力について総合的に優れた団体を表彰するものです。

 審査委員会は、「第3回エクセレントNPO大賞」の受賞団体として、組織力賞を受賞した「シャプラニール=市民による海外協力の会」に授与することを決定しました。

 市民性については次の点が評価されました。シャプラニールは、ボランティア対応の専門スタッフを配置しており、常時、ボランティア希望者を受け付け、彼らの属性や希望に応じて、3つのグループに分け、参加の機会を作っています。また、スタッフやボランティア仲間との交流時間を設け、地域通貨のお礼をするなどの工夫もされています。また、寄付は、金銭だけではなく物品による寄付も受け付けていますが、お礼の際に、それがどのように使われたのかを報告しているのです。現地で制作された工芸品の販売は収入源であると同時に、広く市民の方に現地の状況を知ってもらうための手段と位置づけ、手間のかかる販売方法も受け付けています。

 また、課題解決力においては、様々な失敗の中から教訓を学び、それを新たな事業展開へとつなげている点が評価されました。さらに言えば、失敗から復活し、それを新たな展開につなげるためには、それなりの時間を要するのであり、相当な忍耐力と失敗による逃避の気持ちを克服する力が必要であることを教えてくれています。

 そして、組織力においては、全国3000人の支援者と定期的な寄付者の基盤を築いています。自己財源は、寄付・会費、事業収入とあわせ7割を維持しており、公的資金への依存度が過度にならぬよう自ら制限しています。シャプラニールは、それは、政策提言活動を行う際に中立的な立場を維持するために大事であると述べています。また、助成金を申請する際にも、助成先に関する情報収集をし、公序良俗に反するものでないかを確認をし、理事・評議会へ打診しています。


各部門賞講評

 第3回エクセレントNPO大賞については、すべての組織について、情報開示や資金調達の透明性、市民参加のための努力がなされていることを確認した上で、「市民賞」「課題解決力賞」「組織力賞」について審査しました。各受賞団体の講評は以下の通りです。

≪市民賞講評≫

「市民賞」には、多くの審査委員が1~2位に推薦した「ママの働き方応援隊」に決まりました。子育て経験をもつ女性が7年前に、「子連れがメリットになる働き方」が母親だけでなく社会にとてもよい影響をもたらすとの発想から立ち上げた組織で、2年前には市民的で独創的な発想による赤ちゃん先生プロジェクトを開始、すでに全国の200人余りのママたちが赤ちゃん連れの講師として学校や企業で活躍しています。会員登録と有償サービスの提供による参加性の高い活動として各地に展開しつつあることから、市民賞に相応しいと評価しました。中小の地域の企業への呼びかけも熱心で、その参加性も評価できるでしょう。


≪課題解決力賞講評≫

 「課題解決力賞」は、「にじいろクレヨン」が受賞しました。「にじいろクレヨン」は東日本大震災の被災地で発災直後から避難所の子供支援を行い、仮設住宅支援へと展開し、早期に法人化し、寄付や助成金を確保してしっかりと活動を行っています。

 「にじいろクレヨン」は、被災地の状況やニーズの変化をよく見据え、その活動内容や方法を上手に刷新させています。その過程で行政、他の子供団体、保護者、住民、ボランティアなどとのネットワークを開拓して、活動の質と量の双方を刷新しており、勢いが感じられます。また、ニーズや課題の分析力や事業開発力など、非営利組織として課題解決に欠かすことのできない力を蓄えてきています。そして、今後の展望として、地域に児童館がひとつしかないことから、民間の児童館の運営を掲げ、そのためのネットワーク作りや勉強会を進めています。


≪組織力賞講評≫

 「組織力賞」は、「シャプラニール=市民による海外協力の会」が受賞しました。

 「シャプラニール」は、バングラデシュを中心に貧困の問題について取り組んできた長い歴史のある団体です。途上国の貧困や子供たちの直面する問題に取り組む団体は少なくありませんから、課題解決という点で同様の評価を受ける力を持つ非営利組織もありますが、そうしたなかで寄付金の総収入に占める比率が高いこと、ボランティアの参加の状況などを勘案して組織として高い安定性を保っていることが評価されました。ただし、自己評価については、アウトカムにまで言及してほしかったという審査意見があったことを申し添えます。


全般について

 エクセレントNPO大賞は、自己評価を応募条件にするというユニークな方法をとっています。したがって、すべての応募団体が自己評価をしていますが、その内容から自己評価に関する傾向や課題も明らかになりました。これまでの2回に比較し、全て満点として申請された応募団体は少なくなりましたが、満点を記された団体がありました。また、評点の理由に関する説明が不十分なものが多く見られました。すなわち、評点の理由を根拠となるデータや情報をもって説明することが求められます。しかし実際には十分な説明がなされているものは少なかったのです。さらにいえば、自己評価のプロセスで、組織や事業の課題を発見してもらうことも「市民会議」が期待していた点でした。

 また、自ら取り組む課題については明確に記している組織は多いのですが、組織の成果や目標の記述になると希薄になるケースは少なくありませんでした。また、組織が掲げる使命に対して、なぜ、現行の活動を実施しているのか、その関係が曖昧なもの、あるいは多くの活動を抱えているために焦点が曖昧になっているものも見られました。自らが目指す成果や目標を明確に設定し説明する力を獲得することは、より戦略的な計画を作り、社会への説得力を身に付けることにつながることから、今後取り組むべき重要な課題であることがわかりました。


今後の取り組みについて

 「市民会議」では、受賞団体やノミネート団体、そして他のNPOや非営利組織、企業、自治体関係者と、「エクセレントNPO」について広く議論の場を作りたいと考えて、フォーラムを開催する等の活動を行っています。今後のそのような活動を試みることを通して、非営利組織の質的な改善、自己革新を目指した動きの裾野を広げたいと思います。

 また、応募してくださった組織のデータや自己評価書から、評価基準や説明に関して改善すべき点もいくつか明らかになりました。これらの点を踏まえ、今後、評価基準や説明の見直しや開発を行っていきたいと思います。

 なお、本年度は応募団体にそれぞれどのジャンルでの審査を希望するかを明示してもらう方式を採用しましたが、応募団体のジャンル選択には大きな偏りが発生しました。この点について、今後どのような募集の手続きが望ましいのかを見直していきたいと考えています。


「エクセレントNPO」とは

 1998年のNPO法制定以来、NPO法人の設立数はいまや4.8万団体を超えましたが、数は増えたものの、その大多数は経営的に力が乏しく、社会の自発的な課題解決に取り組む以前に、市民とのつながりが弱く、市民社会を大きく変える力にはまだなっていません。また、不祥事の数が増え、非営利セクターの信頼性を損ねかねません。

 「市民会議」では、こうした非営利組織の組織力としての脆弱性や市民とのつながりが希薄である点に当初から問題意識を持ち、その質の競争をもたらし、強く豊かな市民社会への良循環をつくり出すために、非営利の世界での社会変革のモデルとなるNPOの要因分析を続けてきました。そして、三年間にわたる作業の末、2010年には望ましい非営利組織像としての「エクセレントNPO」の概念を打ち出し、「市民性」「社会変革性」「組織安定性」の三つを基本条件とする、組織評価の体系としての「エクセレントNPO」の評価基準を公開し、その普及活動に取り組んできました。

 年間大賞の表彰はそうした「エクセレントNPO」を目標にして非営利組織が競い合い、その動きが市民に「見える化」されることで、市民社会に大きな変化を起こすことを目指しています。


「エクセレントNPO」をめざそう市民会議について

 「非営利セクターに質の競争をもたらし、強く豊かな市民社会づくりへの良循環を作る」ことをミッションとしています。より具体的には、エクセレントNPOの概念を明示し、エクセレントNPOの必要性について問題提起し、そしてその認識を日本社会に広げることを活動目標としています。共同代表には、小倉和夫氏、島田京子氏を迎え、国内外で活躍する数多くのNPO/NGOの代表、研究者約10名をメンバーとしています。


受賞・ノミネート団体基本情報