20周年を迎える言論NPOへのメッセージ

2021年11月12日

明石 康(言論NPOアドバイザリーボード、国立京都国際会館理事長、元国連事務次長)

 2021年に20周年を迎えた言論NPOは、大きすぎる問題意識に踏みつぶされそうにさえ見える。まだ21世紀も5分の1しか過ぎていないのに、日本の抱える問題はもとより、アジアと世界の問題がこの国の将来を今までと全く違ったものにしそうにみえる。

 日本の前に立ち塞がる政治、外交、経済、社会、文化や科学などについて、望ましい未来を考え、選択肢を選び、それに達しようとする国外の人々と本当の思いを語り合うことが必須になってきたことをひしひし感じる。

 この10月26日に終わったばかりの「東京―北京フォーラム」は、言論NPOにとって、17年目の会議だったが、日中両国の参加者たちがやっと胸襟を開き、共通の問題を認識しあうところまできた感じがある。日米、日中、動揺するアジアとアフリカ、それに加えて世界の問題は困難になるばかりであり、気候変動や変異の続く新型コロナ問題などについて、真の解決策を見出すことは世界中のシンクタンクにとっても至難の業に見える。

 この国の存在感が益々小さくなっていかないためにも、私たちは意見を戦わせ、解決策を語り合い探しあう以外にはない。内外の知識人の参加を得て、益々難しくなる解答を目指して、「言論NPO」を支えながら、より大きな成果を求めて進んでいくしかない。

宮本 雄二(言論NPOアドバイザリーボード、宮本アジア研究所代表、元駐中国大使)

 言論NPOが、ついに創立20周年を迎えることができたことは慶賀に堪えません。私は、「東京-北京フォーラム」の関係で2007年に北京において初めて工藤代表とお目にかかりました。このフォーラムも私にとり実に画期的かつ重要なものでしたが、それ以上に、工藤代表の日本の民主主義への熱い思いに深い感動を覚えました。その時から、すでに14年が経ちます。決して平坦な道ではなく、試行錯誤の連続であり、挑戦の連続でした。その中で、工藤代表の揺るぎない信念、それを支えるスタッフの献身的協力、そして何よりも言論NPOを支えていただいた多くの方々のご尽力により、20周年を迎えることができました。

 世界は間違いなく不確実な歴史的過渡期に入り、日本は不退転の大改革をしなければ明日はない状況に追い込まれています。その根幹に日本の民主主義をどうするのかという大問題が横たわっています。「日本の民主主義と将来の課題に立ち向かう"言論の舞台"を提供する」という言論NPOのミッションが、今日ほど時代の中心に座ったことはありません。

 さらなる発展のために、より多くの皆様のご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。

川口 順子(言論NPOアドバイザリーボード、武蔵野大学国際総合研究所フェロー、元外務大臣)

 言論NPOの設立20周年を心よりお祝い申し上げます。

 この20年は変動の時代でした。9.11、米中関係悪化、IT技術の進歩、気候変動の影響増大。そして今、COVID-19と一層の格差増大。今後世界も日本も、増大する不透明性の中で、海図なき航海を強いられることになるでしょう。

 今日本に期待されているのは、変化を先取りし、その方向に自らと世界を変える力です。民主主義国家では、その力を持つのは国民です。政治やマスメディアを変えるのは私達です。私達が考える力を持っているかどうか、情報を適切に取捨選択できているかどうか、何をなすべきか判断できているかどうか、発信できているかどうかが問われていると私は考えています。

 言論NPOはそのためのプラットフォームです。質の高い情報や考えるための切り口を提供し、世界に日本を発信する活動にこれまで成果を上げてきました。今後のさらなる発展に大きな期待を寄せております

川西 京也(言論NPO理事、K&S綜合会計所長、TKC全国会顧問)

 私は市井の一介の税理士ですが、8年ほど前ある会の懇親会でたまたま理事長の工藤さんと席が向いになり、そこで「世論」と「輿論」は違うよねという話題で意気投合し、その後弊所にお見えになった時に会議室に飾ってあった石橋湛山の色紙を見て盛り上がったのが言論NPOとの関わりの始まりでした。

 世の中にはこんなにまじめに社会のことを考えている人がいるということに驚きました。

 「議論の力」で強い民主主義を作り出す。皆さん手弁当で真剣に議論しています。

 多くの人が平時と思っているときに、民主主義や紛争を議論する人の輪を広げることは多大な労力を必要とします。

 世界の歴史は紛争の歴史とも言えます。戦争のない自由にモノが言える社会は何の努力もなしで得られるものではありません。一人一人が当事者意識をもって社会に参加しなければなりません。

 言論NPOが核となって建設的な議論の輪が広がっていくことを期待し、私も努力したいと思っています。

相澤 弥一郎(言論NPO理事、欅興産株式会社代表取締役社長、元日本青年会議所会頭)

 非営利のシンクタンクとして我が国のトップを走り続けてこられた工藤さんをはじめとする皆さん、本当におめでとうございます。私が青年会議所の若手メンバー時代、衰退と混迷の我が国において、民主主義というものはどうあるべきなのか悩んでおりました。そんな中で大変な熱意で行動しておられる工藤さんのお姿に感銘を抱き、また多くの刺激を与えてくださいました。

 民主主義とは、取り巻く環境の変化とともに、常にメンテナンスされるべきものと考えますが、政治以上に国民の意識を高めることが大切で、議論の力で民主主義を強くするという役割は我が国でさらに増しているものと考えます。

 我が国が初めて経験する人口減少社会において、そのありようを議論していくことが求められていると思います。

 民主主義の一翼にかかわれる喜びを持って、ともに活動していきたいと思っております。

山口 廣秀(日興リサーチセンター理事長)

 言論NPOは2001年11月に設立され、今年で20周年を迎えられました。誠におめでとうございます。

 この間の言論NPOの活動には目を見張るものがあります。2005年には日中の民間対話のプラットフォームとして「東京-北京フォーラム」を立ち上げ、私も2010年から参加しています。その後、「日韓未来対話」、「日米対話」、「アジア平和会議」、「東京会議」を相次いでスタートさせるなど、極めてアグレッシブに日本と世界をつなぐ活動を続けてこられ、そのバイタリティには改めて敬意を表したいと思います。

 現在世界は歴史的な分岐点に立っています。グローバリズム、多国間主義、自由貿易主義などこれまで世界の政治経済社会を支えてきた重要な理念が、ナショナリズムの台頭と世界の分極化の下で行き詰まりをみせています。他方、気候変動への取り組み、感染症対策、人口動態への対応など、世界が一致協力して解決していかなければならない課題は山積しています。言論の力で様々な課題の克服に努めてきた言論NPOの真価がこれからまさに問われようとしています。国際協調の再構築のため、世代を超え、国を超え、地域を超えた対話の重要性はますます増大しています。言論NPOへの期待が一段と高まっていると言っても過言ではないでしょう。

 言論NPOのさらなる活躍を祈念しています。

坂尻 信義(朝日新聞ゼネラルエディター兼東京本社編集局長)

 このたびは誠におめでとうございます。私が言論NPO代表の工藤泰志さんと出会ってから、ほどなくして工藤さんには弊紙・朝日新聞の「フロントランナー」という大型記事にご登場いただきました。2014年8月のことです。経済同友会の元代表幹事、故・小林陽太郎さんに工藤さんが初めて会ったとき、小林さんから「私も仲間に入れてほしい」と言われ、工藤さんが号泣したというエピソードが、とても印象に残っています。

 私にとって言論NPOといえば、なんと言っても「東京-北京フォーラム」です。四川、香港、北京に計10年間ほど暮らしましたが、国同士としての中国とのつきあい方は、いまだに正解を見いだすに至っていません。そんな巨大な隣国と、粘り強く議論を続け、平坦でない道を前を向いて歩み続ける言論NPOの皆さまには、心より敬意を表します。ますますのご発展とご活躍をお祈り申し上げます。

島田 太郎(東芝執行役上席常務最高デジタル責任者CDO、東芝デジタルソリューションズ社長、東芝データCEO)

 いかなる状況においても、対話を続ける事は大切だと思っております。特に日本の様に海に閉ざされた国は、独自の考えや、印象で物事を判断しがちになります。言論NPO様は、このややもすると日本人が億劫になるような事に、一貫として取り組まれて来た事を驚きと共に、賞賛させて頂きたいと思います。

 もう一つの日本の問題は、言うべき事や、聞くべき事を控えてしまう事だと思います。しかし特に言語や習慣も違う国の間で、恐れずに主張したり、聞いたりする事は極めて大切だと思います。この点においても言論NPOの皆様の功績は大きいと思います。先日の日中の会議でも申し上げましたが、人類にとって地球は既に小さすぎる状況になりました。手遅れになる前に、世界の問題を一緒に解決できる様に、今後も言論NPO様が活躍続けられる事を、祈念しております。

岩渕 美智子(東洋大学法学部元助教授)

 貴重な活動を20年間に渡り継続されてきたことに深く敬意を表します。

 「国内外において民主主義が危機にある」というのは誰しも思うところです。それを食い止めるには、広く国民の間で健全で活発な議論が展開される必要があります。そのための専門的かつ客観的な知識や情報を提供しているのが言論NPOです。

 私は今年言論NPOの20以上のフォーラムに参加し、他では聞けない掘り下げられた議論と新鮮な情報に接することができました。また日韓、日中関係が悪化する中、日韓未来対話及び東京-北京フォーラムも全日参加し、各々の国のエキスパート同士の率直な意見交換に「こうした交流こそが今一番必要なことだ!」と強く胸を打たれました。

 議論による民間外交を徹底して実践する日本で唯一無二の存在である言論NPOの活動に多くの方々が参加し、日本が国際平和の構築に貢献できることを願って止みません。

鎌倉 千秋(NHKアナウンサー)

 言論NPO20周年の取り組みに心より敬意を表します。

 毎年秋になると発表される「日中共同世論調査」は、私もニュースを読む立場から、毎年注目して参りました。データはまさに時代の鏡であり、両国民感情の複雑な交錯の現れでもあります。感情の悪化に気を落とす一方で、これまでにない変化に希望を見出すところもありました。

 そしてこの調査をもとに2021年初めて、パネリストの一人として参加し、この揺るぎない日中対話の枠組の中で自分の取材経験を述べさせていただきました。また、長年日中関係の構築に努めてこられた諸先輩方が率直に考えをぶつけ合う姿を見て、国際相互理解は「対話から始まる」という両国間の信念を改めて強く感じた次第です。

 次の日中関係を担う世代の一員として、私たちも積極的に臆することなく"対話"を続けていきたいと思います。

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