言論NPOについて / 発言者:佐々木毅氏

2006年12月28日

002sasaki.JPG佐々木毅(東京大学前総長・学習院大学教授/21世紀臨調共同代表/言論NPOアドバイザリーボードメンバー)
ささき・つよし
profile
1942年生まれ。65年東京大学法学部卒。東京大学助教授を経て、78年より同教授。2001年より05年まで東京大学第27代総長。法学博士。専門は政治思想史。主な著書に「プラトンの呪縛」「政治に何ができるか」等。

日本において言論の世界が、いわゆる狭い意味での言論界の人のいわば仕事として考えられがちであった伝統を、さまざまな各界の皆さん方の参加によって新しく展開させようという志は、私は大変貴重なものであったと思いますし、これからも貴重であり続けるものであると確信しております。

私自身は、いろいろなところで言論NPOの活動を拝聴しているわけですが、日本の民主主義の質的向上が、この言論NPOの大きな目標です。そういう点で、例えばいわゆるマニフェストの評価などについて大変多くの検討を加え、その評価の仕方についてさまざまなご提案をいただきました。こうしたことはぜひ今後とも蓄積するような形で進めていっていただきたいと思っているものの最たるものです。

また、近年、各地域の諸問題に対してご関心を持つ方々がふえてまいりまして、いろいろな具体的な場を通して言論NPOの活動が、東京にとどまらず、日本のいろいろな地域の皆さん方との交流の場を広げるような形で進んでいっているということも、私は大変重要なことではないかと思っております。

特にこの後者の点については、私の個人的な印象ですが、これからも随分いろいろな問題が起こってくると思いますし、それどころか、むしろこれから本格的に起こるのではないかという予感もしているわけでございます。

したがって、東京の中で議論するだけではなくて、地域の具体的な問題との接触の中で言論の質をさらによりよいものにしていくよう、皆様方の今後一層のご協力をお願いしたいと思っております。

 日本において言論の世界が、いわゆる狭い意味での言論界の人のいわば仕事として考えられがちであった伝統を、さまざまな各界の皆さん方の参加によって新しく展開させようという志は、私は大変貴重なものであったと思いますし、これからも貴重であり続けるものである