「安倍政権100日」評価 【調査結果】公表 

2007年1月09日

7割近くが、何を目指す政権か現時点でも分らない、と回答。
全体評価は5段階評価で2.2点

現職の中央官僚、現場の新聞記者、東京の大学生、言論NPOの活動に参加する有識者が判断した「安倍政権の100日評価」では、3割を超す人が現状の安倍政権を当初の期待に答えていないと判断し、7割近い人が、100日経った現段階でも安倍政権が何を目指す政権か分らないと回答しています。


安倍政権に問われる役割は「歪みの修正」や「新しく組み立てる構造改革」


また安倍政権に期待される役割について、約7割が小泉流の壊す構造改革ではなく、歪みを修正したり、新しく組み立てる構造改革だと考えているが、それをこれから期待できるかについては、3割を超す人が「期待できない」と考え、半数近くが判断を決めかねています。

また私たちはこのアンケート結果を集計することで、有識者が判断する「安倍政権の100日」の全体評価なども合わせて公表しましたが、全体評価は5 段階評価(5点満点)で2.2点であり、安倍氏の「人柄」には好感を持っている回答は多いものの、それ以外にプラスの評価は少なく、個別政策ではアジア外交、対米関係、経済成長以外、良いと判断できる政策項目は少ない、ことなども明らかになりました。


回答者は現職の中央省庁官僚、現場の新聞記者などを含め350人


アンケートは安倍政権の100日を判断しての政権自体の評価や、首相の適格性、さらにはこの100日の間で取り組んだ安倍政権の各分野の政策評価も含めて12の設問で構成されています。

私たちのこうした試みに、100人の全国や地方の新聞社や放送局で働く編集幹部や現場の記者さん、東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学、東京医科歯科大学などの大学生100人、さらに50人の霞ヶ関の中央官僚の皆さん、言論NPOの活動に参加している企業経営者、企業幹部、学者などの有識者100人の計350人に回答を寄せていただきました。

私たちが言論NPOへの参加有識者に加え、現職の中央官庁の官僚やメディア関係者、大学生にも調査を広げたのは、現在や将来の日本の政策マーケットの構成員といえる層の認識動向を、私たちの評価作業や評価議論に反映させるためです。

この緊急アンケート結果では、350人の回答をもとに行った分析結果を公表します。
その際に同時に行った回答者のコメントは、「350人の発言」と題して1月9日から順次、言論NPOのウェブサイトで公開する予定です。

私たちが、こうした調査を昨年末に行ったのは、私たちが行っているマニフェストの評価の一環で、政権後100日後の有識者の意識動向を把握することになります。どの政権でも100日程度はご祝儀相場で政権の取り組みを見守る段階といえますが、100日を経過すれば有権者の厳しい監視にさらされることになる、今回の調査は、そういう緊張感ある関係を、政治と有権者の間に作り上げるための試みでもあり、この結果などを踏まえて、言論NPOではさらにこれからの6ヶ月間を追跡し、今年7月の政権評価、マニフェスト評価を公表する予定です。


調査結果の要約

《安倍政権の100日に対する認識》

●安倍政権の支持率は全回答者では24.0%に過ぎず、最も支持率が高かったのは霞が関の官
 僚の44.0%だが、メディア関係者は11%しか支持をしていない。
●現状の安倍政権への評価は、政権誕生時に抱いていたものと比べ、「期待以下」
 が36.0%と多く、「そもそも期待していない」を加えると7割を超している。
●7割近い層が、安倍政権は何を目指そうとしているのか、100日経った現段階でもまだ分
 らないと回答している。
●安倍政権に求められている役割は、小泉政権時の壊す構造改革よりも、その歪みを修正し
 たり、新しいものを組み立てる構造改革だと回答する人が合わせて7割近くになっている。
●この役割の実行を期待できるかについて、全体で最も多いのは「期待できない」の35.7%
 で、「期待できる」の12.3%の3倍近くになっている。ただ、「無回答」も25.1%と多く、
 「分らない」の18.9%を加えると半数近くが、まだ現時点ではその判断を決めかねている
 ことを浮き彫りにしている。
●「安倍政権の100日」で評価できるのは外交のみで、内政課題について評価する見方は1割にも届かず、
 極めて少ない。
●安倍政権が取り組むべき課題の上位5位は、財政再建、社会保障制度改革、アジア外交、
 格差問題などへの取り組み、教育問題となっている。
●官邸機能強化の動きについては、「混乱が続き、このままではうまくいかない」という見
 方が43.7%と最も多い。
●自民党造反組の復党は総選挙での国民の意思に反する、参院選対策であり容認できないが
 合わせて80.8%と大勢。但し、官僚は容認できるが34.0%で異なる見方である。
●安倍政権の改革姿勢が問われることになった道路特定財源の問題では、「指導力の限界」
 を指摘する見方が38.3%と最も多かった。
●「安倍政権はいつまで続くか」について最も多いのは「2008年以降も続く」の34.3%だが、
 今年7月の「参議院選後」「参議院選挙前」と「2007年内まで」を合わせると、本年中で
 の交代の可能性を指摘する回答は半数近くに達する。

《安倍政権100日の全体評価》

●安倍政権の100日目の全体評価は、首相の人柄以外に高く評価できるポイントがまだない。
 5段階(5点満点)で評価すると人柄が3.3点で最も高いが、その他は1点台後半から2点台前半となり、
 平均点は2.2点となった。

《個別政策項目評価》

●安倍政権のこれまでの対応や打ち出している18分野の政策に対しては、アジア外交、対
 米関係、経済成長以外に良いと評価できる政策項目なし。

7割近くが、何を目指す政権か現時点でも分らない、と回答。全体評価は5段階評価で2.2点