「第5回 北京‐東京フォーラム」の意義 北京‐東京フォーラム」の意義

2009年6月26日

 このフォーラムの意義を考えたときにまず思うのは、中国が急激に台頭する中での日中関係の重要性ということだと思います。それは中国も認めていることです。どういう意味で重要なのかというと、米中に加えG20と呼ばれる国々も出てきている中で、世界経済を支えているのはやはり世界第2位の経済大国である日本と、第3位の中国です。アメリカ発の金融危機ということもあって、国債に関して言えば日中がアメリカ経済を支えているという現実が確かにあります。そういう状況の中で日中の対話をきちんとやっておくことはやはり重要なのです。今回の「北京‐東京フォーラム」は、今の金融危機と国際情勢の中で、日本と中国が存在感をアピールし、両国に何ができるかということを具体的に提案し合う貴重な舞台となるはずです。

 もうひとつ、日本の国際的な存在感は薄れつつあるわけですが、そのような中でも日本は国内の政局や選挙のことばかりで、グランドデザインを描くことができずにいます。しかし、日本が生き残っていけるとすれば、やはり経済しかないわけです。そこで日本の存在感を示さないといけないというときに、今回の中国との対話はアジアにとっても世界にとっても、重要な意味を持ってきます。日本がどんどん内向きになっていく中で、今最も注目を集めている中国と対話し互いに主張し合い、共通点を見出して世界的な課題に対する解決策を探るというのは、非常に意味があることだと思います。


国分良成(慶應義塾大学法学部長・教授)
1981年慶応義塾大学大学院博士課程修了後、同大学専任講師、准教授を経て92年より教授。03年同大学東アジア研究所長を経て、07年より現職。この間、ハーバード大学、ミシガン大学、復旦大学、北京大学、台湾大学で客員研究員を歴任。主な著書に「中国の統治能力―政治・経済・外交の相互連関分析」(慶応義塾大学出版会)など多数。

 このフォーラムの意義を考えたときにまず思うのは、中国が急激に台頭する中での日中関係の重要性ということだと思います。それは中国も認めていることです。