「自民党×民主党 政策公開討論会」5日目 【国と地方の役割】 速報

2009年7月09日

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 「自民党×民主党 政策公開討論会」5日目の後半は、自民党から衛藤征士郎氏(地方行政調査会会長)、民主党から玄葉光一郎氏(民主党分権調査会長)をお招きし、「国と地方の役割」をテーマに議論が交わされました。


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 まず司会の工藤泰志(言論NPO代表)が「目指すべき分権のあり方とはどういうものか。そしてその実現への道筋をどう描いているのか」と問いかけました。


090709_eto.jpg 衛藤氏は、地方自治体の経常収支比率が軒並み100前後であるという現状を踏まえ、地方分権にとって最大の課題は財源問題であり、そのために市町村合併が推進されてきた経緯を説明しました。その上で、地方自治体の財源確保のためには、国から地方への税源移譲を推進すること、国税、県税、市税のうち国税と市税を厚くするかたちを目指すことが重要だと述べ、経常収支比率を80くらいまで回復させる必要があるとしました。


090709_genba.jpg 玄葉氏は、分権の目的とは地方自治体に事務権限、財源を配分して裁量権を大きくすること「地域の潜在力のフタを開けること」であり、中央政府が本来果たすべき機能を取り戻し、結果として行政のスリム化がはかれることだと述べました。また、民主党は「基礎自治体の機能強化」という方針でやっていくと説明しました。工藤は玄葉氏に対し「小沢氏が代表のときは基礎自治体の数を300まで減らすと言っていたが、今回方針転換したのはなぜか」と問いましたが、玄葉氏は「300まで減らすとなると逆に中央集権につながってしまう。数にはこだわらないということにしただけで、方針転換したつもりはない」と答えました。衛藤氏は「合併は一段落したという認識だが、意欲のあるところについては継続して進めていく」としました。


090709_masuda.jpg コメンテーターの増田寛也氏(野村総研顧問元総務大臣)からは「行政の観点から財源論を中心とした議論が多いが、地方自治を強くするという地方分権の目的からすると、議会も含めた立法権の分権化も議論すべきではないか」という問題提起がなされました。これに対しては衛藤氏も玄葉氏も、条例の上書き権などを挙げ、地方議会の質を向上させない限り真の地方分権にはつながらないとの認識を示しました。


090709_fukushima.jpg 福嶋浩彦氏(中央学院大学教授 前我孫子市長)は、また、経常収支比率の改善については、合併という手段にこだわる必要はないとしました。また「分権は手段ではなくて民主主義の原理そのものである」との視点を提示したうえで、分権とは国の権限を地方に分けることではなく、地方に国の権限を分かち合うことではないのかとし、「両党が考える分権の主語とは何か。国なのか、住民なのか」と問いました。福嶋氏の考えに対しては両議員も理解を示し、衛藤氏は「大きなテーマについては住民投票をこまめに実施することなどによって手ごたえが出てくるように思う」としました。


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 林良嗣氏(名古屋大学大学院環境学研究科教授)は、「国、地方の二分論で話が進められているが、インフラなどのシステム構築は、自治体単独でもできないし、国だけでもできない。相互の多段階的な連携も考えるべきだが、分権論ではそうした話は見えてこない」と指摘しました。


090709_takahashi.jpg また、司会の高橋進氏(日本総研副理事長)による「道州制についてどんなデザインをもつか」という問いかけに対して、玄葉氏は「下から上がってくる道州制は認めていいが、国が上からすべて一律に決めるような道州制には無理がある」と述べ、衛藤氏は「ベストな道州制の姿については今後検討していく」と述べました。


 つぎに司会の工藤から、「地方分権推進委員会での議論の流れをどう考えるか」、それに関連して増田氏から「地方消費税の引き上げについてどう考えているのか」との問いかけがありました。衛藤氏は、「国の地方支分部局の統廃合が課題だ」とし、玄葉氏は民主党の方針について、少なくとも政権を取った後の最初の1年間は、推進委員会の議論を生かすかたちで進めていきたいとしました。また両氏とも、偏在率が小さい地方消費税率の引き上げには肯定的な見解を示しました。

 その後増田氏から、「基本政策は国が決めるとしても、分権をすればかなりの部分は地域が決めることになり、その際には首長だけではなく地方議会議員の役割も重要になる。今後は政党の地方支部が主体的に独自の政策を考えていくことも必要ではないか。行政だけでなく、政党の分権も考える必要があるのではないか」という問題提起がなされました。これに対し衛藤氏は「政党法の制定が重要だ」とし、玄葉氏は「地方支部の声を政策決定プロセスに乗せることは重要だが、上手く活用できていない現状があるので、国と地方で双方向の交流をしていく必要がある」と述べました。


 最後に工藤が、5日間にわたる政策公開討論会を振り返ったうえで、「マニフェストを、国民との約束として耐えうる具体性を持ったものにしてほしい」と述べ、締めくくりました。

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