民主党政権9ヶ月の実績評価(総論)

2010年5月27日

年金 :  28点 /100点
実  績
実行過程
説明責任
18点 /40
10点 /30
0点 /30

【実 績】

 民主党は、いわゆる「消えた年金」「消された年金」問題への対応については精力的に取り組んでおり、形式的には評価される。また、年金制度体系の見直しに向けた動きについては、「新年金制度に関する検討会」等を発足させて議論が前倒しされており、制度全体の不透明さを払拭する姿勢自体は評価できる。しかしそもそも、年金政策の最大の課題は、年金財政の中長期的な持続可能性確保であり、国民年金保険料の納付率が09年度11月現在で58.0%にとどまっている。現行の年金制度自体への信頼が失われているこうした状況について、民主党政権としての考え方はこれまで全く示されてきていない。また、04年の年金改革当初、給付額を自動抑制する仕組みとして導入された「マクロ経済スライド」がいまだに発動しておらず、給付抑制が始まらない結果として被保険者に対する年金の過剰給付が発生している。これは将来世代に対する負担増につながるものである。さらに、基礎年金の給付財源に占める国庫負担割合を3分の1から2分の1に引き上げるために当初08年までに行われるはずだった税制抜本改革はいまだなされず、その引き上げは09、10年度については埋蔵金を財源として実施されたものの、年間2.5兆円の財源について11年度以降の目途は立っていない。民主党のマニフェストでは、12年度に新制度設計を開始し、13年度中にはこれを決定するとしたが、それに先駆けて、年金制度に関する国民的合意を得ると約束している。しかし、これでは国民的合意に向けて必要不可欠かつ喫緊の課題に政権として応えているとは言い難い。歳入庁の創設については、国税と社会保険料の一括徴収は評価すべき方向だが、実現に向けた議論は進んでおらず、またその政策を実現するためには低所得層を含む所得情報の一元的把握が必要不可欠であるが、その情報を把握している市町村の税務行政を含めた構想となっていない。

【実行過程】

 まず、自民党政権の下で実施され、信頼性の極めて乏しい09年2月に公表された第一回財政検証結果が見直されていない。野党時代の長妻大臣、山井政務官をこの点を強く批判してきたにもかかわらず放置されており、大きく評価を下げる点である。少子高齢化が進み、低成長経済へ移行する状況下で、これまでと比べ厳しい年金財政の姿を国民に示すことになるという意味で、年金制度改革においては、そのプロセスをオープンに、分かりやすく、公正なものとすることが他分野以上に必要である。しかし年金確保支援法案は、本来マニフェストには記載がなく、国民的な、オープンな議論が行われた形跡もないまま国会に提出された。

【説明責任】

 少子高齢化と低成長経済下の年金制度改革においては、国民に必要な負担を求める視点から積極的な説明が求められるが、鳩山前首相からはそうした姿勢での説明、説得が全くなかった。また、新年金制度に関する検討会は非公開である上に議事要旨のみの公開であることからも、情報公開の観点から極めて不十分であり、総じて説明責任については低い評価となる。

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