【座談会】政党、議員の政策立案機能をどう高めるか

2002年5月15日

松崎 豊 (保岡興治衆議院議員秘書)
佐竹 茂 (鎌田さゆり衆議院議員秘書)
栂坂英樹 (民主党政策調査会副部長)
佐々木孝明 (東京財団リサーチフェロー)
(匿名)A (与党政策関係者)

概要

辻元清美氏の政策秘書名義借り疑惑以降も、加藤紘一氏、田中真紀子氏、そして井上裕前参議院議長と議員秘書による口利きや秘書給与流用の問題が政治スキャンダルとして次々と明るみに出ている。こうした事態を受けて、言論NPOでは再度、現役公設秘書および政策秘書経験者に集まってもらい座談会を開いた。今回は党の政策スタッフ2人にも加わってもらい、議員と秘書、および政党のあり方について本質的な議論を繰り広げた。

要約

鈴木宗男氏、辻元清美氏以降の一連の政治スキャンダル報道は、ある種の劇場化の様相を呈しており、政策秘書のあり方をどうすべきかという本質的な論議が素通りされてしまう可能性がある。それを避けるためにも、「政治と金の問題と、政策を立案するために取り入れた政策秘書制度、あるいは政党の政策立案機能とを全く別に議論しなければいけない」。

一方、政治家側も、政党助成金と同じように本来は政策機能強化を目的としていたはずの政策秘書制度を、国からの人件費補填として捕らえる傾向が強く見受けられる。現実に人手は必要なので公設秘書給与を議員事務所で一括管理して、秘書全員に再分配する「プール制」の導入を主張する声も高まっている。

このプール制の問題については、「私設秘書に対する公的な人件費補助制度をつくってくれというのなら筋は通る。けれども、公設秘書は特別職の国会公務員であり、賃金体系が決まっているのだから、プール制導入は議論の対象にならない」と座談会参加メンバーからは反対の声が上がった。

公設秘書に関する根本的な問題は「きちんとした法的な制度が存在しないことにある」。特別職国会公務員であるからには、「義務と権利、あるいは禁止事項の明確な線引きがなければおかしい」。そういう状況を踏まえて、あるべき政策秘書の姿を論じなければいけないと参加メンバーは主張する。

こうした制度上の問題は、議員事務所、政党の運営にも波及する。国会議員や議員事務所の経費の扱いについても、公的なものなのか、私的なものなのかは慣習的に決まっており、明文化されていない。また、政党自体の法的立場も憲法には明記されておらず、任意団体として存在している。その任意団体に対して政党助成金という形で巨額の国費が投入されているにもかかわらず、会計情報の公開義務すらない。

まずは、こうした制度上の問題を解決した上で、議員が活発に政策を議論し、それを党の政策に収斂されていくような仕組みが必要である。


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