1時間後に迫った米朝会談の行方~日米共同世論調査から読み解く~

2018年6月12日

2018-02-21-(29).jpg 歴史的な米朝首脳会談がもう数時間後に始まることになる。

 先週末、日米両国民がこの結果をどう考えているのか、私たちは緊急の世論調査結果を公表したが、事態をなかなか理解できない日本国民に対して、米国民の意識は明確に一つの方向を描き始めている。

 この対照的な傾向の原因は、昨日HPで公開した、慶應の渡辺靖教授とのやり取りでも説明したが、米国の世論は、今回の会談で北朝鮮の核問題は「解決に向けて動き出すが、最終的な解決は将来的な課題になる」に収れんしつつある。

 つまり、今回の会談では非核化に向けた合意がなされ、最終的な行方は分からないが、少なくてもそれに向けたプロセスが様々な形で動き出す、という積極的な見方である。

 朝鮮戦争の終結や、米国と北朝鮮の国交正常化、さらには朝鮮半島の統一に向けた動きなど何本もの歴史的な動きが今後、絡み合いながら進むことを、多くの米国人は感じ取っている。

 こうした声は、今回の首脳会談はトランプ氏の米国の中間選挙対策であり、会談は失敗するという見方を依然取る強い米国の民主党支持層でも少なくないことが、今回の私たちの調査のクロス分析でも明らかになっている。
米国内で高まるトランプスタイルの行動への評価は、軽視すべきではない。

 これに対して日本国民に米国の民主党の支持層と同じ、冷めた見方があるのは今、朝鮮半島で始まろうとしている歴史的な動きに、日本自体がどのように向かい合うのか、十分な準備ができていないからだ。

 もちろん、日本政府はそれを意識しているから、拉致解決を前提とした日本と北朝鮮との国交正常化への動きを狙っている。それは、米国に飛んだ安倍首相の6月7日(現地時間)の記者会見でもよく分かる。

 今回の調査でも、北朝鮮問題は日米関係を強くしたという、米国民の見方は、昨年末の私たちの調査から大きく減少している。日本は歴史的な舞台にまだ上り切れていない。

 日本では、拉致問題が今回の米朝首脳会談の前提のような報道があり、その協力をトランプ大統領が明言したことにだけに、焦点が当たっている。
拉致問題の解決が大事だということは、私も同じ姿勢である。しかし、今、私たちが考えなくてはならないことは、朝鮮半島で冷戦終結と非核・平和に向けた取り組みが始まる可能性がある、という歴史的な事実の方なのである。

 さて、米朝会談の行方はどうなるのか。
 これからの話はまずは、それを見てからになる。

 言論NPOは明日13日午後6時半から、この会談の評価と朝鮮半島の将来について緊急のフォーラムを実施する。この模様をインターネットでも中継する予定ですので、ぜひ、ご覧いただければ幸いです。

⇒【緊急企画】「米朝会談の結果をどう読み解くか」