言論NPOと東アジア研究院は「第11回日韓共同世論調査」の結果を公表日韓の関係改善で国民意識は改善傾向 一方、韓国には否定的な見方もあり、温度差が見られる

2023年10月12日

 非営利シンクタンク言論NPO(東京都中央区、代表:工藤泰志)は、今年で11回目となる日韓共同世論調査の結果を公表いたしました。この調査は、言論NPOと韓国の東アジア研究院(East Asia Institute, EAI)が2013年から継続して毎年共同で実施しているもので、今年は8月下旬から9月下旬にかけて実施しました。

 報道関係者の皆様には、この調査結果をぜひご報道いただきたく、お願い申し上げます。また、当代表・工藤へのインタビューなどのご要請がありましたら、積極的に対応させて頂きます。


【主なポイント】

11回目の調査で初めて、日本人の韓国に対する「良い」印象が、「良くない」印象を上回る一方、韓国人の日本に対する「良い」印象は減少し、日韓両国民で対照的となった。

 日韓の関係改善が政府主導で進む中で、韓国に対して「良くない」印象を持つ日本人は、昨年の40.3%から32.8%に減少するとともに、「良い」印象が30.4%から37.4%に増加し、11回目の調査で初めて、「良い」印象が「良くない」印象を上回りました。

 一方、韓国人では、日本に対する「良くない」印象を持つ人が昨年の52.8%から53.3%へと微増し、「良い」印象も30.6%から28.9%に減少しており、日韓両国民で異なる結果となりました。


現在の日韓関係について日韓両国民とも「悪い」は減少しているが、日本人の認識が劇的に改善しており、調査開始後の調査で初めて「良い」が「悪い」を上回る。

 現在の日韓関係を「悪い」とみている日本人は、昨年の39.8%から21.2%へと18.6ポイント改善し、「良い」との見方が13.7%から29%に増加して過去最高となり、11回目の調査で初めて「良い」が「悪い」を上回りました。印象に加えて、日本人の対韓意識は大幅に改善しています。

 韓国人でも「悪い」との見方は昨年の64.6%から42%へと22.6ポイント減少し、「良い」との見方も過去最高となるものの、12.7%にとどまり、日本人の意識の改善までには至っていません。

 今後の日韓関係についても、日本人は「良くなっていく」が、昨年の29.9%から今年は38.5%に増加し最も多いものの、韓国人は「変わらない」が48%で最も多いが、「良くなっていく」は、30%から28.8%に減少しており、ここでも日本人ほど楽観的に考えていません。


日本人は、日本の対韓政策、韓国の対日政策に対して、評価する声が増加

 韓国政府の日韓関係改善に向けた対日政策について、韓国人と日本人で評価が対称的となった。韓国人は自国の政策を「評価しない」が昨年の27.5%から32.3%に増加している。これに対して日本人では韓国の対日政策を「評価する」が12.2%から34.8%へと22.6ポイント増加するとともに、「評価しない」が35.6%から19.3%に減少している。日本政府の日韓関係改善に向けた対韓政策については、日本人では「評価する」が昨年の26.5%から34.5%に増加し、「評価しない」の16.2%を大きく上回っている。韓国人は「評価する」は15%で昨年の14.1%から微増にとどまっているものの、「評価しない」が43.2%から34.2%へと9ポイント減少している 


福島処理水について、日本人の7割は放出を容認するも、韓国人の7割は放出反対

 東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出に対する、国際原子力機関(IAEA)の検証について、日本人では、「検証は信頼できるが、日本政府は国際社会の不信感を解消するためにさらなる努力をすべきである」(47.2%)との見方が半数近く、「検証は信頼でき、それに基づく日本政府の措置は妥当である」(25.2%)を合わせると放出容認は7割を超えました。一方、韓国人では、「検証とは関係なく、処理水は放出してはならない」(39.1%)、「検証は信頼できないので、処理水は放出すべきではない」(29.6%)となり、合計すると7割近くが海洋放出に反対しています。


相手国の首脳に対する印象は、両国民で真逆の結果に

 日本人で尹錫悦大統領に対して「良い印象」を持つ人は32.1%となり、昨年の20.1%から12ポイント増加しました。これに対し韓国人では、岸田首相に「良い印象」を持っている人は8.5%(昨年は6.5%)に過ぎず、「悪い印象」を持っている人が昨年の21.8%から36.1%へと14.3ポイントも増加しています。


その他の調査のポイントについて

日韓関係の重要性

日韓関係が重要だとみる日本人は6割、韓国人は7割を超えるが、韓国人は昨年より減少

 日韓関係が「重要である」と考える日本人は61.8%と昨年の56.5%から増加し、6年ぶりに6割を超えた。韓国人で「重要である」は74.1%と7割を超えているが、昨年の82.6%からは減少し、「重要ではない」が初めて2割を超えた。

 日韓関係が「重要である」と思う理由で、日本人で最も多いのは、「歴史的、地理的、文化的に関係が深い、隣国であるため」という一般的な認識の58.1%。「米国の同盟国同士として安全保障上の共通の利益がある」が40.9%と、昨年の30.1%から増加し、二番手となった。韓国人では「重要な貿易相手であり、貿易や経済・産業面での相互依存性が大きい」が67.2%で最も多く、「歴史的、地理的、文化的に関係が深い、隣国であるため」が56.9%で続いている。「米国の同盟国同士として安全保障上の共通の利益を有しているから」は昨年の23.6%からは増加したが、29%に過ぎない。「民主主義などの共通の価値観は」は15.5%で、昨年より減少した。

政府間外交

韓国の尹錫悦大統領に「良い印象」を持つ日本人は増加、岸田首相への「悪い印象」を持つ韓国人が増加

 日本人で尹錫悦大統領に対して「良い印象」を持つ人は32.1%となり、昨年の20.1%から12ポイント増加している。
 これに対し韓国人では、岸田首相に「良い印象」を持っている人は8.5%(昨年は6.5%)に過ぎず、「悪い印象」を持っている人が昨年の21.8%から36.1%へと14.3ポイント増加している。


日本人は、日本の対韓政策、韓国の対日政策に対して、評価する声が増加

 韓国政府の日韓関係改善に向けた対日政策について、韓国人と日本人で評価が対称的となった。韓国人は自国の政策を「評価しない」が昨年の27.5%から32.3%に増加している。これに対して日本人では韓国の対日政策を「評価する」が12.2%から34.8%へと22.6ポイント増加するとともに、「評価しない」が35.6%から19.3%に減少している。
 日本政府の日韓関係改善に向けた対韓政策については、日本人では「評価する」が昨年の26.5%から34.5%に増加し、「評価しない」の16.2%を大きく上回っている。韓国人は「わからない」が44.2%で最も多い。「評価する」は15%で昨年の14.1%から微増にとどまっているものの、「評価しない」が43.2%から34.2%へと9ポイント減少している。

日韓共同宣言

日韓間の新たな共同宣言づくりには、韓国人の方が積極的

 今年は「日韓共同宣言」25周年だが、新たな共同宣言をつくる必要性について、韓国人では、「つくるべきだと思う」が22.4%、「今はまだその時期ではないが、将来的にはつくるべきだと思う」が36.6%となり、合計すると59%と6割近くが新たな「共同宣言」をつくるべきと考えている。一方、日本人で「つくるべき」は30.9%に過ぎず、「わからない」が45.5%いる。
 新たな「共同宣言」をつくった場合、そこに盛り込むべき項目として、日本人の37.9%が「未来志向の関係構築」と答えており、これが突出している。次いで「アジアの平和と発展に対する協力の姿勢」(23.6%)が続いている。韓国人では「植民地支配に対する反省とおわび」が22%となり、相変わらず過去の問題が最も多いが、「未来志向の関係構築」も17.8%と2割近い。

処理水海洋放出に対する評価

福島処理水について、日本人の7割は放出を容認するも、韓国人の7割は放出反対

 国際原子力機関(IAEA)の検証では、日本の取り組みは国際的な安全基準に合致していると評価した。この検証に対し、日本人では、「検証は信頼できるが、日本政府は国際社会の不信感を解消するためにさらなる努力をすべきである」との見方が47.2%と半数近い。「検証は信頼でき、それに基づく日本政府の措置は妥当である」が25.2%となり、合わせると放出容認は7割を超える。
 一方韓国人では、「検証とは関係なく、処理水は放出してはならない」が39.1%、「検証は信頼できないので、処理水は放出すべきではない」が29.6%となり、合計すると7割近くが海洋放出に反対している。

元徴用工問題

元徴用工問題について、韓国政府の解決策を日本人の方が高く評価している

 韓国政府は、第二次世界大戦中の元徴用工らが日本企業を相手取った訴訟で、韓国の財団が日本企業に代わって賠償金の相当額を支払うとする解決策を決定した。韓国人の34.1%はこれを「評価しない」と答えているが、「評価する」も28.4%、「どちらともいえない」も29.7%とそれぞれ3割近くあるなど評価が分かれている。
 これに対し日本人では、「評価する」が35.2%となるなど、韓国人よりも日本人の方がこの解決策を高く評価している。

東アジアの軍事・安全保障

日韓両国民とも、軍事的脅威と感じる国は「北朝鮮」「中国」が続く≫  日本人の76%、韓国人の69.2%は軍事的脅威を感じる国があると回答しており、その最大の脅威はいずれも「北朝鮮」である。次いで、「中国」に脅威を感じている構図も両国で共通するが、韓国人では、「日本」を挙げる人も28.9%と3割近く存在している。

≪日米間の安全保障協力について、日韓両国民とも賛成しているが、韓国人は昨年から減少

 日米韓三カ国の軍事・安全保障協力を強化していくことに対して、日本人では「賛成」が37.9%から49.9%へと12ポイント増加している。これに対して、韓国人では「賛成」が60.6%と6割を超えているが、昨年の72.4%からは11.8ポイント減少している。
 その賛成の理由では、両国ともに「北朝鮮の非核化や朝鮮半島の安定のために不可欠だから」と考える人が最も多く、韓国人では56.4%から71.7%に増加している。日本人も昨年の73.9%から79.8%に増加した。韓国人では「米国を軸とした北東アジアの安全保障体制を強化するため」の増加も顕著であり、19.9%から19.5ポイント増の39.4%となっている。

核の傘と日韓両国の核武装の賛否

米国の「核の傘」について、日本人は不安視する一方、韓国人の信頼性が高い

 北朝鮮や中国に対する米国の「核の傘」が、日本の安全のために機能していると考えている日本人は44.1%である。ただ、その内訳をみると「疑ったことはない」という全幅の信頼は2.9%に過ぎず、41.2%は「心配はある」と答えている。
 一方、米韓両国が発表した、拡大抑止の強化を盛り込んだ「ワシントン宣言」によって、韓国の安全保障上の懸念が解消されたと考えている韓国人は57.7%と6割近い。
 北朝鮮が核廃絶をしない場合の日本の核武装の是非について、日本人の6割、韓国人の7割が「反対」しているが、韓国人では「賛成」が昨年の9.1%から17.2%に増加している。
 韓国の核武装の是非については、日本人の61.4%が「反対」しているが、韓国人では、「賛成」が58.5%と6割近い。ただ、昨年の69.6%からは11.1ポイント減少している。

朝鮮半島の将来

10年後の朝鮮半島について、韓国人では「不安定なまま」、「統一や改善」を期待する見方に分かれる

 10年後の朝鮮半島の状況について、日本人の40.2%が「現状の不安定な状況のまま」だとみている。「わからない」も41.6%いる。
 韓国人は32.3%が「現状の不安定な状況のまま」だとみており、「韓国と北朝鮮の対立が深まる」も17%で、合計すると朝鮮半島の未来を不安視する見方が49.3%と半数になる。「ただ、「韓国と北朝鮮は関係を改善する」が昨年から増加して32.6%になり、「南北統一に向けた動きが始まる」の7.3%を加えると、北朝鮮のとの統一や改善を期待する韓国人も39.9%と4割となり、意見が分かれている。

相手国のポップカルチャーとその影響

10年後の朝鮮半島について、韓国人では「不安定なまま」、「統一や改善」を期待する見方に分かれる

 相手国のポップカルチャーに対して、日本人の43.1%、韓国人の55.2%が「関心がない」と回答している。「楽しんでいる」という人は日本人では36.1%、韓国人では18.5%である。
 その「楽しんでいる」分野に関しては、日本人では「ドラマ」(40.7%)、「音楽(K-POP)」(34.6%)の二つが突出している構図は昨年と同様である。韓国の「映画」を選ぶ人は4.4%に過ぎず、「文学(小説)」に至っては二年連続で0%である。
 韓国人が日本のポップカルチャーの中で最も楽しんでいるのは、「漫画やアニメーション」で、これが57%で突出している。「ドラマ」と「映画」も2割前後あり、さらに「YOUTUBEチャンネル」が15.6%でこれらに迫るなど、多様なコンテンツに関心を寄せている点が日本人とは異なる。
 また、こうした双方のポップカルチャーを楽しんでいることによって、日本人の89.2%、韓国人の61.8%が相手国の印象が向上していると考えている。


「第11回日韓共同世論調査」概要

 日本側の世論調査は、日本の18歳以上の男女を対象に9月2日から9月24日まで訪問留置回収法により実施した。有効回収標本数は1000である。回答者の性別は、男性が48.2%、女性が51.2%。最終学歴は小中学校卒が5.1%、高校卒が46.2%、短大・高専卒が21.5%、大学卒が23.9%、大学院卒が1.5%、その他が1.2%。年齢は20歳未満が2.6%、20歳から29歳が11.7%、30歳から39歳が13.3%、40歳から49歳が17.5%、50歳から59歳が15.9%、60歳から69歳が17.3%、70歳以上が21.7%となっている。

 韓国側の世論調査は、韓国の18歳以上の男女を対象に8月25日から9月13日まで調査員による対面式聴取法により実施された。有効回収標本数は1008である。回答者の性別は、男性が49.8%、女性が50.2%。最終学歴は小学校卒業以下が4.7%、中学校卒が10.1%、高校卒が38.6%、大学在学・中退(専門学校含む)が11.8%、大学卒が34.2%、大学院卒が0.6%。年齢は20歳未満が1.4%、20歳から29歳が14.9%、30歳から39歳が14.7%、40歳から49歳が18.0%、50歳から59歳が19.9%、60歳から69歳が17.3%、70歳以上が21.7%となっている。


【言論NPOとは】

 言論NPOは、「健全な社会には、当事者意識を持った議論や、未来に向かう真剣な議論の舞台が必要」との思いから、2001年に設立された、独立、中立、非営利のネットワーク型シンクタンクです。2005年に発足した「東京-北京フォーラム」は、日中間で唯一のハイレベル民間対話のプラットフォームとして18年間継続しています。また、2012年には、米国外交問題評議会が設立した世界25ヵ国のシンクタンク会議に日本から選出され、グローバルイシューに対する日本の意見を発信しています。この他、国内では毎年政権の実績評価の実施や選挙時の主要政党の公約評価、日本やアジアの民主主義のあり方を考える議論や、北東アジアの平和構築に向けた民間対話などに取り組んでいます。
 また、2017年には世界10カ国のシンクタンクを東京に集め、東京を舞台に世界の課題に関する議論を行う「東京会議」を立ち上げ、会議での議論の内容をG7議長国と日本政府に提案する仕組みをつくり出しました。
 さらに、米中対立下で、米国と中国が出席する4カ国の「アジア平和会議」を2020年1月に創設し、歴史的な作業に着手しています。


【東アジア研究院(EAI, East Asia Institute)とは】

 東アジア研究院は、地域が抱える問題について政策提言を行うことを目的に、独立シンクタンクとして創設しました。研究者セミナー、フォーラム、教育プログラム、そして多様な出版物を通じて影響力のある成果を生み出しています。東アジア研究院の調査活動は、外交安全保障プログラム、ガバナンス研究プログラムの二本柱から成り、これらのプログラムが5つの研究センターよって行われています。また、研究タスクフォースを用いて、喫緊した重要な問題にも取り組んでいます。卓越した研究者と政策立案者が協働し、東アジア研究院は革新的で政策論議を反映した研究成果を想像する中心に立っています。韓国で卓越した研究所の一つとして、米国、中国、台湾、その他多くの国々との共同研究を通じ、北東アジアにおける知識ネットワークを創造しています。


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電話:03-3527-3972 FAX:03-6810-8729

担当:言論NPO事務局 宮浦・西村