市民社会の活性化こそ、課題解決に向けた最後の砦

2021年3月29日

 言論NPOの工藤です。

 3月29日にリモートで「エクセレントNPO大賞」表彰式が開催され、以下のような主催者挨拶を行いました。ブログにも掲載しますので、ぜひご一読いただければ幸いです。

 エクセレントNPOの表彰は今回で8回目となります。

 今ではこのエクセレントNPOの表彰の動きが、市民社会に質の競争を起こすものだということを多くの人が知っています。

 ただ私は、今回の表彰はこれまでにない大きな意味を持つものだと考えています。

 それはこの一年、私たちはコロナ感染という人類の危機と戦っているからです。

 今回のコロナでは世界では1.2億人もが感染し、266万人がなくなりました。

 この日本でも47万人が感染し、9千人の方がなくなっています。長期にわたる自粛で、仕事を失ったり、生活に不安を抱える人も急増しています。

 そして、その影響は私たち非営利、つまり、NPOの世界にも及んでいます。

 それにもかかわらず、今年のエクセレントNPO大賞に、91件の応募があり、そのうち9割が新規の応募だと聞いています。

 市民社会の中で課題に向かい合う動きが、確かに存在している。

 私は、こうした市民の動きを、何としても大切にしなくてはと考えています。

 私たち言論NPOはこの一年、世界やアジアの多くの人たちと数多くの対話を行っています。コロナ対策や、世界の国際協調や民主主義の修復の問題。その中で、多くのことが分かってきました。

 世界では、大国の対立が世界の分断の危険性を高め、多くの国が内向きになり、多くの国で民主主義の統治が機能を失い始めています。

 コロナ感染の影響が、民主主義の国に広がっているのはそのためです。

 その中ではっきりとしてきたのは人類の危機に、加盟国、つまり国家を主体とした国連システムが全く機能しないということです。コロナという人類の危機に、世界の対応が失敗しているのはそのためなのです。

 国内の統治が課題解決で失敗し、世界の国家を主体とした国連システムが世界の危機に有効ではない。ではこの問題をどう乗り越えるのか。

 そこにこそ、私は国の主権者である市民の存在が問われていると思っています。

 世界はパンデミックだけではなく異常気象などの危機や貧富の格差など様々な問題に直面しています。こうした動きに市民社会が積極的に立ち向かい、国や国連の機能をむしろ使いこなさない限り、この危機を乗り越えるのは難しいと私は考えています。

 エクセレントNPOの表彰の動きはそうした市民社会の活性化に向けた、最後の砦だと私は期待しています。

 2020年度のエクセレントNPO大賞にどんな組織が選ばれるのか。それでは、これよりエクセレント大賞授賞式を始めさせていただきます。ありがとうございました。

⇒「第8回エクセレントNPO大賞」の結果はこちら