「第2回非営利組織評価研究会」 報告

2007年12月04日

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 11月1日に始まった同研究会は、自立した公共の担い手としてのNPOの可能性を探り、経営体としてのNPOの強化・発展の方途を探ることを目的としたものであり、言論NPO代表工藤のほか、田中弥生大学評価・学位授与機構准教授、経済企画庁の初代経済研究所所長を務めた林雄二郎氏、大阪大学教授の山内直人氏、日本NPOセンター副代表理事の山岡義典氏が出席するものです。今回は、武田晴人東京大学大学院経済学研究科教授を迎え、「営利組織と非営利組織―その機能と持続性―」をテーマとして、経済史的な観点からNPOの可能性について議論が行われました。

概要

071203_1.jpg 武田氏はまず、企業の機能について歴史的に振り返り、「機能面から見れば、本来『企業』とは、営利企業と非営利企業の二つに分けられる」とした上で、「営利が自己目的化したのはごく最近のことであって、歴史的にはそれは本来の企業の姿ではない」と述べました。そして営利企業であれ非営利企業であれ、どちらにも共通して必要なものは「持続性」であるが、後者には配当の対価としてお金を集めるという前者のような仕組みがないがゆえに、持続性を持って組織を経営し、ミッションを遂行することが困難であると指摘しました。

 武田氏は、現在の日本社会においては「自発性」や「共感」しかNPOの活動を支えるものがないという意味で、NPOの持続性を維持し、健全な経営体として育成することはナローパスであるとしながらも、「狭く険しい解決案」として、NPOの可能性を拡げるために、以下に挙げる三つの方策を提案しました。

 ①政府と非営利企業が、公共サービス及び準公共サービスの提供を分担することは、政府のサービス提供の原資となっている税金を、政府から非営利組織が補助金を受け取り、あるいは減税措置などによる寄付者へのインセンティブを与えるということを正当化すること

 ②家計が非営利企業に対して、労務を提供するとともに、寄附などを通して資金を提供し、他方で、非営利企業が提供する商品やサービスを購入したり、無償で利用できるようにすること。さらにまた家計が、非営利企業を支援する営利企業の商品の購入を通して、間接的に非営利企業の資金調達に影響を与え、あるいは非営利企業の提供する商品やサービスを選択することによって、より望ましい供給構造を作り出す主体となること。

 ③営利企業と非営利企業が、前者が家計と同様に後者に対して資金を提供し、相互に商品やサービスを取引するという関係を作ること。またこの両者が、その提供する商品やサービスの分野によっては、市場における部分的な競争者として対峙し、品質や価格の異なる多様な選択肢を家計に提供すること。

 その後代表工藤が司会となり、これらの提案について出席者の間で議論が行われました。その中で②に関する質問に対して、武田氏はそれまでの議論を補強する形で、「たくさんの『寄附』が集まるNPOだけがよいNPOなのか。より多くの『人』を集めるNPOが、自らがどれほどサポートされているかを外部に対して公表すれば、それが市場における支持の計数となり、それをもとにさらに寄附が集まるという良い循環を作ることができる。その意味で、『お金』と『人』という二つの指標、判断基準が必要なのではないか」と述べました。


 今回の研究会では、この他にも多様な論点について建設的な議論がなされました。言論NPOは、これからもこの研究会における議論を責任を持って発信していきます。今回の議論を含め、研究会における議論に関しては、言論NPOのホームページにて順次公開し、最終的にはすべての議論をブックレットとして出版する予定です。


文責:インターン 山下泰静(東京大学)