民主主義の原点に立ち返り、熟慮の上に一票を投ずる

2012年9月18日

増田寛也氏(株式会社野村総合研究所顧問)

 日本の民主主義について私は非常に危機感を覚えます。民意をうまく掬いきれていないという言われ方がされますけれども、確かに最近の政治家の振る舞いを見ていると一体自分たちの信念を持ってきちんとした政治行動をしているのかどうか、そこは大いに疑わざるをえないと思います。

一方で、我々の行動を政治家に託した有権者側にも問題があると思います。例えば、これは国政ではありませんが、先般の山口県の知事選挙を見ますと投票率がたったの45%でした。原発問題が争点となるということで非常に注目されましたが、結局有権者があまり足を運ばないという現状があります。ごく限られた有権者が選んだ人たちの振る舞いを色々あげつらうのはいかがなものかと思います。民主主義が本当に民意を掬いきれているのか、民主主義がこれからの日本の政治状況にとって本当にいいものかどうなのか、結局は国民の直接投票だとか、直接民主主義でなければいけないのではないか、という人もいますが、私はあくまでも代表民主制、ここで政治をきちんとまわしていく、そこでひとり一人の政治家が強い意志を持ち、責任をきちんと果たすことによって民主主義をまわしていかなければなりません。しかし、その原点は、選ぶ側の一人ひとりの有権者がマニフェストの奥にある問題をきちんと見抜き、選挙の際に熟慮の上に一票を投ずることにあるのではないか、ここに我々が意識を持って、臨まなければならないと思います。

近いうちに総選挙を行う、という発言が野田総理の口から出ているわけです。とにかくそんなに長い期間はありません。もう一度マニフェストのあり方、また我々一人ひとりの投票のあり方を考え直して、選挙に臨んでいきたいと思います。言論NPOが政治家に白紙委任をしないということを訴えました。これは、民主主義の原点に立ち返り、もう一度民主主義を回していこう、皆で考えていこうということで私は大賛成です。これから言論NPOの様々な活動の場に入り、もう一回私も民主主義を考え直したいと思います。

増田寛也氏(株式会社野村総合研究所顧問)
 日本の民主主義について私は非常に危機感を覚えます。民意をうまく掬いきれていないという言われ方がされますけれども、確かに最近の政治家の振る舞いを見ていると一体自分たちの信念を持ってきちんとした政治行動をしているのかどうか、そこは大いに疑わざるをえないと思います。