政策討論会(前半戦)、自民、民主の主張はどう評価されたか

2009年7月05日

 政党別の公開討論会は、来週から「社会保障」や「環境」「外交」などの後半戦に突入します。
 先週の前半戦の3つのテーマ(「将来ビジョンと政権担当能力」「経済政策」「財政再建」)に対する会場と、中継されたウェブサイトの参加者の評価結果は、「将来ビジョン」の会場評価を除けば、自民党の主張の方が説得的というものでした。

 討論会は若者向けのウェブサイト(ニコニコ動画)でも中継されており、会場でのアンケートやウェブサイトを通じて多くの方からの書き込みがありました。

 言論NPOではこれらの議論の映像を公開する準備を進めていますので、さらなる意見を皆様からいただければと思っています。その前に、1日、2日と行われた議論の結果、自民党と民主党のどちらの説明に納得したのか、その途中集計結果を公開します。


7月1日(水)「日本の将来ビジョンと政権担当能力」

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 7月1日に行われた「日本の将来ビジョンと政権担当能力」には112名の方に傍聴していただいたほか、動画中継は15493人が視聴し、112041のコメントがありました。

 議論終了後に、どちらの政党の意見に納得したかを尋ねたところ、会場では「自民党」が25.0%、「民主党」が50.0%、「どちらともいえない」が22.2%となりました。(無回答2.7%)




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 一方のウエッブサイトでも同様に尋ねたところ、「自民党」が52.4%、「民主党」が11.6%、「どちらともいえない」が36.0%となりました。



7月2日(木)前半「経済対策」

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 7月2日に行われた「経済対策」は100名の方に傍聴していただいたほか、動画中継は17545人が視聴し、105823のコメントがありました。

 どちらの政党の意見に納得したかを尋ねたところ、会場では「自民党」が51.9%、「民主党」が18.5%、「どちらともいえない」が25.9%となりました。(無回答3.7%)



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 ウェブサイトでも同様に尋ねたところ、「自民党」が80.0%、「民主党」が4.0%、「どちらともいえない」が16.0%となりました。






7月2日(木)後半「財政再建」

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 同じく後半に行われた「財政再建」には100名の方に傍聴していただいたほか、動画中継は17545人が視聴し、105823のコメントがありました。

 どちらの政党の意見に納得したかを尋ねたところ、会場では「自民党」が26.3%、「民主党」が10.5%、「どちらともいえない」が57.9%となりました。(無回答5.3%)



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 ウェブサイトでも同様に尋ねたところ、「自民党」が77.0%、「民主党」が4.0%、「どちらともいえない」が19.0%という結果でした。


 また会場の参加者からのアンケートでは以下の意見がありました。


1日目:「将来ビジョンと政権担当能力」

【自民党と回答した人の意見】

・現在の日本の抱える最大の課題は「少子・高齢、人口減少問題」であり、急速に進展する高齢化社会化をどう乗り越えるかであると考える。この問題意識を根底に見据えた上での政策、将来ビジョンを語ることが重要である。(55歳女性)
・多岐に渡る見解を両党代表の方に伺ったが、やはりこれまで政権をとったことがない点で若干民主党の意見は理想的な議論に聞こえてしまった。自民党の方が不利な点も踏まえて把握していたと感じた。しかし、この点は民主党が一度政権をとってみないと解決できない問題であり、自民党の意見に納得するものの、民主党は一度政権をとり、同様の立場に立って両党の議論を聞いてみたいと感じた。(24歳女性)
・自民党のほうが現実的であり、民主党はきれいごとを言っている(特に官僚問題において)。(71歳男性)
・自民党の政策は現実的で実現性が高いと感じた。民主党はムダ撲滅や予算の見直しというが、具体性に欠ける。もし、民主党案で予算の効率化ができるなら、すぐに具体案を国家に出せばいい。政権交代を求めているのではなく、2党で協力し、健全、強固な政府を国民は望んでいる。(30歳男性)
・全体印象として自民党は現実的であり、融通性があるが、民主党は教条的で書生的である。バランス感覚がないと政策の実現性が嘘っぽくみえる。(58歳男性)
・現状を踏まえた実効可能性のある話は、自民党に多かったと思う。自民党のこれまでの努力をより説明すれば、もっといいと思う。(41歳男性)
・民主党は財源論(消費増税)を避けているから。
・ビジョンを示すという意味では物足りない議論だったが、個別論での"バラマキ"PRが強い民主党には財政健全化への不安が残る。(68歳男性)
・国家ビジョン、その裏付けとなる事実関係や財源など、もう少し具体的かつ正面から答えて欲しかった。特に民主党は2人もいたのに、理念先行の感がぬぐえなかった。
・本日の議論に限って言えば、長妻議員が政治家にとって最も重要」という「現状把握能力」について、園田議員が上回っていると思います。


【民主党と回答した人の意見】

・自民党は逃げが先行している。(48歳男性)
・目標の具体性(53歳男性)
・自民党にやらせておけば、今以上に悪くなる。確かに、経験が少ないとか、官僚に対する不信とか色々あるが、担当政党を変えてみることが必要である。民主党も一生懸命やるだろう。その結果で、政界への民間参入を含めて、顔ぶれをガラッと変えるなど、今後どうするかの、組織体制づくりをすればいい。(56歳男性)
・人柄もあり、立場もあるのでしょうが、専ら戦意喪失といった感じが残念でした。その影響もあり、全く討論になっていないと思う。(68歳男性)
・「マニフェスト=国民との契約」という定義が明快だが、これは理屈の上のこと。(65歳男性)
・国家ビジョンが自民党より明確であるが、十分とはいえない。ビジョンを明確にすることが何よりも優先されるべきである。(63歳男性)
・今の枠組みを変える必要がある。ただ、民主党の財源論はいただけない。予算見直しで財源が沸いて出るような姿を描いたのは失敗ではないか。(43歳男性)
・工藤代表の基本的な質問にさえ、具体的・明確に答えられていない。抽象的ではなく、分かりやすい説明がなぜ出来ないのか。(63歳男性)
・最初に「あるべき姿」「あるべき社会」を位置付けた結果、民主党の主張の方がすんなり理解できた。ただ、「1対2」なので、若干、園田氏の方が不利だったような気がする。また、民主党の「経済力ではない別のモノサシを提示するべし」という趣旨には賛同できた。(28歳男性)
・官僚制への問題点が的確だと思う。(21歳男性)
・両党ともvisionについては大差がない。方法論をより具体化している民主党の方が1歩リードしていると思う。(25歳男性)
・①長妻さんの「優先順位の低い所に金のながれる仕組みを直す」が全てを物語っている。要は、今の自民党は既得権(自分や役人など)を手放すことは出来ず、妥当な予算配分に変えることはできないと考える。国分さんが前後に言っていた通り、この様な議論が持たれたことは素晴らしいと思う。②今の自民党に政権担当能力はないと考えているので、担当能力があるかもしれない民主党にやらせる方がずっとマシだと考える。③憲法が許すからといって、総選挙を経ずに3 人も首相を出している政党を信用できるわけがない。(67歳男性)
・マニフェストの中身はともかく、それを国民の契約ととらえ、それを次の4年間で、実現に向けていこうとする姿勢に、現状打破の一つの可能性を感じたから。但し、中身についてはもう少し突っ込んだ議論が必要であり、説得力はイーブン。(61歳男性)
・「マニフェストは国民との契約」など、明確に説明主旨をとらえていた。
・現在野党であるがゆえに、政策目標とその手法についてはっきり断言しやすい利点があると感じられたが、個別のテーマについては、不確かな点も多い。いずれにしても、日本のあるべき姿、大きい政府か否か、本当に内需型になるか否か等の議論が不明確。(56歳男性)
・客観的に見て、自民党は何かを解決しようとする論拠が全くなく、表面的すぎる。民主党の考え方には納得できるところが多く、「国民とともに歩む」という心を堅持してほしい。(61歳女性)
・制度疲労が目立つ中で、システムとしての政権交代が必要。
・自民党は、4年間の実績評価を踏まえた議論になっていない。民主党は一貫性のある社会政策が提示できているおり、民主党による統治構造の突破に期待する。

【どちらとも言えないと回答した人の意見】

・問題意識に関しては、両党の代表ともかなり納得できる説明がなされていたと思う。しかし、財政問題に関しては議論に混乱がみられるように思う。(53歳男性)
・各党の将来ビジョンが不透明のままである。
・どちらも個別政策の説明にとどまり、国家像や社会像についての説明が足りない。また、司会やコメンテータの質問に答える形ばかりでは議論が深まらないので、直接2者で議論すべきではないか。(55歳男性)
・要するに負担の先送りで同じ
・セーフティーネットという言葉を何度か聞いたが、中・下級社会の労働体系を考慮したり、ワークシェアリング等を考えているのか、具体性がなく説明も欠けていた。(女性)
・私の子どもたち(1歳、4歳)が健やかに成長し、幸せな人生を送り、日本に産まれてよかったと想い死ぬことができるのか、両党の話からは確信が持てない。(33歳女性)
・自民党口調と民主党口調の差はあるが、どう世間を認識しているか、具体性に欠ける。少子化についての質問もさせてもらったが、なぜこんな国になってしまったのか、そういう認識がどの党からも聞けない。(女性)

【無回答者の意見】

・民主党が適正な政党であるという確証は得られないが、一度政権を取ってもらっては(トライアルをしてもらうという余裕はないけれども)。但し不適正であるということがわかったら、ただちに新しい実力のある政府の樹立を行うべきである。(72歳女性)

2日目前半:「経済対策」

【自民党と回答した人の意見】

・再生戦略プログラムをマニフェストに組み入れて良いのではないか。民主党の個別政策は、各方策の理念と整合性が不明瞭で、単なるばらまきと見える。(68歳男性)
・政策間の整合性や本当に効果があるのかについて疑問はあるが、ある程度の具体策を提示していたということで、自民党を選んだ。民主党は、ただ耳障りのいいことを言っているだけで、票集めという印象を受けた。実現可能性や具体性に欠け、あれで納得させようとしているとしたら、国民を馬鹿にしているとしか思えない。増子さんは質問に対してほとんど答えておらず、自分の話したいことに内容をすり変えていて、政権を担わせられない。(23歳男性)
・町村さんは質問に答えているが、増子さんは論点をずらすか、論点に答えないことに終始していて、イメージとしての自民と民主が逆転した印象を受けた。(67歳男性)
・ビジョンに関しては民主党に共感できたが、具体性に欠けていると思った。その点では、自民党の今回の話には納得した。(23歳男性)
・「いい加減なマニフェストは許さない」という点を判断基準とするなら、民主党は失格だったと思う。わかりやすい話を一つして、全体に同じことが言えるかのような話をしている。町村先生が「街頭演説ならこれでいいが」と言っていたが、まさにそんな印象。そんなことでは現実の政策はつくれません。(44歳男性)
・財源の出所が明確(33歳女性)
・マニフェストは、財政再建の達成に道筋をつけるべく明確に示すべき。23年度法制措置を講ずる旨を明示した自民党にやや分がある。民主党の財源確保策が、政権を取ってやってみてから、というのでは不安が残る。(68歳男性)
・消費税UPは当然の帰結。成長なくして財政再建なし。
・補正予算の方向性について、個別具体的だったと思う。ただ、実行段階で果たして目標通りに行われるのか、という心配がある。(55歳女性)
・ほとんどの質問に民主党側は答えられていなかった。具体的に、何をどのようにしたいのか、これが全く見えなかった。政権を民主党が取ったとき、きちんと機能できるのかがとても不安になる。(19歳男性)
・民主党の方がマスに向けて訴えかけるような議論であったが、自民党の方が説得力はあったと感じられた。民主党の議論は、埋蔵金を利用すると言ったり、頼らないといったりぶれている点が気になった。(24歳女性)
・民主党の主張には矛盾があるし、整合性もない。自民もやや抽象的な気はするが、質問にきちんと答えようとしてはいる。
・各政策の裏付けとなるロジックについては自民党(町村先生?)が明確であった。一方、民主党は理念先行であり、政策間の整合性については疑問点が多い。但し、自民党の戦略プログラムについては、一見具体的に見えるが、必ずしもそうとはいえず、総花的でその効果も不透明なので、政策としての評価は高くはない。(46歳男性)
・自民党の政策説明が説得的というより、民主党の説明があまりに非論理的。

【民主党と回答した人の意見】

・少しは新しいことが期待できそうな感じはある。
・国民目線である。(58歳男性)
・自民党は、ここまで債務残高を増やした原因追求、反省に基づく対策提示がない。税の集め方に対する不公平・不公正を正す姿勢がない。国民の信頼を回復することが大事。(58歳男性)
・現在のデフレの原因は、個人消費が低迷し、個人資産が使われていないことである。可処分所得を増やすよう支援することにより、消費が活発になると考える。しかし、年金制度や、社会保障制度の充実と並行して進めなければ、将来的不安から、消費は伸びず、単なる「バラマキ」となってしまうなど、補完すべき点はある。

【どちらともいえないと回答した人の意見】

・どちらも「幹」がよくわからない。何をして成長の道筋をつけていくのか、よく分からない。今問題を抱えている輸出業をそのまま温存するようでは先がない。(44歳男性)
・どちらに任せても財政破綻。ただ、自民は10~20年後、民主は5~7年度という感じであるなら、早めに破綻した方が、国民の目が覚めていいのではないか。(51歳男性)
・政策的整合性では自民党が勝っていたと思うが、民主党の生活重視の経済政策は、これまでの日本の在り方を変える一因にもなりそうで、期待したい。(50歳男性)
・民主党は総花的で、財政的バックグラウンド(消費税問題など)が弱すぎる。構造改革についても後ろ向きで、道路・農業政策ともポピュリズム的だ。自民党は、現在の大盤振る舞いに対する政策効果が甘すぎる。(35歳男性)
・どちらにも納得できない部分があるが、どちらかといえば、民主党よりは自民党だ。ただ、過去を含め、様々な政策の効果をもっと明確に示した上で、政策を転換していくべきである。何らかの政策によってGDPがx%上昇したというだけではなく、その政策に投入した費用と効果の比較、というような分析・評価の視点が必要だと思う。その上で、新たな政策を行っていくべき。(22歳女性)

【無回答者の意見】

・齊藤先生のいうとおり、「政策」対「効果」が不明確。
民主:可処分所得+20%、CO2-25%などの根拠が不明。積み上げのシュミレーションがあるように思えず、勢いでやっている印象。また、効果目標の「達成期限」がない。
自民党:逆に、効果や目標が不明確。定量的に評価・測定できる指標がなく、カネを使う話ばかりであり、15兆円も使って200万人の雇用だけでは、1人に750万円配るのと同じ。質はともかく、単にディベートの優劣で言うなら、町村議員の圧勝。(35歳男性)

2日目後半:「財政再建」

【自民党と回答した人の意見】

・現時点でできる限りの目標・方針をメッセージとして出せていると思った。(41歳男性)
・谷垣さんの話は具体性が高いが、中川さんの話は総論的。特に財源については、かなり実現性が低いように感じられた。(67歳男性)
・自民の方が現実性がありそうな印象をうけたから。
・自民党の意見に納得というよりは、谷垣さんの意見や姿勢に納得という感じです。おそらく今日聞いたことは、自民党全体の合意を得られたものではないと思います。全ての自民党員が谷垣さんの話したようなことに納得していたら、今の政策は変わっていたと思います。一方、民主党の意見も納得できる部分はありました。比較的、分かりやすいため、選挙での支持は民主党の政策が受け入れやすいのかなと感じました。(22歳女性)
・大変なテーマだと思いますが、説明が明確であり、かつ具体的であったと思います。(55歳女性)

【民主党と回答した人の意見】

・大切な考え方は、将来の視線をかえてみること。
・わかりやすい。(39歳男性)

【どちらともいえないと回答した人の意見】

・自民党のほうが具体性があったと思うが、自民党に対しては4年前の政権公約の総括を求めて欲しい。4年前も財政再建を訴えていたはず。この4年で出来なかったものが、なぜ将来できるのかわからない。(50歳男性)
・谷垣氏の方が論理的。しかしながら実現出来ないことは過去の実績を見ても明らか。(51歳男性)
・プライマリーバランスだけでは財政再建は難しいのではないか。国のバランスシートを作成し、その中の課題に対して政策を検討し、3年後、あるいは5年後にどのようなバランスシートにするのかをコミットする必要があるだろう。民主党の政策は地味で効果はあるが、スピード感に欠ける。(46歳男性)
・民主党は、やろうとしていることは重要でメスを入れて欲しい。実現可能かどうかともかく、やってみないと...というのはやや心許ない。(35歳男性)
・自民党は財政改革の道筋を示しているが、この4年間で何をいくらかけてやるかが示せていない。民主党はこの4年間で何をいくらかけてやるかを示そうとしているが、財政改革の道筋を示していない。本当の意味での選択をするには両方が必要である。有権者へのインパクトを考えると、民主党は魅力的に映るだろう。しかし、それだけに、その財源措置について責任を持たなければいけないと思うが、そこがない分あやうさを感じる。(44歳男性)
・民主党としては、現状認識の重要性をしっかり伝えておく必要がある。これだけ国債比率が高いのに格付けが高いのか。(68歳男性)
・いずれも評論家的で財政に対する当事者としての危機感と責任感が不足していた。それだけ正直なのかもしれないが...。
・4年間、消費税については議論しない、という民主党の説明への理解がいまひとつできなかったが、谷垣さんの説明にも納得したわけではない。

【無回答者の意見】

・2人とも、質問に真っ直ぐ答えず、はぐらかしばかりで残念。民主党に関しては、アプローチは良いけど、全てにおいて十分なデータを持っていない。「やってみなきゃ分からない」というのは象徴的。コミットメントはなく、「能力を信じてよ」というのはちょっと...。自民党に関しては、データの準備は良いけど、歳出削減、財政健全化のプランが見えない。消費税だけ?(35歳男性)