民主党政権9ヶ月の実績評価(総論)

2010年5月27日

政治とカネ

政治とカネ :  15点 /100点
実  績
実行過程
説明責任
10点 /40
0点 /30
5点 /30


【実 績】

 「政治不信を解消する」ことを政策目的として掲げた民主党の主な具体策は、「企業団体献金の禁止」などであったが、鳩山前政権はこの分野で何ら特筆すべき成果を出していない。唯一進展があったネット選挙解禁は、当初今国会での公職選挙法改正により参院選から適用させる方針であったが、鳩山首相退陣に伴って審議未了となり、成立は見送られた。そもそも政治資金の問題の原因は、党の組織構造が脆弱で個人後援会ベースで活動を行い、資金管理団体、政党支部、その他の政治団体の3種類の財布を巧みに使い分けることで、資金の流れが不透明化していることにある。小沢、鳩山氏の事例は企業団体献金の禁止や個人献金の促進だけでは抜本解決にならないことを意味しており、実質的にも低い評価とならざるを得ない。政権発足以前から大きな課題となっていた鳩山前首相や小沢前幹事長の政治とカネをめぐる問題では、6月2日の両氏の辞任に一定の評価を加えることができるが、これで幕引きを図ろうとする菅民主党執行部の姿勢には疑問がある。徹底的に「うみ」を出すというのであれば両氏が国会の場で説明に応じるだけではなく、政治資金収支の一層の透明化や「政党本位」の党改革に踏み切るしかないが、この9か月間にそうした動きは全く見られなかった。

【実行過程】

 鳩山前首相は自らの政治資金問題や小沢前幹事長の政治資金問題の対応で一貫して消極的な姿勢を取ってきており、答弁を二転三転させた前首相の姿勢は、「政治不信を解消する」という自ら掲げた目標に逆行するものであり、かえって国民の政治不信を助長する結果となった。

 マニフェストで掲げられた政策については、ほとんど進展が見られない。鳩山前政権が政治資金改革に取り組む姿勢を見せたのは、1月28日に党政治改革推進本部の政治資金対策チームの初会合に出席したのが最初であり、政権発足当初からこの問題の動向が注視されてきたことを考えれば、遅きに失している。「企業団体献金の全面禁止」については、そもそも党内での意見対立がある上に、福島社民党党首がその必要性を強く訴える一方で、国民新党は消極的な姿勢を取るなど、閣内での方針の一致も見られない。結果として法案の提出を見送ることになったのは、党内や党の間の調整が不十分であったことがその原因であり、政党の約束を政府の約束に発展させ、首相がリーダーシップを発揮して実現に向けて動いた形跡は見られない。

【説明責任】

 政治資金については、過去に問題が発覚する度に国民の政治に対する不信感を著しく高めてきた。そうした経緯からも民主党政権にはこの分野で抜本的な改革が求められたが、マニフェストで掲げた具体策では実質的な解決策にはならないばかりか、鳩山前首相や小沢前幹事長両氏は自身の問題について、国民に対して真摯に説明することを避けてきた。鳩山前首相は退陣時には「政治とカネ」の問題にけじめをつけることをその理由の一つに挙げたが、これでこの問題が解決されたことにはならず、「政治不信を解消する」覚悟があるのであれば、改めて国民に説明を行うことが求められる。また、「企業団体献金の全面禁止」をはじめとする各政策に主だった進展がなかったという点については、なぜその具体化が進まないのか、国民に説明する必要がある。

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