「2011年 日本に問われていることは何か」「言論NPOに期待すること」/ 発言者:渋澤健氏

2010年12月18日

今後の90年のために、夜明けの中の一点の明かりとしての役割を

渋澤健氏渋澤健(コモンズ投信株式会社会長)

 皆さん、こんにちは。コモンズ投信の渋澤健と申します。最近、民主主義の危機を日本で感じております。民主主義というものは、いくつか前提があると思うのですが、1つは本来の民主主義というのは、ピラミッド型の人口構造が必要かなと思っております。それが、残念ながら今は逆ピラミッドになっています。そうしますと、やはり今とってツケを後に回すという傾向が強まってしまうと思います。ですから、本来の普通のピラミッドですと、若い世代が明日のためにということで、民主主義に参加しますが、逆ピラミッドの場合は、現役社会の我々が、きちんと意思を持って参加しないと、本当に莫大なツケを、負債をこれからの世代に残してしまうと思います。民主主義の一番大きな欠点というのは、これからまだ生まれてこない世代の人たちの表が現れないことです。ですが、我々が今判断するということは、当然ながら彼らに大きな影響を与えるのではないかと思います。

 後もう一つは、民主主義というのは民からの主義なのですが、もう一つの前提があるかと思いまです。それは、民の一人一人がきちんとした情報を持っていて、きちんとした情報をくだせるということだと思います。そういうものがないと、特に入ってくる情報が一次元的で、一つの角度の情報しかないという場合ですと、よく言われるようにポピュリストのような方に流れてしまう。そういう恐れもあるかと思います。ですから、そういう意味で、これから私個人的に、言論NPOに非常に期待していることはそこの面でありまして、きちんとした言論を通じて、きちんとした情報、きちんとした分析、考え方というのを民に伝えることだと思います。それによって民が始めて、きちんと判断して、民主主義に参加できるようになる。そういうことではないでしょうか。目先の日本は真っ暗状態だと、みなさんもそう思っていると思います。坂の上の雲を目指した時代もありました。今は、どちらかというと、坂の上の雲の中に入ってしまって、その中で彷徨っている、そういう状況だと思います。ですが、いずれは雲の上の青空は見えるかと思いますが、その時に、真っ暗な状態になっている今、夜明けのことを考えてみると、全体が一気に明るくなるということはないと思います。やはり、夜明けの時には、地平線の点から始まって、その光からどんどん明るくなっていくのだと思います。そういう意味で、私が言論NPOに期待しているのは、地平線の中の明かりです。そこのところから、どんどん広がっていて夜明けが来る。そういうことを期待していますので、これから9年、今後の90年のために、ぜひがんばっていただきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いします。

 皆さん、こんにちは。コモンズ投信の渋澤健と申します。最近、民主主義の危機を日本で感じております。民主主義というものは、いくつか前提があると思うのですが、1つは本来の民主主義というのは、ピラミッド型の人口構造が必要かなと思っております。