先人が掲げた思想を、我々が具体化を「第5回日中安全保障会議」第3セッション・閉幕式報告

2023年9月08日

 第1、2セッションに引き続いて行われた第3セッションは「北朝鮮をめぐる日中協力」と題して、北東アジア最大の懸案である朝鮮半島の核開発・ミサイル問題等への対処を議論しました。司会は防衛研究所理論研究部政治・法制研究室の増田雅之室長が務めました。


日中が協力することで、米中対立の緩和につながる

 日本側のトップバッターとして問題提起したのは、小泉純一郎首相(当時)の訪朝をお膳立てするなど長年、朝鮮半島問題に取り組んできた公益財団法人日本国際交流センターシニア・フェローの田中均氏(日本総合研究所国際戦略研究所特別顧問)です。

 田中氏は「北朝鮮の非核化は共通の選択的利益であり、決して核保有国として認めてはいけない」などと述べ、停止中の核・ミサイル・拉致問題を巡る6カ国協議は「究極的に正しい枠組み」と評価。その上で、核開発計画放棄の見返りとして安全上の保障や支援を得ることを盛り込んだ2005年9月の共同声明は「唯一の方策だ」と指摘しました。同時に「その解に向けて、北朝鮮と米国を説得できるのは日中。韓国の現政権は保守的であり、北朝鮮へのシンパシーがない」と述べ、日中が協力することで「米中対立の緩和につながる」として、中国側の協力を促しました。


北朝鮮の非核化はほぼ不可能

 これに対して、中国側の上海国際問題研究院朝鮮問題専門家の?克瑜氏が「北朝鮮の非核化はほぼ不可能」と現実的な認識を表明しました。その理由として「ウクライナは核放棄をして、ロシアによる特殊軍事作戦に遭った。北朝鮮も核兵器がないと"生存できない"と思っているはずだ。バイデン米政権も北朝鮮問題を解決する余力がない」と説明。その一方で「核保有国として認めるべきではない」との見方も表明しました。さらに日本が抱える拉致問題についても、北朝鮮側の融和を引き出すことは困難との考えを示しました。

 続いて新潟県立大学北東アジア研究所の三村光弘教授は問題提起で、北朝鮮の核開発や各種ミサイル攻撃能力の進展に関して「どれが一番大きな問題だと考えているのか」と述べ、中国側の見解を質しました。続けて中国が国連安保理決議に基づく制裁を踏まえて「北朝鮮の核保有をいつか終わらせなければいけない」という認識を共有しているかどうかについても意見を求めました。さらに中国が成功した改革開放路線に関連して「北朝鮮が近い将来、経済体制改革を行い、外貨を誘致して産業を発展させる意思を持つと考えるか」と重ねて疑問を投げ掛けました。

 中国側2人目の上海国際問題研究院朝鮮問題専門家の李寧氏は、北朝鮮の核開発・ミサイル問題について「個人の見解」と断った上で「日韓米の立場によって見方が異なる。中国からすれば、技術的な問題で放射能汚染などの方が脅威だ。圧力では問題を解決できない。対話こそ長期的な安定を構築できる」と独自の論を展開しました。同時に金正恩・朝鮮労働党委員長が訪露してプーチン大統領と会談するとの情報に触れて「米国による圧力、制裁は逆効果だ。日本や韓国は自国に有利な思惑で"北朝鮮を抑えてほしい"と言うが、そうはならない。まずは両岸問題に理解するなど中国の安全に配慮すべきだ」と主張しました。

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