「日韓未来対話」の10年間と、これからの課題 ~特別セッション・閉幕式 報告~

2022年9月11日

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 第三セッションに引き続き、「『日韓未来対話』の10年間」と題する特別セッションが行われました。

ソンヨル.jpg 韓国側主催者である東アジア研究院のソン・ヨル院長が「この10年間の決算と今後の見通しについて対話する場としたい」と述べ、議論が始まりました。

 ソン院長は続けて、10回を数えた日韓世論調査について「細部質問まで70~80項目の質問で構成されている。項目が多い分、後半は集中力が落ちるため、信頼度の問題につながる可能性がある」として、今後の検討課題を指摘しました。さらにメディアや学界で引用される項目が「10個程度で限られている」として、より一層効用度を高める試みが必要であるとの認識を示しました。同時に、10年分のデータが蓄積されたことを踏まえて「日韓関係の研究者にとって、非常に重要な資料になる。今後の質問内容を考える上では、研究者の視点も必要だ」と語り、日本側主催者である言論NPOの工藤泰志代表、韓国・国立外交院のユン・ソクジョン教授に意見を求めました。


韓国との間でも対話で合意形成を行い、政府に提案する仕組みを

工藤.jpg ボールを投げられた工藤はまず、10年間実施してきた日韓世論調査について「懸念事項がどう変化してきたのかが確認できることがポイントだ。我々は質問の回答だけに注目するのではなく、世代間や設問間の関連度、思想の背景を元にして、複合的に見ている」として、調査の意義を強調しました。一方で「メディアで注目される部分が一部の質問項目の数字だけなのは虚しい」と率直に語りながらも「調査結果が研究資料として活用されること自体は歓迎している」と期待感を示しました。その上で「我々が本当に関心を持っているのは、世論調査を行うだけではなく、対話による合意形成だ。専門家に意見を聞くことだけで終わるのではなく、多くの一般市民にその議論が公開されるべきだ。一般市民を意識した議論ができるといい」と述べ、将来的な課題を指摘。議論の現状を踏まえて「韓国以外の他国とは合意形成に頑張っているところはあるが、韓国とはできていないのが現状だ。10周年を迎えて、そろそろ合意形成まで至り、両政府に発信できる段階に入っても良いと思う」と語り、一層の議論の充実に向けて意欲を表明しました。


世論調査の評価と改善点

ユンソクジュン.jpg 続いてユン教授は、世論調査と未来対話に対する評価と改善すべき点について言及しました。世論調査については、①韓国の新政府の発足と日韓関係、②日韓関係の新たな局面の2点を取り上げて「日韓関係が変化した側面があることから、それを考慮した質問項目があると、研究者側としては非常に興味深い結果を確認できる」と指摘。その上で、①について「尹錫悦大統領は、対日フォーカス的アプローチと解決を強調している。NATO首脳会議後の帰国懇談会で、尹大統領は『歴史問題と未来協力を一緒に議論できる。日韓両国が未来のために協力すれば、歴史問題も十分解決できる』と発言している。歴史問題は、現在の対日フォーカス的アプローチと解決とも関連性があるので、質問比重を増やしたらどうか」などと述べ、検討課題であるとの認識を示しました。さらに2019年の調査において、韓国政府の日本に対する態度を問う項目があったことに触れて「2000年代以降、尹大統領は韓国政府として初めて日本政府との関係を重視している。金大中・小渕恵三両首脳による日韓共同宣言の内容を追加し、韓国政府の日本への態度・政策について、日本国民がどう考えているのかといった内容を盛り込んではどうか」と提案しました。さらに「現在、日韓関係の対立が構造化されており、最高指導者のキャラクターに左右されない状況になっている。相手国の首脳について尋ねる比重を減らしたり、新たな国際情勢を反映したりするのも良いのではないか」と自説を主張しました。


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