被害総額20兆円強、被災地の復興をどう進めるのか

2011年4月18日

第2話 国主導の緊急対応から、地域発の復興にどう移るか

まずは国主導の緊急対応、それからどういう移行期を経て地域主体の復興に移れるか

工藤: 僕達が背負う困難を解決する力が、世界的なモデルとなることは十分ありえますよね。そういう期待もある。日本はまさにそういう局面に今、直面しているのだから、なおさら英知を集めてやらなければいけない。増田さん、先ほどの復興の担い手の話ですが、確かに阪神淡路大震災の時は兵庫県等の地元がしっかりして、すごく対応が早かった。ところが、今回の東北の所では厳しい状況にある。そういうことを色んな人が住民を交えながらプランニングするのは、どういうメカニズムでやるべきなのか。やっぱり、地域がだめなので国がやるべきなのですか。

増田: 今の段階は前面に国が出て、様々な生活支援も含めて頭から国主導でやらなければ良い結果は出ない。これは間違いなく国主導ですよね。あるいは、場合によっては県主導でもいい。それから、段々に地域の住民主導、住民主体、要は、最後はまちづくりで、今までのような津波の危険性のある所にまちを作るのか、それから、別のもっと安全な場所に移って頂くかのような話にどうしてもなっていくのです。そうした時に、産業のあり方として水産業は港に、漁港に近い所がいいのですが、加工場については別の所にしましょう。それについては投融資が相当必要になりますとか、そういう話は、地域の人たちのまさに生活そのものです。だから、地域の人たちが主体となって最終的に決めなければ、もう何とも決めようがない。そこが、日本の民主主義社会、今まで築き上げてきたものだと思います。

 ですから、国主導であり、国主体の所から、どういう移行期を経て、そういった地域主体の地域発に移れるのか、ということです。それは多分、「まち」ということです。私は、ひらがなの「まち」というのは人の尊厳を重視した「まち」なのですが、行政区画としての町は、こういうものに囚われる必要はない、と思っています。ですから、私はそういう時に広域で市町村合併が必要な時は、市町村合併をしたうえで、地域のまちをどうしていくのかを地域で決めなければならないと思います。そのプランニングは国や県から色んな参考として武藤さんや宮本さんがおっしゃったように、官民とか国地方の英知を入れて、良いものをどんどん出す。それに手を加えて、日本の国全体がプラスになるようなものを必ずつくらなければならない。それを、地元が最後に色んな意味で主体となって作るという移行過程が大事なのです。

工藤: 昔、阪神淡路大震災の時は、まず兵庫県等に戦略ビジョンをつくるようなビジョンがありました。復興委員会があって、そこが市町村のレベルも含めて全部まとめてつくっている。一方で、政府は6人くらいの会議があって、そこに神戸市長と兵庫県知事も入って、案や考えをまとめる。ただ、その時は地元主体で復興は行う、ということだった。そこで決まったことを政府がバックアップするために首相が本部長の復興会議があってそこで具体化するというプロセスだった。しかし、関東大震災では国が主導で復興省を作ったわけですね。

増田: 関東大震災は首都なので、国が直営でやるしかなかった。次に、神戸の場合は賛否両論あります。というのも、段々熱気が冷めると、政府に案を出す委員会の意見が通りづらくなったということがありました。今回は、複合危機で原発も含めての危機ですが、もし総理が「戦後最大の危機だ」ともし捉えているのであれば、思い切った省庁の枠を越えた、関東大震災の時の復興院のような実行部隊を揃えたものがあってもよいと思います。ただ、一方で中途半端なものをつくり屋上屋を架すとまずい。そこが私は慎重な議論が必要だと思う。

工藤: 一方で、地域には県境を越えた地域の枠組みが必要なのですよね。武藤さんはどういう風に進めればいいと思いますか。

復興院もアイデアだが、
各省の組織力や現場の力を生かせないと意味がない

武藤: 地域には、コミュニティ単位、行政区画でいえば市町村、県という流れが1つあります。もう1つは、国の各省の機能が重要です。阪神淡路の時は、国の委員会の中に、地方の意見は各省のそれぞれの担当窓口を通して直ちに上がってきた。その時には、相当の数の法律改正をやっています。そのためには、中央省庁のノウハウを活用することが物凄く大事です。但し、縦割り行政の問題があるので、省庁の枠を越えることに関しては上部組織で、政治主導で具体的に指示を出す必要がある。特に、そこが今回語られているが、私は効率的な事実把握力、現場の力は政治主導でなくてもよい。むしろ、自発的な現場力をいかに使うかが問題となる。政治主導はそれにプラスアルファとして必要なのだと思います。なんとなく、政治主導という言葉だけで、上からやれば、上手くいくと思うのは少し危うい。但し、政治主導そのものが必要なのはいうまでもない。そういう形で市町村・地元、中央の政治主導の間を繋ぐ各省の組織力・現場力が三位一体で動かないといけないと思う。特に、今回は広域であり、市町村を多くまたがり、性格も非常に異なるので、上手く機能させることが極めて重要だと思う。
 復興院をつくるのも、1つのアイデアだと思うが、どちらにしろ、この3つが上手く動くようにしなければならない。組織を作るから委員会制度にするか等の色んなやり方があるのですが、屋上屋を重ねるのは意味がないし、その連携プレーが上手くいかなければ、どんな組織を作っても上手くいかない。どのように動かすかを考えるべきだと思います。

工藤: プランやビジョンづくりは色々な地域の声を集めながらやるということは、なるべく早くやった方がいいわけですよね。そうしたときに、少なくとも、今はどこが主体でやればいいかわからない状況になっているし、中央では、政治主導は分かるが、それらが現場の力をきちんと活かせない状況では困る。こういう中で、どういう風に政府が求心力を持って、この大きな歴史的な災害を未来につなげるような動きにドライブをかけられるかということが、まだ見えないのです。宮本さんはどう思っていらっしゃいますか。

地域の枠組み作りは
「東北復興院」や先行して道州制の試行にはいるのも一案

宮本:ある意味で、私は素人なので、すっとんきょうな意見になるかもしれません。が、東北地方は先行して道州制の試行に入られたらどうかと思います。というのも、被害が集中しているところは、今日明日のことでもの凄くエネルギーをとられていると思います。そうすると、そうでないところは、比較的余裕があると思うので、そういう人達にも参加してもらって、ひとつの方向性を出していく。先程、増田さんがおっしゃったように、今は、とにかく緊急のものは国が主体的にやらなければいけないと思います。同時に、中期的なことを考えなければいけないのも事実です。それは、国だけでやってもいけませんし、地方だけでやるということも難しいですが、地方はどうしても必要ですから、素人としての私のアイデアですが、道州制を少し前倒しで、東北の各県で共同のチームをつくってもいいのではないか、と思います。

工藤: 今の話は非常にわかりやすいな、と思っています。つまり、阪神淡路大震災の時に、兵庫県などの地元がやっているのを広域的な仕組みに変えていく。一方で政府にはそういうことをバックアップするような強力な動きや、地域の復興計画と連携していくという流れというイメージです。増田さんも新聞などで東北復興院について主張されていますけど。

増田: それは、官・民、それから国や地方が入る、そういう組織を考えるということなのです。ただ、今、大事なのは組織の構成とか組織論というよりは、どういう時間軸で何が必要になってくるか、ということをみんなで共通の理解を持つということで、繰り返しになりますが、今の段階は国主導で、色々な最低限の復旧、元に戻すということに力を費やすべきですね。

工藤: さっきの緊急対応について、国が責任を持ってきちんと行うということですよね。

増田: そうですね。その次はプランニングでしょう。これは地元が中心になりつつ、先程の話にもありましたが、非常に広く言うと、日本にもプラスになるし、アジアにおいてどういう風にこれから打ち勝っていくのか、TPPに打ち勝つような一次産業とかいうものをつくっていく必要があります。ですから、漁業権は、今はそれぞれ世襲で受け継がれているのですが、そこに加工まで含めて、企業の力を色々と入れていくようなことをそこで考えて初めて、漁業をどうするかとか、漁船はどういうものがいいかとかいうことで、財政資金のようなものをそこに投融資して、漁業全体を振興させる。これは、時間軸にすると、何年かかると。そういう話になると、国と地方が地元の意向を中心にしながら、国が相当支援をしていかないといけません。実行に移すときに、国ばかりではダメで、地元も入っていないといけない、という話になってきます。ですから、それを効率的に実行していく組織とすれば、本当に復興院のようなものを作って、強力に進めていくことは必要だと思います。

工藤: その復興院というものは全国的な組織ですか。それとも、東北の復興院ということですか。

増田: 茨城がどうかとかいう話はありますが、基本は東北の話です。但し、現実にそこで働く人は誰だろうかと考えると、それは国の場合は、各省庁に籍を置いている人になるし、自治体の方は各県、各市町村に籍を置いている人だし、民間も東北に関係のある人が集まるということになると、結局、寄り合い所帯で、うまく力で出せますか、という話になってくるのだと思います。ですから、中途半端なのはいけないし、実行部隊をそこまで入れて行くということが難しいということであれば、むしろ、今の省の力を活かしたまま、調整委員会みたいなものでやっていかなければいけません。結局、最後は、司令塔になる人の力、リーダーシップにかかってくると思います。

今回の復興の不安定要因は原発問題の解決

工藤: 阪神淡路大震災の報告書を読んでいても分かるのですが、復興という法的な枠組みが、誰が主体にやるのかということも含めて、きちんと描けていなかったのではないか、という総括もありました。今回も、復旧で全部を戻すということではなく、新しく作り替えていくということになると、誰が主体で政府と地域の役割やビジョンに基づいて予算措置を行うか明確にしないと、全体像ができない状況になりますよね。そういう検討は結構、急ぎの話ではないのですか。

武藤: 急がなければいけないのですが、ただ、ある程度の時間がかかるのではないかと、私は想像します。阪神淡路大震災の時には、非常に乱暴な言い方をすると、ある種の市街地再開発みたいな思想でした。今回は、今までの海岸に近い場所に住むのか、住まないのか、高台の方に町を移したいとか、そういう要望もあるやに聞いています。そうなってくると、用地の確保とか、やはり元に戻りたいという人も出てくるでしょうから住民の意思の統一、それともバラバラにそれぞれの希望に基づいて処理するのかとか、そういうことについての集約に、ある程度の時間がかかるのだと思います。
 時間との勝負で、できるだけ早くやるべきだと思いますが、阪神淡路大震災のように迅速にはいかない可能性というのがあるのだと思います。

工藤: それが先に武藤さんが言われた、農業や環境とか、新しいことを見据えたプランニングと連動しないといけないということですね。

武藤: それから、少し話がずれるかもしれませんが、やはり、原発事故の問題は、これからもどうしても関わってくると思います。仮に、原発の問題がうまく収束すればいいのですが、最近、時間がかかるのではないか、ということが言われ始めました。この問題については、私は素人ですからよくわかりませんが、しかし、その結果、仮に何らかの放射能汚染の対策が必要になるとすれば、復興計画も全く違うものになってしまうわけです。ですから、私は、今一番何が必要かと言うと、原発事故を国家的な安全保障対策と位置付けて、東電という1つの企業の責任ではあるのですが、国家レベルで英知を結集して、あらゆる技術者を集めて、何とか早く収めて欲しいと思います。どうやったらできるのか、私は素人ですから分からないし、これは単なる希望でしかないのだけど、それがないと冷静な復興計画という議論にはなりにくいですよね。この問題では、みんな浮き足立ってしまっていますから。

増田: 今のことはまさにその通りで、一言短く言わせてもらうと、常磐線とか常磐道が今は全く使えない状況です。あの範囲からいうと、左の上方向に放射能が伸びていくような予測地図があるのですが、その範囲の少し先は福島なのですよね。5、60キロ圏のところに、東北新幹線と東北自動車道が通っています。仮に、そういうところまで放射能が飛ぶという考えたくないような事態になると、あそこの移動手段が絶たれるということになると、先の絵が描けないですよね。だから、私も原発のことに関しては門外漢だけど、全世界から英知を集めて、一刻も早くあそこに冷やして閉じ込めるということをしていただかないと、その先の復興の絵姿が描けないし、その絵姿自体が変わってくると思います。

今回の復興はかなり長期化することの覚悟も必要

宮本:前提として、阪神淡路大震災と違うということですね。ですから、全体のプロセスはもっとゆっくりしたものにならざるを得ないということを、みんな覚悟する必要があるのではないでしょうか。そのもとで、どのようにすればいいかということを考えていくということが、出発点ではないかという感じがします。若干、私は原発をかじったことがあるのですが、まだトンネルは抜けていないのみならず、向こうに少し明かりが差してきた、という位の状況です。しかも、我々が自信を持って原発をコントロールしたという状況に持っていくまでに時間がかかりますし、専門家も同じように思い始めていると思います。したがって、これも時間がかかる要因ですし、先程もおっしゃったように広域であるし、一つにまとめにくい対象である、ということで、そちらでも時間がかかります。我々の将来をはっきり構想できない最大の要因は、原発からくる不確定要因なので、おっしゃられたように、全力をあげてやっていくという体制をつくっているとは思いますが、更に強化するという努力をしてもらいたいと思います。
 非常に難しい世界ですが、ある程度の見通しや予測を、国民及び世界に対して発信していただくことが必要だという感じがしています。

緊急避難は時間軸の見通しや
コミュニティを維持した対応が必要

工藤: 話を今の救助に戻すと、被災された方は今後の方向が見えない不安な状況が続いていると思います。例えば、震災で避難民の方が30万人近くいらっしゃって、この人たちに対して、生活物資の供給はいつまでに解決し、何ヶ月後には避難所から移れるとか、そういう情報がないと、ずっとそこにいないといけないし、物資不足も解決せずに不安だ、ということになりますよね。この緊急の対応という点では、阪神淡路大震災は、6ヶ月ぐらいで避難所から出られるまでに実現してしまうわけです。そういう見通しは不足しています。そこはどう考えればいいのですか。

増田:2つあって、津波災害のことだけを考えると、いずれにしてもどんな形であれ、地元の復旧なりが前に進んでいくということは出てきます。しかし、その間、職を失うということになると、明日からの生活に困ることになります。今は、広域避難が行われていますが、一時的なお金も、そういったみなさんに差し上げて、生活をしていただく。あるいは、地元のがれき処理から仮設住宅などの設置など、地元へ仕事を下ろして、それによって生活をできるようにしていくという方法はあると思います。ただ、原発の問題は全くの別問題です。戻れるかどうかの見通しは全くないから、こういう状況になっています。だから、原発は少し別に考えて、広域の避難なりをどうするか、ということを考えていかないといけないと思います。

工藤: 増田さんは、都市型の震災と違うので、ただ仮設住宅に押し込むのではなくて、コミュニティを維持する形での対応が必要だと新聞に書かれていました。これは、どこかに地区ごとに移してしまうということですか。

増田: みなさん方の希望にもよりますが、岩手で言えば内陸の被害のない旅館とかに移っていただく、ということをやっています。それは、現場にいたら、両方のことを同時進行に進められないからですね。しかし、岩手県で移れないようであれば、もう少し近県にということもあり得ると思います。これは、コミュニティ単位でまとめてやるべきだと思います。ということが、阪神淡路大震災の教訓だと思います。

工藤: でも、そこの道筋だけでもわかれば、少しは安心しますよね。今は、それすらわからない。

増田: 情報を届けるようにすればいいと思います。そういう意味では、岩手の方は、まだそこに全力投球すればいい部分はあることはあります。福島では、なかなかそれは難しいですね。

工藤: その後、プランということをどのようにつくっていけばいいか、ということですね。それも、宮本さんがおっしゃったように、日本の復興という同じレベルのような話だと思うので、それをやると。武藤さんは、最近、政府保証をつけた復興基金債を発行して、「復興基金」を作って対応すべき、というお金の話を提案していますよね。これを今のタイミングで提案しているということは、どういう意味なのでしょうか。

復興では財政赤字を拡大させない財源捻出のメカニズムの設計が必要

武藤: 今の緊急対応については、とにかく国が前面に出ていくということでいいと思います。私が申し上げているのは、その後の長期復興事業について、財政赤字を拡大させるような方法はいかがなものかと思っています。というのも、ちょっとやり方を間違うと、日本の財政に対する信任を失うというこことになります。つい1ヶ月前は、社会保障と税制の一体改革とか、プライマリーバランスを2020年に達成すると言っていたわけです。そういう議論が全て吹っ飛んでしまうようなことにしたら、やはり国際的にも信頼を失うし、それこそ、国債の格付けの引き下げ、カントリーリスクと言った問題に発展しかねないわけですね。

 資金需要という観点から見ると、国がやる事業、市町村がやる事業、民間がやる事業ということがあります。国と市町村を少し脇に置いておいて、民間でやる事業というものもかなりの資金量があるはずです。加えて、このような状況の中で、コマーシャルベースは不可能だと思います。どうしても優遇された条件、優遇された金利ということでないといけない。しかし、民間の経済活動ですから、お金を借りてお金を返すという思想も必要です。全てをもらってしまうというわけにはいきません。そのためには、基金をつくって、別途、有利子資金を集めて、金利は低いけれども有利子の資金を貸す。損失率もかなり高いので、色々な形で保証をしないとそれを貸せない。そのために、何らかの国民負担を求めて、その金額は利子補給とか不良債権の償却に使うので、私は巨額なものは想定していません。そういう全体の公的な援助のある金融システムをつくったらどうか、というのが私どもの提案です。

 もし、本当に連帯して国民が負担したいということの納得が得られるのなら、それは国のやる事業、市町村のやる事業に対しても、税金でやるということもあってもいいと思いますし、あればこれが一番望ましい。しかし、まずは民間の方が先だと思います。復興というのは、金融支援がない限りできません。全くお金もなく、資産も無くした漁民が、船を買うと言ったところで買えないわけです。しかし、何か会社をつくって船を建造する、出資金が欲しいといわれたら出資をしたり、漁船のリースをしたりする。そうすると、漁民からしてみれば初期投資はリース料だけで足りるわけです。網やガソリンなど、色々なものも買わなければいけない。これについては、また融資を受ければいいわけです。

工藤: そういうプログラムというか、色々な形を用意しておかないといけないということですね。

武藤: そうですね。それで漁に出て、収益が上がってきてリース料が払える、生活も成り立つということであるなら、そのリース料はなるべく低くしなければいけない。

工藤: その基金のために復興債を出すということですね。
武藤: 20兆円というのは損害総額なのですが、10兆円必要だということであれば、そういうメカニズムをつくったらどうか、ということが私どもの提案です。
工藤: 例えば、ライフラインのことに関しては、政府が全額でやって地方には負担をかけない、と総務大臣の片山さんとかおっしゃっていますよね。

基本的な生活基盤のライフラインは
国家が守るのが基本

増田: それはきちんと決まっているわけではありません。地元の自治体に負担を求めても、基本的には難しいので、どこまでやれるのか、交付税で措置するのかということはありますけど、結局トータルで考えると、国費というか国の負担でやらざるを得ないと思います。むしろ、私は、先程、武藤さんがおっしゃったように、今後の水産業をどうするか、ということについて、地元の資金をできるだけ入れていく。これだけの災害ですから、基本的な生活の基盤のライフラインについては、国家がきちんと守るというところで、使っていくべきだと思います。


工藤: そろそろ時間も迫ってきているのですが、今回色々なことが見えてきました。僕は出身が青森なのですが、地方では高齢者が非常に多くて、東北地方は人と人との絆が非常に大きいですよね。ただ、非常に脆弱なものがある。一方で、東京は原発を始め、東北の色々なことに依存して成り立っている。そういう構造というものが見えてきましたよね。やはり、増田さんもおっしゃったように、今回の復興を通じて、最終的には東北を自立させないといけないわけですよね。そうなってくると、本当に英知を集めていくことが、これから必要になってくると思います。
 最後に、皆さんに一言、今後の言論NPOの議論づくりに助言していただきたいと思っています。
復興まで非常に長い道のりだと思うのですが、未来につながるようなプロセスに、僕たちは遭遇していると思います。増田さん、最終的なゴールは自立ですよね。東北が自立して、前以上に魅力的な地域になるという状況を描けなければと思うのですが、そのためには何が必要でしょうか。

東北の自立に必要なのは
核となる新しい希望の灯

増田:産業が東北から西日本に移ることによって、若い人達がみんないなくなるような、そういうことだけは避けたいと思います。電力需要の問題もありますから、今のままだと、拠点が移動し始める動きが出てくると思います。やはり、東北で揺るぎない働く場というものがある。それは一次産業であり、色々なエネルギーの関係でもあり、高齢者が多いがゆえに、逆に健康産業のようなものがあり、それが東北できちんと位置付けられる。そういう絵が必要だと思っています。それに至るまでの間に、一括交付金のようなもので、自治体の判断で色々とできるような、そういう仕組みをできるだけ早く整えて、少しでも被災者の支援というところから、前向きなところに進んでいく、そんなことが必要だと思います。今は、全国から市町村の職員が応援に来ていますけど、本当に感謝しています。そういう自治体同士の連帯のようなものが、これを機会にもっともっと進めばいいと思います。

工藤: 早く前向きな展開になればいいなと思います。武藤さん、いかがでしょうか。

武藤: まさに、この喪に服するのではなくて、新しい経済社会を自立させるために、何か核となる希望の灯というか、そういうのが必要だと思います。それが一体何なのかということについて、私は、農林漁業や畜産業の経済的に十分ペイする経営形態を模索したらどうかとか、色々と申し上げました。それをまず、色々な英知を結集していくつか打ち立てる。どうせ投入されるのは巨額な資金ですから、それに向けて、復興資金をうまく活用しながら、希望のある方向に向かって、資金を整合的に投入していくようなシステムをつくることが望ましいのではないかと思います。

工藤: 宮本さんどうでしょうか。

宮本: 私も、ゆっくり東北地方を旅したことがあります。本当に美しい風土だということを感じました。今回は、被災者の方々が自分を抑えて、他人を思いやるという素晴らしい気持ちが全世界に伝わり、大変な感動を与えました。したがって、一刻も早く復興してもらいたいと心から思います。しかし、今は緊急事態ですから、私は走りながら考えるということを提案したいと思います。やはり、これまでみたいに完成した100点満点のものを出すという時間的余裕はないと思います。武藤さんから、復興基金などの提言が出されていますが、志のある人達が、色々なことを考えて、こうした方がいいのではないかということを提案していく。その1つの場に、言論NPOがなっていただきたいと思っています。我々としては、ここでそういう有識者の方々に集まってもらって、議論してもらって発信していく。これを是非とも続けてもらいたいと思います。

言論NPOは復興に向けた議論の舞台をつくります

工藤: 宮本さんに、非常に力強い言葉をいただきました。僕も本当にそう思っていまして、長期化するにしても、日本の未来を決めるような局面です。だから、みなさんも積極的に参加していく必要があると思っています。やはり、英知を集めて、色々な専門の人達が議論してく。僕たち言論NPOは、まさにそういう議論をみなさんと共有したり、発信するような仕組みをつくっていって、被災者の人達を救援し、日本の復興をしていくような議論をつくりあげようと思っています。ぜひ、今回の中継を見られたみなさんも参加して、色々と意見を寄せていただければと思います。それを踏まえて、私たちは更に議論を進めていきたいと思っています。最後に、何かありますか。

増田: ぜひ、言論NPOとして、存在感を見せてもらえればと思います。

工藤: こういう感じで、私たちは非常にいい議論、未来に向かいあうような建設的な提案を出すような議論をしていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。今日は、どうもありがとうございました。

一同:ありがとうございました。

(文章・動画は収録内容を一部編集したものです。)


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