15周年の節目に語る、言論NPOの決意

2016年10月21日

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認定NPO法人 言論NPO
代表 工藤 泰志

kudo.jpg 私は、今回の15周年という節目に、特別な思いを持って臨もうとしています。
 議論の力で閉塞した日本の状況を変えようとの思いから、私は、2001年に言論NPOを立ち上げました。当時、私は、日本が将来の課題解決に向けて全く動いていないこと、国際社会の中で日本が存在を失っていくという状況を変えるためには、日本の中に課題に挑む新しい動きをつくらなければいけない、と考えていました。それは、国民や有権者が自立し、自由な社会と日本の発展を有権者一人ひとりが考え、この国の課題に取り組んでいく、まさにリベラルデモクラシーを議論の力で強化する、そのための舞台をつくりたいという強い思いでした。
 しかし、ここ数年、世界では、責任ある個人の自由を主体としたリベラルデモクラシーに対する激し挑戦が起こっています。グローバリズムが進展する中で様々な格差が広がり、また、中国やロシアなどの大国がこれまでの秩序に挑み始めています。世界で表面化する様々な課題に真剣に向かい合わなかった多くの先進民主国では、将来の不安や反発から、ポピュリズムの傾向が表れ、多くの知識層や言論が、そうした動きを食い止められず、いわゆる「知識層の無力化」という問題が出てきました。この状況を、私は軽視してはいけないと考えています。同時にそれは、私たち言論NPOが目指してきた「強い民主主義」へのチャレンジであり、私たちの活動の真価が問われる局面にある、と考えます。

 これまで調和してきた「グローバル化」「国民・国家」「民主主義」といった3つの要因がぶつかり始めています。この状況を改善するためにも、私は「民主主義」をさらに強いものにする必要があると考えています。様々な課題に多くの人が向かい合い、課題解決の意志を持つ世論によって意思決定がさらに加速される。
 そして、何よりも自由で、将来に責任を持つような個人の動きが、これからの民主主義の基盤にならなければいけない。そうした基盤を作り上げることが、不安定化する世界や国内の課題解決に向けた新しい仕組みを作り上げる大きな力になると強く感じているのです。そのためにも、私たちは議論を開始しなければいけない。日本の将来やアジアの平和、経済的な協力発展、グローバリズムに伴う国際秩序の不安定化など、こうした世界的な課題に対して、多くの人たちが議論を行い提案し、国際社会の中で、より強い発言を行っていく。そうした舞台をつくり上げることが、私たちの使命なのです。

 言論NPOは、同じ志を共有するネットワークだと、私は考えてきました。だからこそ、多くの人たちが参加し、発言し、課題に対して向かい合う、そうしたプラットフォームをさらに強くする責任が私にはあります。そして、言論NPOを日本のデモクラシーのインフラとして機能させる。それが私の15周年の覚悟なのです。そうした大きな動きをつくらない限り、次世代に繋がるこれからの日本の将来を基盤をつくれないのではないのではないか、と私は今、考えているのです。

 私はこの15年間、そうした思いで一度もブレずに、言論NPOの取り組みを行ってきました。しかし、これからの展開は、同じ思いを共有する多くの人たちの力が必要なのです。
 今回のパーティーは、そうした次の動きに向けたスタートの場なのです。多くの思いを共有する人たちが集まり、議論し、次に向けての動きを始める、そうしたスタートを切るために、ぜひ皆さんの思いを共有する力を貸してもらいたいし、多くの人たちに参加してほしいと思います。

 最後になりますが、今回のパーティー開催にあたり、各分野で活躍する200人近い人たちに発起人になっていただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。

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