【インタビュー】小泉総理よ、政策転換を恐れてはいけない

2002年2月22日

kamei_s020222.jpg亀井静香 (衆議院議員)
かめい・しずか

1936年生まれ。60年東京大学経済学部卒業。1962年警察庁入庁。77年警察庁退庁。79年より衆議院議員、運輸政務次官、運輸大臣、建設大臣等を経て、99年より党政務調査会長。

概要

田中真紀子前外相の更迭をきっかけとした内閣支持率急落によって、小泉政権の構造改革路線は行き詰まり、いわゆる抵抗勢力と歩み寄りを見せるのではないかという見方が出ている。そんななか、言論NPOでは抵抗勢力の代表格の一人に擬せられている自民党の亀井静香元政調会長に緊急インタビューを試みた。亀井氏は小泉政権は今こそ路線転換に踏み切るべきだと主張し、積極財政による総需要喚起を急ぐしか経済危機打開の手立ては ないと語る。

要約

昨年4月の自民党総裁選で小泉現総理に敗れた亀井氏は、今では党内の抵抗勢力の代表格に擬せられている。赤字国債発行枠30兆円にこだわった小泉総理の規律財政路線に対して、亀井氏は積極財政による総需要政策を主張するなど、対立点は多い。田中眞紀子前外相の更迭をきっかけとした内閣支持率急落によって、小泉政権の構造改革路線は行き詰まり、いわゆる抵抗勢力と歩み寄りを見せるのではないかという見方も出ている。だが、亀井氏は「改革に抵抗するつもりはない。もともと改革の中身がないのだから、抵抗のしようもない」と小泉改革を鋭く批判する。さらには、国民は実体のない改革ブームにのって、自ら経済危機を招いているのではないかと警鐘を鳴らす。このままの状況でいけば、日本経済は近いうちに危機的状況を迎えるという点について、マーケットサイドと亀井氏の認識は見事に一致している。ただ、危機打開に対する処方箋はまったく異なる。マーケットは構造改革のスピードをよりいっそう加速し、断固とした決意でそれを実行に移すという明確なメッセージを求めているのに対し、亀井氏は総需要喚起しか打つ手はないと断言する。民間セクターが弱っているときに不良債権処理や緊縮財政路線を推し進めれば、さらに経済の足腰を弱める。民間が弱っているときこそ、公的投資を行うべきであり、欧米先進国に比べ社会資本整備の遅れているわが国には、まだまだ公共投資の余地はあると亀井氏は語る。さらには、昨今、政治改革のキーワードとなっている「与党の事前審査廃止」についても、まったくの空論と切り捨てる。議院内閣制においては、政府提出法案について与党が責任をもって国会で成立させるべきであり、そのためには法案提出前の事前確認は欠かせないというのがその論拠だ。


全文を閲覧する(会員限定)

 田中真紀子前外相の更迭をきっかけとした内閣支持率急落によって、小泉政権の構造改革路線は行き詰まり、いわゆる抵抗勢力と歩み寄りを見せるのではないかという見方が出ている。そんななか、言論NPOでは抵抗勢力の代表格の一人に擬せられている自民党の亀井静香元政調会長