国際シンポジウム・レセプション 報告

2014年3月29日

 3月29日に開催された国際シンポジウムのパネルディスカッション終了後、パネリストの方々を交えながら、レセプションが開催されました。

工藤泰志 まず始めに、言論NPO代表の工藤泰志が「今回のフォーラムを機に当事者としてアジアの課題に向き合い、輿論を喚起する」と決意表明し、言論NPOが昨年12月に発足させた「新しい民間外交イニシアティブ」へのさらなる協力を呼びかけました。

明石康氏(元国連事務次長) 続いて、「新しい民間外交イニシアティブ」実行委員長の明石康氏(元国連事務次長)が、「日中・日韓のみならずより多角的な、アジア全体を包含した意見交換の場として育てていきたい」と「言論外交」の今後の展望を語り、「いろいろなアイデア、ビジョンが出された。今日の討議をお聞きになれなかった方もビジョンを共有している」と、今回のシンポジウムの成果を強調しました。

加藤紘一氏 加藤紘一氏は、民族差別的な行為を受けて行われたJリーグの無観客時代に触れ、「民間がすごい決断をしたと思う。日本人は考え始め、やれることからやり始めている。今日もいい流れを作っていただいた」と述べました。

杉山晋輔外務審議官 また、外務省の杉山晋輔外務審議官が登壇し「最終的に対外約束をまとめるのは政府の役割だが、政府だけでは話にならない問題が現実に起こっている。今後とも、政府には決してできない仕事をしてほしい」と、政府の立場から民間外交への期待を述べました。


 続いて、海外から参加したパネリスト4名が感想を述べました。

趙啓正氏 趙啓正氏は、桜や梅を愛でる文化を例に挙げて両国の類似性に触れ、「新しい時代に同じ国民性と文化があって、二つの民族がなぜ戦争を起こすのか」と、昨年発表された「言論外交」にも絡め、改めて問題提起しました。

スコット・スナイダー氏 米国外交問題評議会のスコット・スナイダー氏は「ここ数年、日中・日韓関係を疑念の目で見ていたが、今日の議論を受け、良い方向に対話のチャネルが広がっており改善の兆しがあると安心した」と振り返りました。

ムシャヒド・アリ氏 ムシャヒド・アリ氏は「今まさに、民間外交という新しい外交の時代に立たされている。民間外交という言葉自体がよく分からないということもあるが、それに対していろいろと説明があったのはよかった」と感想を述べました。

アレキサンダー・ニール氏 アレキサンダー・ニール氏は「戦争よりも議論を戦わせた方がいい」という自国のチャーチル元首相の言葉を引用し「新しい考え方ということで我々がチャレンジに直面している中、言論NPOには最先端でイノベーションを起こしていってもらいたい」と述べました。

金元辰氏 駐日韓国大使の金元辰氏は「韓国と日本はいろいろな分野で強固な協力が行われているが、民間レベルではまだ潜在力は残っている。我々がそれをいかに活用するか、今日の議論が役に立つ」と述べ、来年の国交樹立50周年を前に、今後の対日本関係について展望を述べました。

140329_04.jpg 最後に、言論NPO代表の工藤泰志が、前日の歓迎会から徹夜で運営に取り組んだスタッフやボランティアの労をねぎらい、「東アジアに平和な環境をつくりたいという志でチャレンジしている。今日はそのスタートアップにしたい」と決意表明して会を締めくくりました。