日米中韓の4カ国で「アジア平和会議」を創設しました

2020年1月23日

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 日米中韓の4カ国で「アジア平和会議」を創設しました

 私たちは1月21日に日本と米国、中国、韓国の4カ国から、18氏の有力者が集まり、「アジア平和会議」という多国間の対話を立ち上げました。


6年かけて実現した北東アジアにおける多国間の対話メカニズム

 この会議が、北東アジアの未来に大きな意味を持つのは、北東アジアという世界でも最も不安定な地域に、現在の平和だけでなく、将来に向けて持続的な平和を目指す、多国間の対話のメカニズムが、民間を舞台に初めて実現したからです。

 この北東アジアには、中国と日米同盟との間で構造的な対立と緊張があり、様々なホットスポットが存在しています。また、多くの国が安定した関係を作り出していません。

 ところが、この地域では、こうした課題の解決の取り組みは不十分であり、持続的な平和に向けた多国間の対話の枠組みすら存在していない状況です。

 その中で、私たちは、6年の準備を行い、日本と中国、日本と韓国、日本と米国と対話を重ね、この地域の平和のための、多国間の対話のメカニズムを作り出すことに成功したのです。


二国間関係が安定しない中でも対立を乗り越え、四カ国間で合意ができた

 今回発足した「アジア平和会議」の対話では、かなり激しい議論もありましたが、ここで私たちは多くのことで合意しました。

 まず、参加者全員が、北東アジアに構造的な対立と緊張があり、多くのホットスポットがあるにも関わらず、二国間関係が安定的にものになっておらず、また安全保障に関する信頼醸成の仕組みや多国間の協議が枠組みすら存在しないことへの懸念を共有しました。

 その上で、この会議自体が信頼醸成の対話の舞台になると同時に、この地域の危機管理メカニズムの向上や将来の安定的な平和の枠組みに向けて作業を開始することを合意したのです。

 この合意の中では、北東アジアでは偶発的な紛争リスクは高まっており、こういう時だからこそこれまで以上に各国間の交流が必要であること、さらにこうした紛争を予防して、防止するために拘束力の高い仕組みを二国間でより強化する必要があることを確認し、この地域の危機管理の状況を、「アジア平和会議」で定期的なレビューを行い、こうした努力を通じて最終的にこの地域全体で共有できる枠組みを目指すことも合意しました。

 また、この北東アジアが将来、目指すべき平和の原則を、「不戦」と「反覇権」、そして「法の支配」とすることにし、これをもとに、どのように平和を目指すのかを、今後、日中、日韓、日米の二国間の会議でさらに議論し、来年の第2回目の会議に向けて準備を始めることも申し合わせました。
 
 現在、この地域では米中と日韓などの二国間関係も安定していませんが、私たちはそうした対立を乗り越えて、こうした合意を宣言として公表したのです。


北東アジアの平和のため、不退転の覚悟を持って取り組んでいく

 この北東アジアの平和に向けた取り組みは、2013年、私たち言論NPOが日本と中国との間で行っているハイレベルの民間対話である「東京-北京フォーラム」で合意した「不戦の誓い」から始まりました。

 尖閣諸島を巡って緊張が高まり、紛争への不安が世界的にも広がっていた時の話です。政府間の外交はこの対立によって完全に停止していました。

 その時、私たちは「不戦の誓い」で、どのような困難にも武力などでの解決を目指さないことを確認し、さらにこの誓いを、将来的には北東アジア全域に広げる努力を行うことを申し合わせたのです。

 その実現は順調に進んだわけではありません。むしろ、この地域では、二国間関係は悪化し、北朝鮮の核保有などの様々な問題が表面化し、北東アジアの緊張は高まったからです。だからこそ、私たちは作業を急ぎました。

 そしてこの日を迎えたわけです。

 私は、民間の取り組みには特別の役割があると考えています。それは、政府が本来行うべきことを、一歩、あるいは半歩前に進め、環境を作り出すことです。

 今回の私たちの取り組みは、この北東アジアの平和のための土台を作り出すための、確実な一歩だと考えています。しかし、それが実現するためには、多くの人の理解やサポートが必要です。私たちが毎年公表する、日本と中国日本と韓国との世論調査では、日中韓の国民は毎年お互いに、軍事的な脅威感を高めていますが、半数以上はこの地域の「平和」と「協力発展」、そして、平和のために多国間の多国間の対話への取り組みを支持しているのです。

 こうした北東アジアの多くの人の声を取り入れながら、私たちは、この北東アジアの平和のための作業に不退転の覚悟を持って取り組むつもりです。


⇒「アジア平和会議」創設記念フォーラムでの議論はこちらから