パネルディスカッション「世界のなかで生きる~激論!日中韓関係」 報告

2014年10月11日

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 10月11日、ダイヤモンド社、アメリカン・エキスプレス社が主催している次世代リーダー育成プロジェクト『世界を変える100人になろう2014年』が都内で開催されました。代表の工藤は、「世界のなかで生きる~激論!日中韓関係」と題して行われたパネルディスカッションに参加し、100名を超す学生の前で、国際コラムニストの加藤嘉一氏と議論を行いました。パネルディスカッションの司会は、本プロジェクト塾長の米倉誠一郎氏(一橋大学イノベーション研究センター教授)が司会を務めました。

141011_01.jpg 冒頭、パネリストの自己紹介で工藤は、自分の人生を考えた際に「組織のために人生を終えることはあり得ない」と考え、「ネットワークに支えられ、課題解決というミッションを追求する言論を行いたい」という思いから言論NPOを立ち上げた、創設当時の思いを語りました。加えて、日中関係が非常に悪化した2005年、「この状況を誰が変えるのか」という思いから、北京で「東京-北京フォーラム」を創設したことも紹介しました。

141011_kato.jpg 米倉氏は、現在の日中関係の根本問題はどこにあるのかと尋ねました。これに対して工藤は、言論NPOが実施している世論調査の結果から、両国民の直接的な交流が不足し、メディアに認識を依存している構造的な問題を指摘。さらに、「未来をベースにして、今後の日中関係をどうしていくかという議論をもっと行っていく必要がある」と述べました。加藤氏は「国交正常化からの40年は国家関係の正常化であったが、これからの40年は国民関係の正常化をしないといけない」と主張しました。

 続いて、米倉氏は国有化について日中双方で日中国交正常化のストーリーが違うのはどういうことかと投げかけました。

 これに対して工藤は、「外交交渉の中身を秘密にしたために、それぞれの国民が納得する物語を政府が語ってしまっている」と外交のあり方として「秘密外交」になっている点を指摘した上で、「国民に対して何が課題で、それに対してどう取り組んでいるのか、国民が理解できる外交が必要とされている」と語りました。加藤氏は「交流が不足しているために、日本は『国有化』が与える影響を十分に分析できていなかった」と指摘した上で、「相手が何を考えているのか、どう考えるかということをもっと対話を通じて、理解を深めていく必要がある」と語りました。

 その後、学生から「国民同士の対話の場はどのように作っていくのか」、「日中韓の課題を乗り越えていくためには、歴史を手放した方がよいのではないか」といった質問や意見が出されるなど、出席した学生との間で活発な意見交換がなされました。

141011_yone.jpg 議論の最後に加藤氏は「今は、これまでの前提が前提でなくなる『乱世』の世界。自分がどういう世界にしていきたいか考えて、行動してほしい」と述べました。工藤も「現在の北東アジアは変化の中にある。答えのない中で一歩でも半歩でも進み、自分なりの答えを出していってほしい」と学生にメッセージを送りました。

 米倉氏は議論を総括し、「本当のグローバルな人間は、自分の言葉で日本を語れないといけない。そのためには自分で見て、考える必要がある。先ずは一歩踏み出してほしい」と述べ、ディスカッションを締めくくりました。