カウンシル・オブ・カウンシル(CoC)ブエノスアイレス地域会合報告
国際経済ガバナンスの将来、自由民主主義の弱体化にいかに取り組むか

2017年11月15日

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 11月5日~7日、2018年にG20のホスト国となるアルゼンチン・ブエノスアイレスにて「カウンシル・オブ・カウンシルズ(CoC)」の2017年地域会議が開催され、言論NPO・工藤代表の代理で内野逸勢氏(大和総研金融調査部主席研究員)が参加した。
1日目はアルゼンチン外交問題評議会(Argentine Council for International Relations)が主催者となり、来年のG20のシェルパであるPedro Villagra Delgado氏の基調講演が行われた。

 2日目の第1セッションでは「ブレトンウッズ体制の将来(ガバナンスの挑戦とチャンス)」をテーマとしてディスカッションが行われた。主催者側から提示された主な論点としては、1)ブレトンウッズ国際金融機関に対する改革は何が必要か、適切に完了していない改革は何か、どのように改革を進めればよいか、2)BRICSを含めた新興国・途上国、またはアジア・インフラ・投資銀行(AIIB)などの新たな機関を、さらにグローバル金融アーキテクチャーに統合するためにはどのような方法が必要か、3)G20内、中央銀行総裁の間でのマクロ経済政策の協調を醸成する現在の多国間メカニズムは適切か、4)国際通貨システムは、不公平な負担を海外のパートナーに強いるような国々の為替操作等の政策対応を抑制するために新たな規則が必要か、もし必要であれば多国間のイノベーションは望ましいか、現実的か、の4つが挙げられた。

IMG_1422.JPG 第2セッションでは「自由民主主義の弱体化への対応」と題してディスカッションが行われた。主催者側からの同セッションの論点として、1)なぜ自由民主主義の原則が減退しているのか、2)最近の権威主義の台頭と民主主義への新たな脅威がどのように国際協調に影響を与えるのか、3)米州機構(OAS)等の地域あるいは国際的な機関が、民主主義への信頼を強化し、再構築していく上でどのようなサポートができるのか、4)政治的な二極化によって民主主義に基づいたガバナンスに対してどのようなチャレンジがもたらされるのか、またそのチャレンジをどのように克服するのか、5)社会・マス・メディアの政治的二極化を増幅させる傾向が民主主義への脅威となるのか、脅威となるならばソーシャル・メディアの悪影響をいかに減退できるのか、の5つが挙げられた。

 その他、第3セッションのテーマは「国際的・組織的犯罪と汚職への対応」、パブリック・セッションのテーマは「技術革新への対応及び国際的なガバナンス体制の整備」として議論された。

 3日目には、第4セッションでは「グローバル・ガバナンス・ワーキング・ペーパー(サイバー・ガバナンス、核不拡散、貿易のテーマ)」をテーマとして議論が行われた。第5セッションでは「グローバル・リージョナル・危機への対応(ベネズエラのケース)」が議論がなされ、3日間に渡る会議は閉幕した。


カウンシル・オブ・カウンシルズ(CoC)とは:
 グローバル・ガバナンスと地球規模の課題について共通の対話を行う舞台として、アメリカ・外交問題評議会(CFR)が提起し、世界主要25カ国26団体のシンクタンクが参加するシンクタンクの国際ネットワークです。
 言論NPOは2012年より日本代表の創設メンバーとして参加しています。