「エクセレントNPO」をめざそう市民会議 記者会見 報告

2010年6月09日

 2010年6月9日、都内にて、「強く豊かな市民社会の「良循環』をつくりだす 「エクセレントNPO」をめざそう市民会議」(以下、市民会議)の運営準備委員会が記者会見を行い、この7月に「市民会議」を発足させ、エクセレントNPOを目指す宣言団体の募集やエクセレントNPOの認証といった活動を年内に行うこと、さらには、政府が検討を進める「新しい公共」円卓会議の宣言文及び政府の対応方針に関する意見を公表しました。


 記者会見には、代表工藤のほか、片山信彦氏(ワールド・ビジョン・ジャパン常務理事・事務局長)、加藤志保氏(チャイルドライン支援センター事務局長)、黒田かをり氏(CSOネットワーク共同代表)、関尚士氏(シャンティ国際ボランティア会事務局長)、多田千尋氏(東京おもちゃ美術館館長、日本グッド・トイ委員会代表)、田中弥生氏(大学評価・学位授与機構准教授)、根本悦子氏(ブリッジ・エーシア・ジャパン理事長)、堀江良彰氏(難民を助ける会事務局長)、山内直人氏(大阪大学大学院国際公共政策研究科教授)が参加しました。


工藤泰志 まず、代表工藤より「市民会議」の発足と、会議の行動計画に関する報告がなされました。工藤はその中で、「強い市民社会をつくるためには、『エクセレントNPO』の評価基準を実際に活用して質の向上を競い合い、それが市民社会の中で『見える化』することで、市民の参加の循環をつくり出す必要がある」と述べ、この7月から、日本の非営利組織に対して、「エクセレントNPO」を目指すことを宣言することを呼び掛けると同時に、その中から年内に「エクセレントNPO」の認証作業を開始するため、その推進役として「市民会議」を立ち上げることなどの行動計画を説明しました。

 そして、市民会議の活動内容や体制、スケジュールが発表され、「年内にはこの取り組みで成果を出し、一つの大きな変化を作りたい」と抱負を述べました。
⇒市民会議の行動計画や体制の詳細についてはこちら

 市民会議では今後、「宣言団体」という形でエクセレントNPOを目指す非営利組織の自主的な応募を募り、その中からの申請を元に審査委員会による認証を行います。


田中弥生氏 田中弥生氏からは、エクセレントNPOの条件を満たす36の評価基準のうち、そうした宣言団体がクリアすべき10項目の基準についても説明がありました。その中には、「課題に取り組みながら、その背後にある原因や理由を見出そうとする姿勢や視点を持っているか」、「ボランティアや寄付者へ感謝の気持ちを伝える工夫をしているか」といった項目が提示されています。
⇒「エクセレントNPO」宣言団体が満たすべき基準10項目についてはこちら


 次に田中氏より、「新しい公共」円卓会議の宣言文及び政府対応案に関する意見が発表されました。田中氏は、鳩山前総理が所信表明演説で提唱した「新しい公共」の概念や、一人ひとりの市民が自律的に社会を支えていこうと呼びかけには期待した、としつつも、「そのプロセスや今回提示された政府対応案をみると、当初の理念からかい離してしまっているのではないか」として、「新しい公共」円卓会議を中心とした政府の対応に懸念を表明しました。その上で、円卓会議における議論について政府としての回答を求めたい、と4つの意見を報告しました。
⇒「新しい公共」円卓会議 宣言文および政府対応案に関する意見はこちら


 その後、会場との間で行われた質疑応答では、市民会議が行う「認証」の内容やプロセス、同会議の活動の具体的なスケジュールなどについて質問がなされました。その中で片山氏は、「NPO法の精神は、市民が自分たちで公共を担い、その動きを社会の中で生み出していこうということだったはず。政府が提示する「新しい公共」の中で、政府が非営利組織にその役割を任せられないと考えるのであれば、やはり私たち自身が強くなっていかなければいけない」と述べました。

 そして、代表工藤は、「『政府に何かをしてほしい』という考え方のパラダイム自体を変えていかなければならない。多くの組織が社会的な課題に自発的に向き合い、そうした質の高い組織に対して信用が生まれ、寄付が集まるような良循環が生まれてこそ、前首相が訴えた「自立と共生」に基づいた人間らしい社会は実現できるはず」と述べ、その良循環をつくり出すためには、非営利セクター自身が変わることで、変化の担い手になりたい、と決意を表明しました。


 市民会議では今後、エクセレントNPOを目指す動きを作るためのこの組織体制や評価基準の整備、精査を行い、7月には組織を正式に発足させ、同時に宣言団体の第一次募集を開始する予定です。