CoC(世界25ヵ国のトップシンクタンク会議)が世界的な課題10分野の「進展度評価」を発表しました~世界25カ国のシンクタンクの評価は「C-(あまり進展が見られなかった)」 ~

2018年5月08日

 米国外交問題評議会(CFR)が主催し、世界25ヵ国の主要シンクタンクが参加する国際シンクタンクネット会議「カウンシル・オブ・カウンシルズ(CoC)」は、米朝首脳会談を直前に控えた5月7日(米国東部時間)、2018年版のグローバルイシューに対する国際協調進展の通信簿(レポートカード)を発表しました。この通信簿は、世界が直面する10分野の課題について、加盟各シンクタンクのトップが今年1月にそれぞれ評価を実施したものです。

 CoCの全体評価公表に合わせて、CoC発足時から日本で唯一参加している言論NPO(東京都中央区日本橋人形町、代表:工藤泰志)も評価結果を公表しましたのでお知らせいたします。

 報道関係者の皆様には、このレポートカードの内容をぜひご報道いただきたく、また、代表・工藤への個別取材も歓迎しております。何卒よろしくお願いいたします。


「米国は国際秩序の最大の守護者からかく乱者となった」とリチャード・ハースCFR会長

 今回のレポートカードの総合評価は、昨年と同様に「C-」とやや精彩を欠く結果となりました。CFR会長のリチャード・ハース氏は、この結果の背景として、米国の変容を指摘。新たに米国大統領に就任したドナルド・トランプ氏が、大統領選時から掲げてきた「米国第一主義」を実行し、リベラルな国際秩序に対する長年にわたる米国の関与に疑問を投げかける行動を繰り返したことを踏まえ、「米国は世界経済システム、長年の同盟関係、国際合意や組織に疑問を投げかけ、(同国は)国際秩序の最大の守護者からかく乱者となった」と辛辣な評価を下しています。

 ただ、それでも前年から総合評価が下がらなかったことの要因としては、二つの理由が指摘されています。一つ目は、実際の米国政府の行動が、これまでのところ事前に懸念されていたほど酷くはなかったこと。二つ目は、米国以外の国々が特定の分野、たとえば気候変動において大きなリーダーシップの負担を引き受け、米国が必ずしもグローバルイシューの解決に「必要不可欠な力」ではないと示唆したこと、であり、CoCはこうした要因によって「C-」評価で踏みとどまったとの見方を示しています。

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言論NPOの国際協力全般に対する全体評価は「不十分」
 「適切」との評価も「気候変動」と「国際開発」の2つにとどまる

 一方、言論NPOの国際協力全般に対する評価は、昨年同様に不十分(poor)となりました。適切(Decent)と判断されたのは、「気候変動」と「国際開発」の二つの項目でしたが、これは多国間協力で方向が示され、その努力が続けられていることへの評価であり、成果の実現が見えているわけではありません。また、この二つの項目以外の分野で解決に向けて動きが具体的に進展している国際的課題が存在せず、それほど現在の国際秩序は不安定化しており、多国間協力に対する努力は多くの分野で模索が続いていると考えています。

 さらに、本年の評価では、実質的には失敗している分野、亀裂が広がっている中でどう国際協力の枠組みを作り出すべきか、現時点では判断が難しい分野として、「核拡散」や「サイバーセキュリィティ」などを挙げました。努力が続けられている分野には、期待を込めて加点しているため、「失敗」という評価は存在していませんが、解決に向けた展望を持っているわけではなく、場合によっては戦争の可能性が共存する危機的な状況にある、と判断しています。

 また、北朝鮮の核開発、有効な対策やルール作りが暗礁に乗り上げているサイバーセキュリティ分野は、解決の展望が見えないという点で失敗といえるが、そのための国際的努力までなくなったわけではありません。大国間の意見の相違や対立で混乱は続いているが、危機を回避するための国際協力そのものが否定されているわけではなく、北朝鮮の核開発では国連決議が過去一年間で4回も採択され、解決を模索する動きは続いていると判断しています。

 詳細な評価結果は、言論NPOのホームページをご覧ください。



言論NPOの世界課題に関する取り組み ~「東京会議」の開催~

 言論NPOは、世界が大きく変容する中、民主主義と国際秩序の将来、また、国際社会が直面している様々なグローバルイシューについて「自由」と「民主主義」という価値を共有するアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダのG7各国にインド、インドネシア、ブラジルを加えた10カ国の世界を代表するシンクタンクのトップが東京を舞台に議論する常設対話の場である「東京会議」を2017年3月に設立しました。

 2018年3月に行われた「第2回東京会議」では、G7こそが不安定化する世界のリベラル秩序に対して、規範を尊重し守る牽引役になるべきだという強い期待から、2017年のG7の議長国であるカナダ政府に緊急のメッセージを提案しました。そこには、「持続的で包摂的な世界を作り出すためにも、それを推進できる強靭な民主主義を国内で作り上げるしかない。こうした取り組みは市民社会の広い支持に支えられるべきものだ」と書き込みました。

 さらに、今年の「東京会議」では、北朝鮮の核問題を取り上げ、小野寺五典・防衛大臣や、中国と韓国の専門家4氏が世界の10カ国のシンクタンクの議論に加わりました。米朝首脳が会談に合意した思惑や合意の見通しでは意見は分かれましたが、非核の完全履行が全ての前提、との認識は一致し、声明に「北朝鮮の核保有を容認するいかなる声にも賛同しないと」との一文を入れ込みました。
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言論NPOについて 

 「健全な社会には、当事者意識を持った議論や、未来に向かう真剣な議論の舞台が必要」との思いから、2001年に設立された、独立、中立、非営利のネットワーク型シンクタンク。2005年に発足した「東京-北京フォーラム」は、日中間で唯一のハイレベル民間対話のプラットフォームとして13間継続している。また、2012年には、米国外交問題評議会が設立した世界25ヵ国のシンクタンク会議に日本から選出され、グローバルイシューに対する日本の意見を発信している。この他、国内では毎年政権の実績評価の実施や選挙時の主要政党の公約評価、日本やアジアの民主主義のあり方を考える議論や、北東アジアの平和構築に向けた民間対話などに取り組んでいる。