「私たちの宣言」発表 報告

2019年11月19日

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 公開フォーラムの第二セッション終了後、言論NPOが10月に発足させた「日本に強い民主主義をつくる戦略チーム」を代表して内山融氏(東京大学大学院総合文化研究科教授)が、市民の信頼を失っている日本の代表制民主主義の修復に向けた決意表明文「私たちの宣言」を発表しました。

yoshida.jpg 発表後、同席した同チームのメンバーから吉田徹氏(北海道大学大学院法学研究科教授)がコメント。今回の特別フォーラムの第2セッションの中で工藤が民主主義と自己決定の関係性について言及していたことを踏まえながら、人が自己決定をするにあたっては自分だけで決定することは難しく、共同体からの影響を免れることはできないことを指摘。そうである以上、個人と共同体のリンケージをより厚くし、好循環のサイクルを回していくことが、結局は民主主義をより強くすることにもつながっていくとの見方を示し、そのためにも「これから実践的な提言を打ち出していく」と意気込みを語りました。

uchiyama.jpg 内山氏は、一口に政治不信と言っても、現政権のみに対する不信や、政治システム自体への不信など様々なレベルがあるとした上で、後者の不信の場合、これが原因で政治離れを起こしてしまうと、自分の与り知らぬところで権利が制約されていくなど、やがて市民が自己の存立基盤を失いかねないと警告。だからこそ、政治とは自分の生活とは関係ないものではなく、自分自身の問題そのものであるということを人々、とりわけ若い世代は強く認識する必要があると主張しました。
内山氏は同時に、戦後日本を代表する政治学者である丸山眞男氏の「民主主義は理念、制度、運動という三つの要素によって構成される」という言説を紹介しつつ、単なる制度改革にとどまらず、運動、ここでは市民の参加を促すことが重要であるとし、そうした観点から同チームとしても活動していくと語りました。

DSC03938.jpg 最後に工藤は、市民の不満を上手くすくい上げることができないと政治家に対する信頼度はずっと低いままだとしつつ、「しかし、市民もただ待っているだけではなく、積極的に声を上げていく必要がある」と市民側からのアクションを求めました。その上で工藤は、市民が積極性を持つようになるための前提として、市民社会の基盤を強固なものにする必要があると主張。さらには、そうした市民の動きが国境を越えて連携すれば世界中で巻き起こる民主主義の危機を克服する原動力になるとの見方を示しました。

 工藤は最後に、「次に向かうための議論はできた」と収穫を強調しつつ、今後の取り組みに意欲を示しながら今回の特別フォーラムを締めくくりました。

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