2007年 日本の言論には何が問われているのか?vol.1 / 小林陽太郎氏

2007年1月05日

2007年 日本の言論に問われていること
    ― 言論NPOのアドバイザーはこう主張する vol.1 ―

kobayashi_060104.jpg小林陽太郎(富士ゼロックス株式会社相談役最高顧問)
こばやし・ようたろう

1933年ロンドン生まれ。56年慶應義塾大学経済学部卒業、58年ペンシルベニア大学ウォートンスクール修了、同年富士写真フィルムに入社。63年富士ゼロックスに転じ78年代表取締役社長、92年代表取締役会長、2006年4月相談役最高顧問に就任。社団法人経済同友会前代表幹事。三極委員会アジア太平洋委員会委員長、新日中友好21 世紀委員会日本側座長なども兼任。

『2007年 日本の言論には何が問われているのか』

2007年はまず参院選があります。それに向かって今いろいろなことが問われています。安倍政権に絡んで言えば、本当にまだ安倍さんは曖昧でよくわからないことは事実ですけれども、実際に安倍さんは改革をとめないと言っている。では、とめない改革の中身は何かということを少しきちんと国内政策的にはっきりさせる。新年の言論に問われている大きなテーマはまずそれだと私は思います。

言論NPOはそうした議論にまず取り組むべきです。それは決して昨年来、話題になった特定財源がどうだこうだとか、そういう問題ではありません。それも重要なんだけれども、もう少し何か大きなイシューがあるのではないかと思っています。

小泉さんは郵政民営化をシングルイシューで選挙をやりましたが、選挙の際には国民の意識で常に上位に上がってくるのは社会保障、医療問題でした。国民のそういった意識はああいうものが答えやすいから、そうなのか、それとも本質的にこの問題への解答を出すことが本当に最大のイシューなのかどうか。イシューであるとすれば、そういった問題をどうやって取り上げ、新しい設計を行わなくてはならないのか、そういうところに、言論NPOなんかはきちんと取り組むべきだと考えます。

安倍政権になって、外交の面では実は日中は、まず方向としては、風はいい方向に向き始めました。中身はまだまだというところではありますが、私は本当に難しいのは、どうも日米関係の方なのではないか、そう思っています。アメリカがブッシュさんの残りをどうやっていくかは頭の痛いことですが、そのアメリカと一体どういうふうに日本はつき合っていくのかということは、安倍さんは何も言っていないし、もちろんその前の小泉さんも何も言っていない。2007 年は、この問題が対外的には最大の問題なのではないか。

それは、間接的に中国との関係とかアジアとの関係においても非常に重要な問題になるのではないかと思っています。これからの日米関係は、言論NPOとしてもまず取り上げていい最大の問題ではないか、と思っています。

 言論NPOアドバイザーの方々に「2007年 日本の言論には何が問われているのか?」をテーマに発言していただきました。まずは小林陽太郎氏の発言をご紹介します。