ワシントンでの6日間を振り返って ~アメリカ、中国との本音レベルでの対話づくりを~

2013年3月16日

  聞き手:言論NPOスタッフ

スタッフ:工藤さん、お疲れ様でした。カウンシル・オブ・カウンシルズの年次総会、そしてシンクタンクや議会、政府関係者の方々との会談を終えての感想を教えてください。

工藤:今回は、多くの人たちの力も借りて、いろいろな人たちと会って議論をしました。言論NPOが今後、ワシントンを舞台に様々な議論を行うためのベースを築けたかな、と思っていますが、いろいろと考えさせられるものでした。僕たちは、アメリカ政府の情報を、基本的には日本のメディアを通じて知るわけですが、ワシントンの中でも民主党系と共和党系の間にはかなり違う見方をしていて、意見を聴く人によっては、かなり見解が違ってきます。その見方が違うまま、メディアを通じて日本に情報が流されているのかな、という感じがしました。日本とアメリカとの関係でも、コミュニケーションを強いものにしていかないと、日米問題を冷静に、かつ建設的に議論をすることは難しいのではないかと感じました。

 少なくない人たちが言っていましたが、日本とアメリカとの関係は、昔から多層で、重層的なコミュニケーションのチャネルがあったのですが、高齢化や日本の存在感が乏しかったこともあり、日本を研究している人も減ってきていて、コミュニケーションンのチャネルが減ってきているのが現状です。ただ一方で、ブルッキングス研究所がそうなのですが、シンクタンクによっては、日本の部署を拡張しているところもあります。また、アベノミクスなど、日本の経済政策がかなり注目されているということもあり、十分ではありませんが、ようやく日本のことを議論できる下地が作られ始めているのだな、と思いました。そういう状況も十分に考慮しながら、日本とアメリカとの関係をもっと緊密にするためにも、私たちも参加して、コミュニケーションのチャネルを深めていかなければいけないかな、と思いました。

 さて、これから私たちは日本に帰って、次は北京に行くことになります。いろいろな研究者にも聞かれましたが、日本と中国との関係は、尖閣問題を含めて、まだまだ緊張関係がある中で、偶発的な事故にならないようにどのように管理していくのか、どうコントロールしていくのか、というところにかなり関心を持っていました。この問題は、領土問題という主権がかかわる問題ですから、なかなか政府間交渉だけではうまくいかない。やはり、民間の本音レベルの対話が必要になってきていると思います。日本に帰って、十分準備をして、北京訪問に望みたいと思っています。

 日本に帰っても、いろいろな議論を皆さんに提供していきたいと思いますし、自分たちのこの日本の未来を考えていくための議論を、積極的につくっていきたいと思っています。

スタッフ:工藤さん、6日間お疲れ様でした。ありがとうございました。