【共同通信】資金難乗り越え日韓対話 個人募金支え、今年も開催

2019年5月24日

2019/05/24 共同通信

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<以下、全文>

資金難乗り越え日韓対話  個人募金支え、今年も開催

 民間非営利団体「言論NPO」が2013年から続けてきた日韓の識者らによるフォーラム「日韓未来対話」が今年、政府間関係の悪化を背景に企業の資金援助が激減し開催が危ぶまれた。しかし、対話を続けてほしいと市民らが募金、23日までに目標の400万円まであと一歩となる285万円が173人から集まった。言論NPOは6月21、22両日の開催にめどが付いたとし、準備に力を入れている。
 「政府間関係が難しい時に民間外交が途切れると、2国間の課題に向き合う努力がなくなってしまう」と開催の必要性を訴える工藤泰志(くどう・やすし)・言論NPO代表は「多くの市民に支えられる対話という、本来目指したものに近づくことができた。今回の開催には大変な重みがある」と話している。
 韓国のシンクタンク、世宗(セジョン)研究所の陳昌洙(チンチャンス)・日本研究センター長は「韓国では関係改善を求める声が民間から出ているが、日本ではそうした声はあまりない」と指摘する。未来対話の継続は貴重な動きになりそうだ。
 未来対話では研究者や元外交官ら20人以上が、両国での世論調査も踏まえ懸案の解決策を探る。今年は元徴用工問題が議論の核心になると想定されている。例年、企業の援助が運営費の多くを占めるが、今回はほとんど協力を得られなかった。
 これを受け5月初旬から市民に支援を求めると、応じる人が相次ぎ、「今こそ対話が大事な時だ」などのメッセージも届いた。工藤代表は「日本社会が健全なバランス感覚を持っていると感じている」と喜んでいる。問い合わせは言論NPO。http://www.genron‐npo.net/(共同)

日韓未来対話
 民間非営利団体「言論NPO」が韓国のシンクタンク「東アジア研究院」と共に2013年から年に1回、東京とソウルで交互に開いてきた、日韓間の懸案を識者が民間の立場で話し合うフォーラム。元外交官や研究者、経済人、記者、国会議員ら20人以上が参加する。事前に日韓双方でそれぞれ千人規模の世論調査を行って懸案に対する世論を探り、議論のたたき台にする。今年は元徴用工問題の解決法などを問い、6月12日に結果を発表、同21、22両日に東京で討論を開く計画。(共同)